2022/10/15
【週末対話】親子で考える。世界のフードシステムの未来
NewsPicksが今年8月より、月1回発行している子ども向け新聞「NewsPicks for Kids」(以下、for Kids)。
「家族でもっと話そう、世界のこと」という理念のもと、「覚えるためのニュース」ではなく、「問いを立て、考えをアウトプットするためのイシュー」を、小学3年生〜中学3年生向けにお届けしています。
本シリーズでは、毎月、for Kids最新号の記事を素材として「子どもにどのような問いかけをし、どう対話を広げていけばいいのか?」のTipsを、いくつかの記事をピックアップしながらお届けします。
この週末、ご家庭での会話のタネになれば嬉しいです。
メイン特集:「フード・ジャーニー」
近年の気候変動、ロシアのウクライナ侵攻による原油高、さらには円安と、あらゆる要因が重なり、食料の多くを輸入に頼る日本の食生活は、大きな打撃を受けつつあります。
世界のあらゆる出来事は、私たちの日々の食卓までつながっていて、決して他人事ではないこと。
このことを子どもたちと一緒に考えるために、今月号のfor Kidsの紙面では、世界三大穀物である「米・小麦・トウモロコシ」を「穀物三剣士」として擬人化。
彼らが、どのような壁を乗り越えながら私たちの元へやってきているか、どのような姿に形を変えて生活を支えてくれているかを、ストーリー仕立てで表現しました。
例えば、こんな対話を楽しんでみてはいかがでしょうか。
①穀物を輸入に頼る日本
👩「日本では毎年たくさんの穀物が輸入されているんだね」
👦「全部でどのくらいの量なんだろう?」
👧「米、小麦、トウモロコシなどで、一番たくさん輸入しているものも調べてみよう!」
👦「全部でどのくらいの量なんだろう?」
👧「米、小麦、トウモロコシなどで、一番たくさん輸入しているものも調べてみよう!」
②冷蔵庫の中を探索!
👨「日本では、カロリーベースで62%もの食べ物を外国から輸入していると書いてあるね。家の冷蔵庫の中の食べ物の原料がどこから来ているのかな?」
👧「ラベルを見て、調べてみよう!」
👧「ラベルを見て、調べてみよう!」
③ウクライナ危機で、小麦への影響は?
👩「ウクライナで作られている小麦が、戦争によって輸出できないと書かれているね」
👦「でも、日本はアメリカ・カナダ・オーストラリアから小麦を輸入しているから、安心じゃない?」
👩「産地が北半球と南半球に分かれているから、天候異変などのリスクは回避できるよね。
でも、もともとウクライナから小麦を輸入していた国々が、代わりにアメリカ・カナダ・オーストラリアなどから輸入しようとなったら、私たちが輸入できる小麦の量や価格は、どうなっていくだろう?」
👦「でも、日本はアメリカ・カナダ・オーストラリアから小麦を輸入しているから、安心じゃない?」
👩「産地が北半球と南半球に分かれているから、天候異変などのリスクは回避できるよね。
でも、もともとウクライナから小麦を輸入していた国々が、代わりにアメリカ・カナダ・オーストラリアなどから輸入しようとなったら、私たちが輸入できる小麦の量や価格は、どうなっていくだろう?」
④代替肉で、食料不足の心配はなくなる…?
👨「私たちが普段食べる牛・豚・鶏を育てるには、エサの穀物が必要なんだね。ところで、今は『代替肉』といって、お肉にそっくりの食べ物も作られているよ」
👧「何でできているのかな?」
👨「代替肉には大きく分けて植物由来肉と培養肉があるみたいだね。植物由来肉の原料の多くは“畑の肉”でできているんだって。何だと思う?」
👧「大豆!」
👨「日本で本物のお肉が高くなったら、大豆のお肉なら安く手に入るかな? 大豆は日本でどのくらい自給できているかによりそうだね。調べてみよう」
👧「何でできているのかな?」
👨「代替肉には大きく分けて植物由来肉と培養肉があるみたいだね。植物由来肉の原料の多くは“畑の肉”でできているんだって。何だと思う?」
👧「大豆!」
👨「日本で本物のお肉が高くなったら、大豆のお肉なら安く手に入るかな? 大豆は日本でどのくらい自給できているかによりそうだね。調べてみよう」
(写真:Grandbrothers / iStock)
⑤バイオ燃料、日本での普及は?
