OpenGLとは..

 アメリカにはシリコングラフィックスというコンピュータグラフィックス専門のワークステーションを開発している会社があります.任天堂の64ビットのファミコンの開発にも関わっているので,知っている人もいるかと思います.
シリコングラフィックスの機械は,1990年代前半のCGブームを支えてきました.またバーチャルリアリティなどの技術もシリコングラフィックス無くしてできなかったとも言えます.
 
 シリコングラフィックス社は,グラフィックス環境をサポートするためのライブラリとして,GLというライブラリを開発してきました.これを発展させ,その仕様を公開することによって,ソフトウェアとしてのグラフィックス技術を広めようとしました.これがOpenGLです.OpenGLの公開は1992年から1993年の頃だったと思います.(私はそれ以前のGLをちょっとだけ勉強しましたが...)
 
 このOpenGLに目をつけたマイクロソフトは,自社のOS上でOpenGLをサポートすることにしました(1995年から1996年頃).これによって,それまでシリコングラフィックス社の機械でしか動かなかったソフトウェアのWindowsあるいはWindowsNTへの移植が一気に加速しました.昨今では,WindowsNT上でCGを扱うプロも多くなったようです.
 OpenGLライブラリさえあれば,ノートパソコンでさえ,シリコングラフィックスと同様の機能を有することが可能になります.透視投影変換はもちろん,シェーディング,テクスチャマッピング,フォグなどさまざまな機能が容易に実現できます.

 逆にシリコングラフィックスはOpenGLを公開したばかりに,自社製品の販売力を失うというジレンマにあっています.しかしながら,昨今ではソフトウェア指向を強めており,既にマイクロソフト社と提携して次世代のグラフィックスライブラリ(Fahrenheitと呼ばれる)の開発を行なっています.また,これまでのUnixベースの機械から,今夏にはNTをOSとした機械を売り出すようです.

 コンピュータグラフィックスの授業では,シリコングラフィックス社の開発したOpenGLをVBから稼動することにより,3次元グラフィックスを習得してもらおうかと考えています.またVRMLなどの技術もシリコングラフィックス社が主導していることから,OpenGLさえ理解できれば,VRMLの構築も容易に行なえるのではと思います.
(VBとOpenGLとのリンクに関しては国内では参考となる書籍は存在しません.OpenGL自体についても,日本国内では参考書も数冊の難解な訳本が高額で売られている状況です.)

 なお,マイクロソフトはもうひとつグラフィックスライブラリとして,DirectXというライブラリを持っていますが,これはゲーム開発が主たる目的です.より高度なコンピュータグラフィックス(例えば科学技術分野やプロ用のCGソフトウェア)には,OpenGLが用いられています.