都心循環バス アンケート集計結果 <通勤詳細篇>
対象地域
通勤について、集計の対象としたのは勤務先が都心部内である回答者894人です。都心部は下図に示す区域としました。
回答者の世代別割合・男女比
回答者の世代別割合と回答者の男女比を下図に示します。最も回答者が多かったのは、20代(10代は1人のみ)でした。男女比については、男性が6割、女性が4割と若干男性に偏っています。
回答者の免許保有・使用可能車の有無
回答者の免許保有状況と使用可能車の有無の割合について下図に示します。免許保有の有無に関しては、都心通勤者のおよそ9割が免許を保有しています。しかし、約半数の人は通勤時に使用可能な車を持っていないと回答しました。
通勤手段別循環バス利用意向
現在の通勤手段が自動車、公共交通、徒歩及び二輪の別に、循環バスの利用意向を下図に示します。図は、運行間隔5分の場合です。この結果から、現在の通勤手段が公共交通の人だけでなく、自動車や徒歩・二輪の人にとっても循環バス利用意向傾向があることが分かります。従って、このことは、自動車から公共交通への通勤手段の転換の可能性を示していると考えられます。
公共交通降車地から勤務先までの徒歩移動距離
公共交通利用者について、最後に降車したバス停または駅から勤務先までの徒歩移動距離の分布を下図に示します。尚、運行間隔別の利用意向人数については運賃100円の場合です。また、平均徒歩移動距離は429mで、5分程度で歩ける距離です。この結果から、公共交通降車地から勤務先までの距離が短い人に対しても循環バス利用意向傾向が見られます。しかし、短距離では、待ち時間のために、バスで移動するよりも徒歩で移動した方が、場合によっては早くなると考えられます。
従って、この利用意向割合については、妥当性の検討が必要であると考えられます。
循環バス路線別に見る移動時間短縮効果
循環バス導入による利用者全体の移動時間短縮効果を下図に示します。循環バスのルートは、基本ルートと、A〜Eのオプションをそれぞれ追加した、合計6つの路線について考えました。結果については、基本ルートと国分町経由ルート、また、駅前経由ルートと錦町経由ルートの差は、ほとんどなかったので一緒にしています。
総移動時間短縮効果は、循環バス導入によって短縮される移動時間の総和です。この計算については、循環バスを利用することによって移動時間が短縮される人は、すべて循環バスを利用するものとして考えています。
この結果から、移動時間短縮の効果は、待ち時間に大きく依存していることが分かります。待ち時間が1.5分になると利用者全体の移動時間短縮効果は、およそ1/2になり、待ち時間が2.5分になると1/3になっています。更に、待ち時間が5分になると、ほとんど移動時間の短縮効果はなくなってしまいます。
循環バスルートの優劣を考えた場合、駅前経由ルートもしくは錦町経由ルートが最も利用者全体の移動時間短縮に繋がることが分かりました。
循環バスの費用と便益の概算
そこで、駅前経由ルートについて循環バスの費用と便益を概算しました。尚、循環バスは運行時間午前7時から午前9時までの2時間、運賃100円として計算しました。
また、概算について利用見込は、午前7時〜午前9時までの間に都心部に通勤する人すべてが公共交通を利用するとして、公共交通降車地点から勤務先までの移動時間が、
循環バスによって短縮される人のうちの60%が利用すると考えて算出したものです。
この結果から、運行間隔が5分では黒字に、運行間隔が10分では赤字になることが分かります。
| 運行間隔5分 | 運行間隔10分 |
利用見込 | 2000(人) | 750(人) |
各バス停到着人数 | 4.5(人/便) | 3(人/便) |
運賃収入 | 200,000(円/日) | 75,000(円/日) |
運行費用 | 163,000(円/日) | 82,000(円/日) |
事業収益 | 37,000(円/日) | -7,000(円/日) |
時間短縮効果の貨幣換算 | 204,000(円/日) | 41,000(円/日) |
時間短縮効果−運行費用 | 41,000(円/日) | -41,000(円/日) |
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