A. 電磁波の一種です。私たちの目は、太陽光などをうけた物体の表面から反射した光をとらえています。私たち人間の目が感知できる可視光(波長0.4〜0.7mm)は青、緑、赤の色の集まりですが、物体の表面からの光には、私たちの目ではとらえることのできないものもあります。これらを総称して電磁波といいます。マイクロ波の波長は、可視光よりも長く1mm〜1mです。なお、電磁波のうち0.1mmよりも波長が長いものを電波ということから、マイクロ波は電波の一種でもあります。マイクロ波は波長によってさらに細かく分けられています。90年代に打ち上げられた衛星のうち、欧州宇宙機関(ESA)のERS-1、2号とカナダのRADARSAT
はCバンド(波長5.7cm)を採用しています。日本のJERS-1はより波長の長いLバンド(波長23.5cm)を採用しています。10mm以上のマイクロ波は大気や雲や雨の影響が少ないので、雲があっても陸や海を観測できることは合成開口レーダによる観測の大きなメリットです。
A.
合成開口レーダを搭載した人工衛星は上空を進みながら、マイクロ波の送信と受信を連続して繰り返しています。マイクロ波のビームはセンサから地上に近づくにつれて、だんだん広がっていきます。地上のある1点についての情報は、人工衛星の進行中しばらくの間、受信されていることになります。受信された信号を無駄にせずに使い、あたかも実際のアンテナよりも長いアンテナで観測したように地上を観測するのが合成開口といわれる技術です。合成開口によって、細かい地表面の様子をみることができます。
A.
違います。合成開口レーダではマイクロ波を地上にあてて、レーダに戻ってきた信号を受信しています。人間の目でみえる可視光を観測する光学センサとは観測のしくみが大きく異なります。たとえばたいらな面に合成開口レーダからマイクロ波をあてると、ほとんどはレーダの方向にかえってこないため、画像上では暗くみえます(鏡面反射)。ところが、ここにもしもビームがあたるのを遮る方向(人工衛星の進む向きに平行な方向)に壁があったとすると、この壁によってマイクロ波は反射されて、その多くがレーダの方向にもどっていきます。合成開口レーダの画像をよくみると、さまざまな現象が確認できます。
A.
合成開口レーダが受信した、地上からのマイクロ波のはね返りの強さによります。地上ではね返ってレーダに戻ってきたマイクロ波のことを特に後方散乱といいます。地上にあるものはさまざまな形や性質のものがくみあわさっているので、後方散乱のおこり方は複雑です。後方散乱の大きさは地上の物体のさまざまな特性だけでなく、マイクロ波の波長やマイクロ波があたる角度などにもよります。
A.
ここでとりあげた画像は、地図への重ね合わせや高さによるひずみの補正をおこなっていないスラントレンジ表示の画像です。衛星と地上の対象物を結んだ距離方向をスラントレンジといいます。画像の縦方向は人工衛星の軌道の方向に、横方向はマイクロ波をあてている方向にそれぞれ平行になります。したがって、画像の縮尺はおよその距離を示しています。人工衛星の軌道は地図上の南北方向から若干傾いています。また、斜め上からみているために、山など高い対象物はレーダのほうにたおれこんでいるようにみえます。合成開口レーダの画像では必要に応じて地図への重ね合わせや高さによるひずみの補正がおこなわれています。
A.
同じ場所を観測した2つの合成開口レーダのデータによって地表面の標高(高さ)や変動を観測する技術です。干渉SARでは、標高を計測する場合、用いる2つのデータ間での衛星と地表面の距離の差を利用しています。合成開口レーダではセンサにもどってきたマイクロ波の振幅(強さ)の情報だけでなく位相の情報も利用できます。衛星と地表面の距離の差は、2つのデータを干渉させることによって0〜360度の位相差の繰り返しの干渉縞(フリンジ)として画像に表すことができます。干渉画像(インターフェログラム)では、干渉縞に擬似的に色をあてはめています。きれいな連続性のよい干渉縞を得るためには、地表面の安定性や2つのデータの条件がよいことが大切です。インターフェログラムの作成では、さまざまな工夫がおこなわれています。
A.
センチメートルオーダー程度の動きがあれば観測できます。人工衛星が同じ場所を2回観測するあいだに地表面が動いた(変動があった)場合、地表面と衛星をむすぶ方向へのマイクロ波の波長の半分の動き(変位)について1周期の干渉縞があらわれます。したがって、干渉SARではセンチメートルオーダー以下の変動を面的に観測することができます。干渉SARによる変動の観測を、差分干渉SAR(Differential Interferometry
: DINSAR)とよぶこともあります。
A.
はい。たとえば地上の様子がかわると、たとえ2つのデータを干渉させる条件がよくても、きれいな干渉縞が得られないことがあります。この場合、干渉縞が得られるかどうかから、逆に、地上の様子がかわったかどうかを知ることができます。干渉縞が得られるかどうかの目安は2つのデータから計算できます。これをコヒーレンスとよんでいます。一般に森林などの植生地域では表面の様子が変わりやすく、都市域は変わりにくいことから、コヒーレンスによる土地の利用状況の観測も報告されています。
A.
電磁波が空間をすすむときの向きです。3次元的に考えると電磁波は空間を、進行方向に垂直な電界と磁界を変動させながらすすんでいます。偏波の向きは電磁波の進行方向と電界の方向がつくる面でよばれ、この面が大地に平行な場合を水平偏波、垂直な場合は垂直偏波といいます。合成開口レーダによる観測では、送信と受信の偏波の組み合わせによって、同じ地表の対象物をみてもレーダにもどってくるマイクロ波のはね返りがかわってきます。この情報を利用して地表の対象物についてさらに詳しい情報を得ようとするのがポラリメトリックSARという技術です。
Q11. 2003年4月現在、地球観測している人工衛星搭載合成開口レーダを教えてください。
A.
カナダのRADARSATは現在も地球を観測してデータを取得しています。また、2002年3月に欧州宇宙機関(ESA)からENVISATという人工衛星が打上げられました。ENVISATはASARという合成開口レーダを搭載しています。
Q12. 合成開口レーダを搭載した衛星の今後の打ち上げ予定は?
A. 日本は2005年に陸域観測衛星ALOS(Advanced Land Observing
Satellite)という衛星を打上げる予定です。ALOSにはPRISM (Panchromatic Remote-sensing Instrument for Stereo Mapping)、AVNIR-2 (Advanced
Visible and Near Infrared Radiometer type 2)の2つの光学センサと、PALSAR (Phased Array type L-band
Synthetic Aperture Radar)という合成開口レーダが搭載される予定です。PALSARは送信と受信での偏波の組
み合わせがすべて可能なフルポラリメトリィの機能をもっています。光学センサとの同時観測も期待されてい
ます。また、カナダもRADARSATの後継機としてRADARSAT-2を2005年に打上げる予定です。