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19.06.14

クローバーなどマメ科植物を餌としてウニを肥育する技術を開発,特許出願

ウニの餌となる海藻の不足「磯焼け」

近年,全国の沿岸部ではウニが大量発生し,海域の海藻類を食べ尽くす「磯焼け」を引きおこすことで,沿岸の生態系や漁業に深刻な被害をもたらしています。磯焼け海域のウニは餌である海藻がないため,痩せていて身入りが悪く採っても売り物になりません。「痩せウニ」を養殖することで身入りを改善することは可能ですが,磯焼け海域では餌の海藻が入手困難であること,また海藻の生える時期が春〜夏に限られること,といった課題がありました。

海藻の代わりとなる餌の開発,安定して高品質なウニの生産が可能に

海藻類にかわる新しいウニの餌として,陸上に生えるマメ科植物のクローバー(和名シロツメクサ)を約2 ヶ月キタムラサキウニに給餌したところ,従来の餌であるコンブと同等に可食部である生殖巣が成長するという結果が得られました。また商品価値の基準となる生殖巣の色彩を計測したところ,クローバーで育てたウニの方がコンブに比べてより鮮やかな色になっていることも明らかになりました。味に関わるアミノ酸や脂肪酸などの成分についても分析したところ,クローバーで育てたウニでは,多くの成分がコンブで育てたウニと同等の値を示したほか,血中の中性脂肪を下げる作用や皮膚の健康維持を助けるとされるn-3 系脂肪酸のα-リノレン酸がより豊富に含まれており,従来の餌と比較しても高品質なウニを生産できるといえます。クローバーはほぼ1年中どこでも簡単に栽培可能であり,磯焼け海域の痩せウニを肥育するためだけではなく,海藻がなくなる冬場に身入りの良いウニを生産するための養殖飼料としても期待されます。本技術は2019 年3 月27 日付で特許出願されました(特願2019-060811 号)。

研究の経緯

本研究は,宮城大学西川教授・片山助教と九州大学栗田助教とが共同で行っている研究です。
かねてより九州大学の栗田助教はウニをはじめ水棲生物の生殖に関する研究を,宮城大学の片山助教は二枚貝の餌としての陸上植物の有効性に関する研究を行っていました。ウニは雑食性であるということは知られていますが,年間を通して安定的に手に入る新餌料はないかと考え,陸上植物(雑草)に焦点を当てた飼育実験を始めました。二枚貝の飼育実験からマメ科が成長に良いことが予想されたため,マメ科であるクローバーを与えて飼育を行った結果,上記の成果を得ることができました。

今後の展開

今後は漁協や養殖業者との技術提携などを通じて,ウニ養殖の事業化および商品化を目指しています。宮城県内企業と共同で試験販売やイベントを企画していきたいと考えています。

研究者プロフィール

西川 正純(にしかわ まさずみ):宮城大学食産業学群教授
片山 亜優(かたやま あゆ):宮城大学食産業学群助教
栗田 喜久(くりた よしひさ):九州大学農学研究院助教

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