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シラバス(基盤教育科目30)

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年5月1日更新

講義名

世界の歴史と文化

Course

World History and Cultures

対象学科

看護学群(選択)/事業構想学群(選択)/食産業学群(選択)

年次・学期・単位

1・2年次/後期(大和)・前期(太白)/2単位

担当教員

山本 まゆみ

授業概要

近世から近代という時代は、単に政治体制が変わっただけでも時が経過しただけでもなく、世界の価値観や社会体制が、嘗てないほど変化した時代である。近代の産物である資本主義、社会主義、経済の覇権、国民国家主義、電信電話に始まる通信技術、地理的空間に変化を与えた航空産業といったものは、現代社会の中でも存在しつづけており、現代は近代の潮流の中にあると言っても過言ではない。また、近年の世界政治の動きは、前世紀の世界大戦の引き金の一つになった人種主義的保守勢力が、大衆迎合主義(ポピュリズム)となり、ややもすると歴史が繰り返されるのではという様相まで見せている。本講義では、この現代の価値観の起源ともいえる近代を紐解き、特に歴史に影響を与えた国民国家・人物・事件に着目し、その背景と未来への影響について学習する。特に、近代に「共通言語」という文化的装置により、形成された国民国家に着目し、(1)国民国家形成、(2)国民国家と2つの世界大戦、(3)宗主国と植民地の民族運動、(4)東西冷戦の大国の戦略と翻弄される国々、という4つのテーマについて時代を追いながら紐解いていく。それぞれのテーマを学ぶ際、経済的な動向、文化的な扇動、通信出版技術を使った波及効果など、多角的に学ぶことで、歴史の理解が深まるのみならず、同様の問題が現代社会に起こり得ることを学びとる。

ディプロマ・ポリシー(DP)との関連

【知識・技術:◎】【思考力・判断力:○】【表現:○】【主体性:△】【協働性:△】

到達目標

[1] 「国家」の歴史が、近代の産物であり、人工的に作られたものでありながら、国民が戦争に突き動かされたことを説明できる。
[2] 小説や過去の文書を読むとき、当時の社会状況を理解した上で読むことができるようになる。[3] 現代社会が、相変わらず近代の価値観の中で生きており、近代国家が抱えた人種主義、保守主義、経済の覇権、そして民主主義/大衆迎合主義といった問題が、再び起こりうる危険性を秘めているということを説明できる。

授業計画

内容

第1回

ガイダンス

第2回

近世から近代へ:封建国家と近代国家の違い
課題:『定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』の第2章「文化的源流」、第3章「民族意識の起源」

第3回

国民国家の形成:帝政ロシア―宮廷言語から市民言語へ課題:『定本 想像の共同体』 第5章「古い言葉、新しい形」

第4回

国境を越えた近代技術と国家の緊張から世界大戦への道:
英国海底ケーブルと欧米の武器輸出を中心に、拡大する経済の覇権と戦争

第5回

「市民」を巻き込んだ第1次世界大戦:誰が国民だったのだろうか課題:『西部戦線異状なし』

第6回

第1次世界大戦以降の世界地図:変化する植民地と宗主国の関係
課題:『想像の共同体』の第10章「地図、国勢調査、博物館」

第7回

民族主義の抬頭と帝国主義:東南アジア(ビルマを中心とした東南アジア大陸部)課題:『象を撃つ』

第8回

民族主義の抬頭:東南アジア(インドネシアを中心とした島嶼部)
課題:『想像の共同体』第7章「最後の波」および第10章の復習

第9回

日本とアジア:大アジア主義とアジアの民族主義運動VS西洋帝国主義

第10回

第2次世界大戦:国家のための人的資源としての「国民」

第11回

第2次世界大戦と疑似科学:優生学と民族浄化

第12回

第2次世界大戦の物言えぬ敗者:原爆と焼夷弾

第13回

東西冷戦期のベトナム:戦争を支える米ソ軍事産業課題:『死の商人』

第14回

東西冷戦期の米国地域研究:フォード財団とCIAの対ソ政策と米国大学の地域研究の起源

第15回

まとめ:国家で語る歴史の問題

第16回

学期末試験

評価方法・評価基準

評価割合は、以下のとおり総合的に評価する。
授業内での発言の積極性(5%)、中間試験(25%)、レポート課題(30%)、期末試験(40%)。それぞれの評価項目に関する、評価基準(academic rubric)は、初回講義に示す。

教科書

ベネディクト・アンダーソン(著)、白石隆、白石さや(訳)『定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』 書籍工房早山、2007年。 レマルク(著)『西部戦線異状なし』、岡倉古志郎(著)『死の商人』、ジョージ・オーウェル(著)『象を撃つ』(発行年数の記述がないものは、文庫あるいは新書で、増刷を続けているため発行年数を割愛した。)

参考書

国立民族博物館(編)『世界民族百科事典』丸善出版、2014年。歴史・民族学の概念を、端的にまとめてあるため、授業で扱う内容も網羅されている。項目ごとに、参考文献も掲載されているため、興味のある学生はさらに深く知識を深めることも可能である。

他の科目との関連

「日本の歴史と文化」 本授業の中心となる時代―近代―は、日本が開国した時代と重なり合う。近代という世界の変化の中、後進の日本は西洋的近代に「適応」する道を選んだ。「日本の歴史と文化」を学びながら、日本の視線で見た西洋の動向を理解することは、「世界の歴史と文化」の理解に相乗効果をもたらす。また、「世界の歴史と文化」を知ることで、現在しばしば外交問題になる「日本の植民地時代および第2次世界大戦」の歴史を、当時の世界状況・世界の価値観の中で理解することも可能にし、歴史をより客観的に理解することを可能にする。

事前・事後学修

レポートの課題および提出日程、試験日程の詳細な日程は、初日配布するシラバスで確認すること。本シラバスに従い予習、復習をおこなうこと。なお、シラバスに書かれた課題は、予習であるため、その日まで読んでおくこと。『想像の共同体』に関しては、事前に読書ポイントが分かるように、5項目程度の質問事項を配布する。課題小説に関しては、事前にその小説が書かれた時代背景および著者の思想的背景を調べたうえ読み始めること。その他、課題の要点に関しては、事前の授業で説明する。

備考

地理が分からないと、歴史・文化を理解することは困難である。必ず、高等学校の世界地図帳を授業に持参すること。授業は駆け足で進むので、学期前あるいはゴールデンウィークに高校世界史Bを復習あるいは勉強して、世界史の大まかな流れを理解しておくこと。課題図書が比較的多いが、多くが小説のため容易に読めるものである。『想像の共同体』は、難易度の高いものであるが、大学生の教養図書として一読すべきものであるので、頑張って読んでほしい。本授業を通じ、本を読む習慣を身につけて欲しい。

Course Description

modern invention, nation-state, colonialism, identity, cold war politics, capitalism, socialism, nationalism, representation, national hero, genocide