これまでの日本における土壌凍結深の観測

 日本における土壌凍結深の観測は、古くは石川・鈴木(1964)によって北海道の土壌凍結深が90ヶ所について1964−65年の冬季に調べられ、2月の凍結深分布を得ている。この観測は自然積雪下で行われており、最大凍結深は60cm程度であった。

 その後、1974−75年の冬季には、木下ら(1978)によって北海道内50ヶ所で凍結深の連続観測が実施された。この観測は、除雪環境下で行っており、その最大凍結深は1m近くにも及んでいる。

 また、武市(1993)が1990−91年と1991−92年の2冬にわたり、北海道内の40ヶ所において土壌凍結深の一斉観測を除雪環境下で実施している。最大凍結深は70cm弱に及んでいる。

 さらに、北海道士別高等学校理科研究同好会や士別市立博物館特別研究員であった平松和彦氏によって、機器の開発をはじめとする観測が北海道内の士別市、旭川市、芽室町、札幌市で行われている。観測は、1984-85年と1985-86年の冬(北海道士別高等学校理科研究同好会、1987)、1988-89年の冬(平松、1989;平松、1990)、1989-90年の冬(平松・水田、1990)、1990-91年と1991-92年の冬(平松・水田、1992)と継続して実施されている。特に、これらの観測では除雪環境下に加えて様々な自然積雪の環境下での凍結深の測定を行っており、積雪深との関係を明らかにしている。

図 1974−1975年冬季における最大凍結深の分布(木下ら、1978)

参考文献
石川正幸、鈴木秀雄(1964). 北海道における1964〜1965年冬の最大凍結深の分布. 農林省林業試験場北海道支部年報、238−248.
木下誠一、福田正己、矢作裕(1978). 北海道における土の凍結深の分布. 自然災害資料解析、5、10−15.
北海道士別高等学校理科研究同好会(1987). 士別市周辺における除雪状態での土壌凍結に関する一研究. 士別市立博物館報告、5、35-42.
平松和彦(1989). 土壌と凍結深度の測定方法〜自作機器を使って〜. 士別市立博物館報告、7、73-78.
平松和彦(1990). 寒冷地域における土壌凍結に関する研究. 士別市立博物館報告、8、47-58.
平松和彦、水田一彦(1990). 学田丘陵における積雪−凍結の状態について(1)−1989〜90年冬期間の調査による基礎資料−. 士別市立博物館報告、8、59-68.
平松和彦、水田一彦(1992). 学田丘陵における積雪−凍結の状態について(2)−1989〜92年冬期間の調査による基礎資料−. 士別市立博物館報告、10、53-62.
武市靖(1993). 凍結深の予測. 北海学園大学工学部研究報告、20.