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23.01.31
地域(ローカル)と開発途上国(グローバル)を繋げて課題解決に取り組む 「宮城大学・JICA 連携グローカル・プログラム」(2022年度)
事業構想学群と JICA 東北 (独立行政法人国際協力機構東北センター) は,国内外の地域社会で必要とされる問題発見・問題解決力を身につけた“グローカル人材”を育成するため「宮城大学・JICA連携グローカル・プログラム」を令和 4 年 4 月から開始しています。2022年度は,10月~12月にかけて導入科目である「事業構想特別講義Ⅰ(全7回)」を展開,事業構想学群34名,看護学群5名の合計39名が受講しました。
「国際協力は双方向の学びのプロセス」地域づくり・課題解決に通じる
JICA海外協力隊の経験者やJICA職員等を講師としたレクチャを実施
全7回のうち#1~#5で行われたレクチャでは,国際協力が必要である現状の紹介に始まり,カンボジアにおける政府開発援助(ODA)の事例や,JICA海外協力隊として活動したキルギス共和国,マラウイ共和国,ドミニカ共和国,ケニアなどの事例を紹介,それぞれの国の文化的な背景と,理学療法士や灌漑事業に関する技術者としての実際の体験を通し,文化の尊重・コミュニケーションの重要性・異文化理解について学びを深めました。
#6では,視点を国内に移し,秋⽥県五城⽬町の地域づくりの事例を通して,⼈⼝減少社会をめぐる変化の中で「発展」や「豊かさ」を見直す・⾒⽅を変えてみることの重要性が紹介され,国際開発・国際協⼒でも,国内の地域づくり・課題解決でも共通する事項があり「国際協力は双方向の学びのプロセス」であることが示されました。
講義としては最終回となる#7では,それまでの学びを踏まえ「気づいたこと」や,「環境,貧困,人権,平和,開発といった地球規模の様々な課題解決のために,自身にできることは何か」をテーマにグループディスカッションすることで理解を深めました。グループ内の学生の意見を聞き,各グループからの発表内容を全体で共有する中で,国際協力が遠い海外のことではなく,フェアトレード商品の購入など身の回りにもあることや,JICA海外協力隊員が派遣国で様々な困難に直面しながらも自分の力で課題解決に取り組んだこと,どこの国でも人同士のコミュニケーションが最も大切であり,そのための創意工夫が求められることに学生は気付いた様子でした。
初年度のプログラムを通して,プログラムを主催する郷古雅春教授は「多くの学生から『国際協力は実際に海外に行って行うもので,自分とは直接関わりがないというイメージが強かったが,国内の地域にいてもできる国際協力が多いことに気付いた』『地域と国際協力は関係が無いようで実は深く繋がっていることに気付いた』という意見が寄せられました。国を超えた様々なバックグラウンドを持つ人々が地域で一緒に暮らすようになる社会がすでに始まっており,多文化共生はとても重要なキーワードであること,国際協力は多文化共生を理解する近道であること,そして地域創生は世界中に広がっていることに多くの学生が気付いたようです。最後のグループディスカッションを通して,学生は地球規模の様々な課題を自分ごととして捉え始めている様子でした。次の科目からは専門性と難易度が高くなりますが,学びの中での学生の成長をとても楽しみにしています。」とコメントしています。
2023年度は,多文化共生社会への対応や,外国人労働者の増加が見込まれる宮城,東北における人材育成の視点もテーマに取り入れながら,「国際協力論:JICA,アジア開発銀行,NGO等の方々を講師として国際協力の知識と課題を学ぶ」「地域プロジェクトマネジメント:国際協力で活用するPCM(Project Cycle Management)等のプロジェクトマネジメントを学ぶ」「地域創生特別講義Ⅰ:開発途上国での実践を想定した実践的英語を学ぶ」「イノベーションデザイン特別演習Ⅱ:開発途上国で実際に体験し国際協力と異文化理解を学ぶ」を展開します。
2022年度-事業構想特別講義Ⅰ
#1 | 10月20日 | ガイダンス,地域創生と国際協力の関わり 講師:郷古雅春・青木孝弘(宮城大学),佐藤一朗(JICA緒方貞子平和開発研究所) |
#2 | 11月5日 | 【国際協力論】国際協力の基本的な考え方や仕組み |
#3 | 11月5日 | 【地域創生特別講義Ⅰ】 |
#4 | 11月5日 | 【地域プロジェクトマネジメント】国内外の地域におけるプロジェクト 講師:三好崇弘(宮城大学客員教授) |
#5 | 12月10日 | 【イノベーションデザイン特別演習Ⅱ】 開発途上国における異文化理解とコミュニケーションの経験講師:後藤真実・峯尾泉(元JICA海外協力隊員) |
#6 | 12月10日 | 【グローカル共生論】SDGsとグローカル |
#7 | 12月10日 | 総合討論 |
宮城大学・JICA 連携グローカル・プログラム
本プログラムは事業構想学群の学生を対象とした教育プログラムです。座学に加え,実際に開発途上国の現場を訪問する科目など,1 年次後期~ 3 年次前期の 2 年間で 6 つの科目により構成されています。国内外の地域社会で必要とされる問題発見・問題解決力を身につけるため,地域(ローカル)と開発途上国(グローバル)を繋げて学習・交流・協働することにより,国際社会で通用する能力やグローバルな視点・素養を持ち,地域社会や地域経済の活性化や持続的発展に貢献する “グローカル人材” を育成することが目的です。
JICA 東北について
JICA 東北センターは,人々が明るい未来を信じ多様な可能性を追求できる,自由で平和かつ豊かな世界を希求し,パートナーと手を携えて「信頼で世界をつなぐ」という JICA のビジョンを,ここ東北から推進するために,開発途上国と東北地方の地域社会をつなぐ「結節点」として,双方の発展に貢献する国際協力事業を推進しています。
JICA 東北センター
事業構想学群について
宮城大学は,グローバルな視点で地域社会の発展に貢献できる人材の育成を理念の一つとして掲げ,実学を尊重し,実践的な教育に取り組んでいます。事業構想学群では,現代社会の諸課題を多角的・グローバルな視点で論理的にとらえ,その課題解決に向けた事業を実行可能かつ持続可能なものとして構築する能力を身につけるとともに,豊かな人間性を基盤として地域資源の活用や新たな価値創造を志向し,産業,行政及び社会の各分野で先導的役割を担うことができる挑戦意欲旺盛な人材の育成を目指しています。
事業構想学群
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