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24.11.13
11/8「アルコールで走る車が地球を救う 脱炭素の救世主・バイオエタノール」著者たちによるミニシンポジウムを実施/グローバル・フードシステム論
フードマネジメント学類における「グローバル・フードシステム論」(担当教員:森田・三石)は、グローバルなフードシステムの全体像と私たちの食生活への影響を学ぶために、国際貿易の理論と仕組み、食料貿易の国際的なルール、海外での食料生産のあり方や輸出入の状況などを学ぶ授業です。今回は、担当教員のひとりである食産業学群三石教授が著者として名を連ねる『アルコールで走る車が地球を救う 脱炭素の救世主・バイオエタノール』(毎日新聞出版)の出版を記念して、アメリカ穀物協会日本事務所(代表 浜本哲郎)の全面的ご支援の下、著作に関わる化学・工学・農業経済学・経営学・社会学などの専門家や、ジャーナリスト、サイエンス・コミュニ―ケーションの第一線でご活躍している方々(いずれも、本書執筆の前段階である「バイオ燃料検討会」メンバー)が参集したミニシンポジウム形式の授業を展開しました。
アルコールで走る車が地球を救う 脱炭素の救世主・バイオエタノール
石炭・石油や天然ガスの代替燃料として期待されているバイオエタノール。エネルギー問題を解消し、環境にも優しい再生可能エネルギーの概要から現状まで、第一線の専門家が解説する。『「アルコールで走る車が地球を救う」。本書のタイトルである。ここでいうアルコールとはエタノールのこと。では、なぜ今エタノールなのか。それは、植物由来のバイオエタノールを自動車や飛行機などの燃料として使えば、いますぐにでも二酸化炭素削減の救世主になりうるからだ。この本が、読者の環境問題やエネルギーの理解の一助となれば幸いである。』
- 発行元:毎日新聞出版
- 発行年月日:2024年10月1日
- ISBN : 978-4620550213
- 著者:本間正義、横山伸也、三石誠司(食産業学群教授)、小島正美
日本のエネルギーの現状を知る:食産の授業でエネルギー?
再生可能エネルギーやCO2排出削減には多くの学生が関心を持っています。しかしながら、農産物生産や食品の製造・加工に集中していると、世界や日本のエネルギー全体がどうなっているのかを自分の専門分野と関連付けて学ぶ機会はそれほど多くありません。安くて良質な食品原材料の入手は誰もが望みますが、それを入手するためにどれだけのエネルギーが使われているか、日本国内に残されている未利用資源は何か、日本のエネルギーの全体像を把握することから授業は始まりました。
「EV(電気自動車)は本当に環境にやさしいのか?」
講義は、エタノールの化学的構造や工学的特徴から始まり、消費者の関心や未利用資源の話など多岐にわたりました。その中で講師のひとりからEV(電気自動車)は本当に環境にやさしいのか?という刺激的な問いかけも出され、学生達には大きな関心を引き起こしたようです。そして、CO2排出削減を達成する方法のひとつとして、米国のトウモロコシやブラジルのサトウキビを活用したバイオエタノール、さらに水田とコメの可能性についての議論が展開されました。
受講した学生からは「普段は食のもっと専門的な観点からしか物事を見ていないことが多い中、他の自動車産業や製造業などから見た視点、日本だけでなくアメリカなどの世界から見た視点など様々な視点から同じ問題に対する改善方法が提案されていてとても興味深かった」「複数の考えを一度に聞くことができ、とても貴重な機会となった。耕作放棄地や水田、下水道からもバイオエタノールを作ることができるという話に驚き、国内で生産できる機会は意外と多くあるのだと思った。トウモロコシは多くが飼料として使用されると思っていたので、アメリカではトウモロコシ需要のほぼ半分がFSI(食品・種子・工業用)に用いられていると聞き、世界の状況も変わっていることを初めて知った」といったコメントが寄せられました。
グローバル・フードシステム論
食産業学群フードマネジメント学類の3年生を対象とした後期開講科目です。私たちの国の消費食料カロリーの60%以上が輸入食料に依存することを背景として、グローバルなフードシステムを学ぶために、国際貿易の理論と仕組み、食料の貿易の国際的なルールや仕組み、海外での食料生産のあり方や輸出入の状況など、グローバルなフードシステムの下での状況について検討していきます。(全15回)シラバス
担当教員プロフィール
・三石 誠司:食産業学群教授
経営学(戦略論、組織論)、アグリビジネス経営、企業法、企業倫理を専門分野として、現在の食料・農業・農村と企業活動において、いかにして長期的に「生き残るか」、その「戦略」を研究しています。
・森田 明:食産業学群教授
農業経済学、農業・農村政策、食産業史を専門分野として、戦後の食料消費や食産業の歴史について、国家政策(農業政策・社会保障政策等)からの観点で研究しています。