都心循環バス アンケート集計結果
調査目的
仙台都市圏の公共交通網は、JR仙台駅を中心とする放射状のネットワークのみであり、都心部での面的サービス水準は低くなっています。このため、公共交通利用者は駅やバス停から1km以上も歩いたり、それを嫌って自動車でやって来ることになります。そこで、都心部における公共交通による面的サービス水準を高めるため、都心循環バスの導入を提案します。そのためには、循環バスのルートや運行頻度、運賃が需要に及ぼす影響を明らかにしておく必要があり、今回、通勤及び業務を対象としてアンケート調査を実施しました。
調査概要
調査対象 :仙台市内の企業・行政機関等1734社の各社5名、合計8670名。
調査期間 :1998年12月24日〜1999年1月18日
調査方法 :各社に一括郵送配布、社内配布を依頼、各個人から郵送回収。
回収率 :回収1671票、回収率19.3%
集計対象 :通勤については、勤務先が都心部であるもの894票を対象
業務については、全1671票を対象
なお、回答者の通勤時の都心までの交通手段分担率をパーソントリップ調査(1992年)と比較すると、公共交通利用者が27ポイントほど多く、公共交通利用者に偏っています。
ルート案
アンケートでは下図の青線で示した基本ルートにA〜Eまでのオプションを追加できるとしたとき、どのルート(オプション)がよいか聞いたものです。オプションは複数選んでも構いません。例えば、AとDのオプションを選んだ場合は、仙台駅−青葉通−国分町通−定禅寺通−東二番町通−広瀬通−仙台駅というルートになります。
集計結果・通勤篇
ルートの選好結果
通勤のときのルート案の選好を下図に示します。この図より、回答者の1/3は基本ルートのままでいいと回答していますが、さらに1/3の回答者がB(県庁・市役所周辺)とD(仙台駅)もルートに含めて欲しいと回答しています。
頻度と運賃の影響
循環バスの運行間隔を5分未満〜15分、運賃を170円〜無料までかえたときの、循環バス利用意向の変化を下図に示します。運行間隔が5分までは、どの運賃に対しても利用意向は非常に高く半数以上の人が利用する意思を示しました。運行間隔が10分以上になると、利用意向は大きく減少し運賃による利用意向の差が出ています。
また、運行間隔15分で無料よりも、運行間隔10分で100円の方が利用意向は高く、同様に、運行間隔10分で無料よりも、運行間隔5分で100円の方が利用意向が大きくなっています。このことから循環バスについては、運行間隔を短くすれば比較的高い運賃を払っても利用してくれる人が多いことが分かります。逆に、運行間隔が長くなれば、運賃を無料にしても、循環バス利用者は見込めないということになります。
バス利用に対する抵抗
バス利用に対する抵抗を、公共交通、自動車利用者の別に下図に示します。最も抵抗を感じる人が多かった項目は、公共交通利用者、自動車利用者ともに「時間がかかる」でした。また、「運行ダイヤが不正確」、「運行頻度」等、時間的サービス不足に起因するものが上位を占めました。
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集計結果・業務篇
ルートの選好結果
業務のときのルートの選好結果を下図に示します。なお、ルート案は通勤の場合と同じです。この図より、回答者のおよそ2割は基本ルートのままでよいと回答しています。通勤と比べるとB(県庁・市役所周辺)を希望する人が多くなっています。また、仙台駅を経由するオプション(D、E)への希望も高くなっています。
頻度と運賃の影響
循環バスの運行間隔を5分未満〜15分、運賃を170円〜無料までかえたときの、循環バス利用意向の変化を下図に示します。通勤の場合と比べると、利用意向率は若干下がりますが、運行間隔が5分までは、4割〜5割の人が利用する意思を示しました。運行間隔が10分以上になると、利用意向は減少し運賃による利用意向の差が開いています。
また、運行間隔15分で無料よりも、運行間隔10分で170円の方が利用意向は高く、同様に、運行間隔10分で無料よりも、運行間隔5分で170円の方が利用意向が大きくなっています。このことから業務に関しても循環バスについては、運行間隔を短くすれば比較的高い運賃を払っても利用してくれる人が多いことが分かります。逆に、運行間隔が長くなれば、運賃を無料にしても、循環バス利用者は見込めないということになります。
バス利用に対する抵抗
業務でのバス利用に対する抵抗を、通勤の場合と比較して下図に示します。抵抗を感じる人が多かった項目は、通勤の場合と同じで「時間がかかる」、「運行ダイヤが不正確」、「運行頻度」等、時間的サービス不足に起因するものが上位を占めました。また、通勤と比べて業務では「バス路線の分かりにくさ」や「乗り換え」に対する抵抗が大きくなっています。逆に、「運賃」や「車内の混雑」についての抵抗は小さくなっています。尚、「荷物」に対する抵抗は1割程度の人しか回答していませんでした。