土木計画学研究・論文集,No.14,pp.809-816,1997
東北地方における高速バスの運行実態と活性化方策について
今野 恵喜・徳永 幸之
概要
本研究は,東北地方の高速バス運行実態と沿線住民の交通特性を把握して,
高速バス活性化策を検討したものである.
調査・分析の結果,以下のようなことが明らかになった.
1)高速バスの利用者数は運行本数の影響を強く受けている.
2)バス停施設やバス停までのアクセスの整備水準が低い.
3)高速バス停付近の無料駐車場の設置や運行本数の増加が利用者の外出回数を増やし,
自動車利用者を高速バスに転換させ得る.
以上のことから,高速バス活性化方策としては,高速道路上のバス停までのアクセスを整備し,
これまで通過していた高速バスを停車させるなどして,
住民の外出希望時間帯に合わせた高速バスダイヤを設定することが検討されるべきである.
Keywords:公共交通計画
目次
- はじめに
- 東北地方の高速バス運行実態
- 調査概要
- 全体像
- 系統特性
- 利用者数に関する分析
- 定時性の問題
- 停留所施設
- 車内設備・サ−ビス
- 他の交通機関との接続
- 小荷物輸送
- 沿線住民の交通特性と高速バス活性化方策
- 調査概要
- 九戸地区の高速バスの概要
- 住民の交通実態
- 高速バス利用者の意識
- 高速バス利用増に対する意識
- 九戸地区の交通環境改善策の検討
- おわりに
参考文献
- 森地 茂:近中距離帯における都市間バスと航空の役割に関する一考察,土木計画学研究・講演集,No.9,pp.281-288,1986
- 高橋 清:北海道における都市間バスの現状と課題,運輸と経済,Vol.52,No.11,pp.56-65,1992
- 寺田 一薫:都市間高速バスの政策課題,都市問題研究,Vol.42,No.12,pp.54-66,1990
- 新納 克広:都市間中長距離バス輸送の発達と都市間旅客交通市場の変化,交通学研究,pp.115-126,1990
- 大澤 厚彦:高速バス運行に対する利用者意識の路線別特性について,土木計画学研究・講演集,No.15(1),pp.463-468,1992
- 大澤 厚彦:わが国の高速バス運行形態と停車施設に関する研究,土木計画学研究・講演集,No.16(1),pp.274-276,1993
- 大澤 厚彦:わが国と米英の都市間バス輸送に関する比較研究,土木計画学研究・講演集,No.17,pp.747-750,1995
- 田部井伸夫ほか:地方圏における高速バスの活用に関する基礎的研究,高速道路と自動車,Vol.39,No.3,pp.28-36,1996
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