土壌凍結深測定プログラムとは

どのようなプログラムか

 本プログラムは、冬季に土壌が凍結する地域で、その凍結の深さと期間を学校教育の中で測定するものです。

 国際永久凍土学会(International Permafrost Association)では、世界各地の寒冷地で冬季の季節凍土の深さと凍っている期間を学校教育に取り組む活動をしています。本プログラムは、その一環として日本で展開するプログラムです。

 学習指導要綱に対応したプログラムを目指しています。

 これは、植物や農作物の生育やパイプの埋設・損傷などに影響を与える土壌の凍結について、実際に学校で測定することによって子供たちにとって身近なものになってもらい、理科への興味を深めてもらう一助になればと考えて実施しています。

 測定を行うことによって、子供たちが自分の目で凍結の深さの変化を実感し、また数年間継続して実施することによって、年による変化も見ることができます。

 測定は凍結深計という簡易な装置を用いて、誰でも容易に土壌の凍結の深さがわかるものです。

 すでにアラスカ大学を中心としたプログラムとして世界各地の寒冷地域で実施されており、200ヶ所以上の学校が参加しています。欧米では、これを理科教育の一環に使っている小中学校、自治体、クラブ活動、または個人のプロジェクトとしているケースもあります。

 日本では、2011年11月に北海道芦別市、根室市、釧路市に凍結深計を設置し、測定を開始しました。また、2012年3月からは北海道鹿追町内の全5校でも測定を開始しました。

学習指導要領にどのように対応しているか

 本プログラムは、学習指導要領の理科の以下の分野に対応していると考えています。

 小学校
  3年生 太陽と地面の様子
  4年生 金属、水、空気と温度
  5年生 天気の変化
  6年生 土地のつくりと変化

 中学校
  第1分野 身の回りの物質:状態変化
  第2分野 気象とその変化:気象観測

凍結深計はどのようなもので、どこに設置するか

 凍結深計(frost tube)は、地面に深さ1m程度の直径2cmの穴を開けて設置します。開けた穴にパイプを入れて、その中に青色の水が入ったチューブを入れます。設置後の状態は、直径1.5cm程度のパイプが地面から1m程度立っている感じです。

 測定は、自然に降った雪を取り除かずに測定しますので、人があまり近づかない森の中などが適しています。

凍結の深さはどのようにわかるか

 色のついた水は、凍ると氷の部分が透明になります。このために容易に氷と水の区別がつきます。今回の測定ではこの原理を用います。実際の測定では、色のついた水が入ったチューブを地面の下に入れておき、観測の度にチューブを引き出して色の境界の深さを測ると、土の凍結の深さがわかります。1回の測定にかかる時間は2分程度です。

児童生徒は学校で何をするか

 実際に自分の手で凍結の深さを測ります。

 測定間隔は1週間に1回が適切ですが、学校行事や休暇などで間隔が空いてしまっても問題ありません。除雪はせずに雪はそのままの状態で測ります。合わせて、雪の深さを測ることによって、様々な考察にも使えます。

測定データはどのように活用されるか

 測定していただいたデータは、インターネット上で管理するために電子メールなどで送っていただければこちらで処理します。アラスカ大学のプログラムの日本版として、測定データはインターネットで公開して世界に発信します。また、日本国内のデータとして独自に取りまとめて、同じくインターネットで公開します。

 それぞれの観測した学校では、自分の学校での凍結の深さの変化を見ることができます。また、日本や世界各地との比較ができます。

 集まりましたデータは、現在の日本の凍結の深さ分布として取りまとめられます。同時に貴重な記録として、国際永久凍土学会およびアメリカ雪氷データセンターに永久保存されます。

学校訪問では何を予定しているか

 学校を訪問する際には、学校の予定もありますので、柔軟に対応します。こちらとして実施したいことは以下の通りです。

 1.校長先生や担当の先生にご挨拶します。
 2.凍結深計を設置します。

もし時間的に可能でありましたら

 3.授業で土の凍結や実際の観測に関しての説明をさせていただきます。時間は如何様にでも対応します。
 4.春に再び訪問して、測定結果について説明させていただきます。