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学長式辞 <平成26年度入学式>

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年4月3日更新
西垣学長

緑多き宮城大学のキャンパスも、今年は例年より多くの雪に見舞われ、センター試験に始まり一般入試の前期後期ともに、教職員挙げて除雪の連続でした。しかし、今日のみなさん方の晴れがましいお顔を拝見すると、その時の疲れは全て消え去ってしまいました。
皆さん方の多くは、あの大震災の後、高校に進学され、将来に対して多くの不安を感じられたことと思います。勉学環境も十分でなかった人もおられたことでしょう。この困難を乗り越えて、このたび見事に宮城大学に入学を果たされたことに、心からお祝いの言葉を申し述べさせていただきます。
また、この日を迎えることを皆さん方以上に待ち望み、何かと物心両面から支えてくださった、ご両親をはじめご家族の方々に対して心からお祝いを申し上げます。

本日は年度初めにあたり公務ご多用中のところ、この入学式に多くのご来賓の方々にご臨席いただき、厚くあつく御礼申し上げます。宮城大学の設置者であられ、復興の先頭に立って奮闘されています、村井知事様並びに安藤県議会議長様には、日頃のご支援も含めて深く御礼申しあげます。

さて、皆さん方に選択していただいた宮城大学では、あの歴史的な大震災からの回復に全力を尽くしてまいりました。この過程の中で、単に修復ということではなく、この契機に、より魅力的な大学を創成していく計画を作成し、キャンパスの整備を進めてまいりました。学生の皆さん方の勉学環境の向上をめざし、より快適なキャンパスライフを提供できるようにいたしました。
特に村井知事の深いご理解とご支援を得て、兼ねてから懸案であった、食産業学部に附属しております、坪沼農場研修センターの内外装を一新し、広く学習の場として活動できるように全面改装が終了いたしました。老朽化した農機具も最新のものとなり、より充実した学習体制が整備されたと考えています。このような学部あげての努力の結果、本年の食産業学部の就職率は看護学部とともに、100%という快挙となりました。
就活はゼロでも結果は100%という目標に、大きく近づきました。日頃の勉学こそが中心で、企業や社会が求める人材を育成する大学でありたいと考えています。このため、宮城大学ではキャンパスの再整備だけでなく、今最も力を入れていることは、提供する教育力の向上をめざした改善に取り組んでいることです。具体的には、現在のカリキュラムを全面的に見直し、従来からの座学を中心とした教育から、フィールドワークやケースメソッドを多く取り入れたアクティブ・ラーニングの体制を構築しようと計画を進めています。より充実した企業や社会でのインターンシップや、ディスカッションを中心にした授業の展開に重きを置いた、弾力的なカリキュラムの運用をはかっていきます。

これらの改革の中には、我が国の今日的状況をふまえ、グローバルに活動できる人材の育成も含まれています。この実現には、単に英語教育の重視ということだけではなく、世界のそれぞれの国や地域の歴史や文化を深く理解する、インテリジェンスの獲得をめざした、人材育成プログラムを実施してきています。

宮城大学で現在もっとも重視している教科は、従来共通教育といわれていた科目群です。古くは教養教育ともリベラルアートとも呼称されていましたが、これらの科目を今日的な知的素養として再構築することを試みているのです。宮城大学では、将来「人間形成鍛錬科目」として、学術的な体系を構成する計画を進めています。大学における専門教育の導入課程と位置付けるのではなく、これからの長い人生を下支えする知的基盤を構築する科目群と考えているのです。
この時期に、まず自分とは何者なのかを思考し、自分の人生をどのようなものにしていくかを学習する機会となるように意図しているのです。空気が読めず自己認識の欠如した存在であってはならないと考えているのです。ここでの学習は教室での座学よりも、人々の生活場面を活用したフィールドワークを取り入れた学習を計画しています。単なる知識の修得の場ではなく、体感した事柄を智慧に昇華させる課程と捉えてほしいのです。
そこで、今日的な世界を鑑み、人類が経験したことのない超高齢社会の人間像から、この教育課程を構成するものとして、生命科学、哲学、歴史学、宗教学、芸術学、環境科学を主要科目と考えています。さらに宮城大学の特徴的な科目として、地域を深く認識できる「東北学」を学んでほしいと思うのであります。東京に憧れるだけでなく、生まれ育った大地をこよなく愛し豊かにする人材を数多く育成したいと考えているのです。
このような考えに基づき、昨年から芸術のカリキュラムでは、宮城県内外に設置されている美術館や博物館を教室とした、学習を展開しています。体感できる、三次元の教養教育の確立をめざしているのです。これからの社会は、あふれ出る情報の嵐をどのように見定めて生きていくかが求められてくるのです。表層的な知識や流言飛語に惑わされることなく、しっかりとした自我を持ち、多様で混沌とした時代を生き抜いていく秘訣を養ってほしいと考えているのです。

我々が現在直面している、大震災からの復興は長い努力が必要とされ、粘り強く継続することが不可欠と言えるでしょう。村井知事の提案どおり過去に復するのではなく、未来の日本を先取りした豊かな東北を創造する覚悟が求められているのです。公立大学として設置された宮城大学は、地域社会に貢献することが、その果たすべき使命の一つとされています。日常的に地域社会の発展に寄与することは当然として、大学の果たさなければならない最も重要な役割は、全国から有為の人材が集い共に学び、人間らしい豊かな社会を構築できる人材を育むことと考えています。

宮城大学は、本日ここに共に学ぶ新しい仲間を、全学を挙げて歓迎するとともに、いつの時代でも存在価値の高い大学を一緒に構築していくことをお約束して、新入生の皆さん方への式辞と致します。

(抄)

平成26年4月3日
宮城大学学長  西垣  克