2022年度(令和4年度)9月
宮城大学学位記授与者への祝辞

令和4年度9月,学位記を授与され,宮城大学を卒業し,社会に飛び立つ学生に向けお祝いの言葉を贈ります。

今年は,ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による戦争,引き続く新型コロナウイルス感染者発生の中での経済社会活動との両立への転換,これらによって引き起こされている強烈な円安という前例のない困難に晒された時を迎えています。しかし,困難な中首をすくめて通り過ぎることを願っていても事はよい方向に転がるものではありません。困難は変革を生みます。こういったときにこそ変革の手綱を取り,跳躍していくことが期待出来ます。現に,社会は困難を乗り越え発展をしていくために,デジタル化による新しい事業や便利な生活を生み出すDigital Transformation(DX)化や化石エネルギーからの転換を含むカーボン・ニュートラルへの取り組みを加速させてきています。ここには様々なチャンスがあります。

社会に出たとき,すぐにはその糸口がどこにあるのかわからないかもしれません。しかし,日々を注意深く振り返って課題を見つめることで,次第に糸口を探し当てることができるはずです。そして,それを解決に持っていく力。これは既に身についているとは限りませんが,常日頃から学びを繰り返し,社会の情報を集めて分析し,理解することから力は養われていきます。大学ではそのための基礎力をしっかりと得たものと信じます。

これまでの大学での在学期間の過半の時間を新型コロナウイルス感染症の蔓延とともに過ごすことになったのは残念なことであったと思います。本学は実践教育を尊重する学是に基づき感染防止対策を徹底することで他の大学よりは対面授業時間を確保し,友人や仲間と一緒に過ごすことのできる機会を持てるように努力をしてきました。それでも不便で孤独な日を送ったこともあったかもしれません。社会は徐々に平穏を取り戻し,人と人の交わりも深まっていくものと思います。多くの人と交友関係を結び,豊かな人生を過ごされるよう願っています。

これからは大学の学位を背に社会での活動に乗り出していくものと思います。最後に,宮城大学の生活で得たものを糧にかけがえのない人生を開拓し,華やかな人生とならんことを祈念して,お祝いの言葉といたします。

令和4年9月15日
宮城大学学長
川上 伸昭

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