１．画像処理

　1)明るさの補正

　トーンカーブによる補正：スキャナやデジタルカメラによる入力画像の明るさを変える場合によく用いられる．入出力装置に用いられるガンマ曲線と同様である．
　画像の入力値をX軸，出力値をY軸として補正曲線を描き，それに応じて，出力値を決定する．

（演習１）　Adobe Photoshopでサンプル画像を読み込み，トーンカーブの効果を試してみなさい．また赤（R)のみの補正を行なってみなさい．
 

　2)近傍ピクセルとの演算処理

　　画像のある一部分のピクセル（３×３）を以下のように番号付けを行なったとする．

処理前のピクセル

　ここで中央のピクセル，つまり(5)のピクセルに対する演算処理を行うとする．
　近傍処理との演算においては，フィルタを設定する．ここでフィルタ行列を次のようにおく．

フィルタ行列

 ピクセル(1)，(2)，(3)，・・・の成分をP1, P2, P3，・・・・と表わすことにすれば，ピクセル"5"の新しい成分P5は，以下の通り表わされる．　

  P5= P1*a＋P2*b＋P3*c＋P4*d＋P5*e＋P6*f＋P7*g＋P8*h＋P9*i
となる．
 

  例１）シャープ化
　　　　
　　フィルタ行列（シャープ化）

　　　　　
 

　　元画像のピクセル成分が以下の通りであったとすれば，

 

　　その中央のピクセルの新しい成分は，
　　0×12＋(-1)×17＋0×18＋(-1)×11＋5×22＋(-1)×33＋0×9＋(-1)＋25＋0×35＝24となる．
 

例２）ぼかし（デフォーカス）の例

0.08 0.12 0.08
0.12 0.20 0.12
0.08 0.12 0.08
 

 （演習２）例１の３×３のピクセルの中央のピクセルに対し，ぼかしの演算を行えば，その値はいくらになるか．

例３）輪郭（エッジ）抽出

1 1 1
1 -8 1
1 1 1
 

例４）エンボス
 

-1 0 0
0 0 0
0 0 1　　　　さらに計算値に128（グレー）を加える．．

上記は光の方向が135度となる例である．

（演習３）Adobe Photoshopのフィルタ>>その他>>カスタムの機能を使って，
　　　　　シャープ化，ぼかし，輪郭抽出，エンボスを表現しなさい．
　　　　　またその数値の大きさ，オフセットを変更して，画像が変化することを確かめなさい．
　　　　　エンボスについて，光の方向が45度となるようにフィルタ行列を変更しなさい．

 3)マスクの利用

　カラー画像は，RGBの３チャンネルから構成されるが，それらに更にチャンネルを加え，それをマスクとして利用する．マスクはグレースケールで表現され，白の部分では処理を行い，黒い部分では何も行わないという画像処理の分離が可能となる．
　AdobePhotoshopなどのペイントソフトでは，編集範囲の限定等に用いられる他，3次元CGソフトウェアではスカラーマッピング（透明部分を有するマッピング）に用いられている．

（演習４）AdobePhotoshopでのマスクの利用方法を習得する．
 
 

２．画像ファイルの形式

1)画像の圧縮の国際規格

2)画像ファイルの選択

　版下作成の場合，画像のカラーモードはCMYKで，ファイル形式はEPS(Encaplsulated PostScript)もしくはTIFF(Tagged Image File Format)である必要がある．EPSはベクタデータの保存も可能である．
 注)PostScript  Adobe社の開発したページ記述言語

圧縮率の高い画像形式が必要となる．

GIF：Compuserveで開発されたファイル形式である．
　　インターレース描画，背景の透明化が可能であり，ページタイトル，ボタンなどに使われる．
　　ただし256色まで．
JPEG: 人間の目は高い周波数成分に対してほど鈍感であり，また輝度に関する解像度に敏感で，
　　　　　色度に関する解像度については鈍感である．これらの特性を利用し，人間が劣化を感じる
　　　　　ことが少ないような方法で圧縮を行う．
　　　　　1677万色カラー画像が扱えることから，ギャラリーなど大きな画像に利用される．　
　　追記）例えば前回の授業で口頭で紹介したエッシャーの無限階段
 

ソフト間での画像コンバート（PICT，BMP，TIFF，EPS，GIF）

PICT：Apple社Macintoshシリーズでの画像ファイル形式
BMP：Windowsでの標準
 

JPEGによりフルカラー画像を1/5-1/50に圧縮可能（但し，画質は劣化する）．