👦「トウモロコシは『デンプンのり』や『バイオ燃料』など、食べ物以外の使い道もあるんだね」
👧「身の回りのどんなものに使われているのか、調べてみよう!」
👩「トウモロコシが原料のバイオ燃料は、アメリカでは盛んに作られているけれど、日本では一般的ではないみたいだね。なぜだろう?」
👧「身の回りのどんなものに使われているのか、調べてみよう!」
👩「トウモロコシが原料のバイオ燃料は、アメリカでは盛んに作られているけれど、日本では一般的ではないみたいだね。なぜだろう?」
⑥食料危機なのに、フードロス?
👦「世界の食料が足りなくなるかもしれないと言われているのに、日本では『食べ物のムダをなくそう』と呼びかけられているね」
👨「日本では毎年どのくらいの食品廃棄物が出ていると思う?」
👩「世界のどの地域で食べ物が足りなくて、どの地域では余っているのかも、調べてみよう!」
👨「日本では毎年どのくらいの食品廃棄物が出ていると思う?」
👩「世界のどの地域で食べ物が足りなくて、どの地域では余っているのかも、調べてみよう!」
(写真:krblokhin / iStock)
👨🏫教えてくれた先生:
三石誠司先生 宮城大学教授、食産業学群副学群長
1960年生まれ。東京外国語大学卒業後、全国農業協同組合連合会(JA全農)で22年勤務。ハーバード大でMBA、筑波大で修士(法学)、神戸大で博士(経営学)を取得。著書に『中小企業と経営』『空飛ぶ豚と海を渡るトウモロコシ』などがある
三石誠司先生 宮城大学教授、食産業学群副学群長
1960年生まれ。東京外国語大学卒業後、全国農業協同組合連合会(JA全農)で22年勤務。ハーバード大でMBA、筑波大で修士(法学)、神戸大で博士(経営学)を取得。著書に『中小企業と経営』『空飛ぶ豚と海を渡るトウモロコシ』などがある
次のような記事も、テーマを深堀りするヒントになるかもしれません。
動画で楽しむクイズコンテンツもご用意していますので、こちらも併せてどうぞ。
かわいい「NFT」が大人気
サブ特集では、Web3時代の今、一大ムーブメントを巻き起こしている「NFTアート」について、子ども向けに解説をしています。
紹介するのは、頭が長く伸びた動物のドット絵で人気のコレクション「Very Long Animals(通称・ベリロン)」です。
「ベリロン」のキャラクターたち(提供:Akim氏)
【例えば、こんな対話】
👨「どうして、デジタルの絵に値段がついて売り買いされているんだろう?」
👧「仕組みを調べてみよう!」
👩「ほかには、どんなNFTアートが人気なんだろう」
👦「僕も作ってみようかな?」
こちらの記事では、JobPicksのオリジナル特集「Z世代発、熱狂のNFT『ベリロン』誕生秘話」をベースに、ファウンダー・クリエイターのAkimさんへのインタビューを掲載しています。
次のような記事も、テーマを深堀りするヒントになるかもしれません。
from NYT:今日も無事に家に帰れる?
「The New York Times For KIds」からは、銃乱射事件の脅威に晒されながら過ごしている、日本では想像しづらい「アメリカの子どもたちの日常」をレポートします。
今年5月、テキサス州の小学校で19人の生徒、2人の先生が死亡した事件は特に記憶に新しいところです。
こうした恐怖に晒されて過ごすアメリカの子どもたちには、日頃から大きなストレスがかかっており、不安やうつ病の原因になっているといいます。
銃乱射事件の危険に晒される、アメリカの子どもたちの「メンタル問題」をレポート
【例えば、こんな対話】
👩「日本の学校には防災訓練があるけれど、アメリカには『銃乱射対応訓練』があるんだね」
👧「どんなことを訓練するのか、調べてみよう」
👨「アメリカでは、どのくらい銃の被害が出ているんだろう?」
👦「大きな問題になっているのに、なぜ減らないんだろう? 子どもたちを守るには、どうすればいいのかな?」
そのほか、10月号の全ラインナップは、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
身近なニュースを題材に、大人から問いを投げかけてあげることで、お子さんの「なぜ? どうして?」が、ますます湧いてくるはずです。
ご家庭で知的好奇心に溢れた会話がたくさん弾むよう、for Kidsはこれからもさまざまなイシューをお届けしていきます。
来月もお楽しみに!