都市計画論文集,No.29, pp.175-180,1994
宅配バスの成立可能性の検討
徳永幸之・稲村 肇・須田 熈
概要
地方部におけるバス事業は人口減少とモータリゼーションの進展により,
経営的に厳しい状況にある.一方,
成長を続ける宅配便事業においても地方部における輸送効率の悪さが問題となっている.
この両者を併せて解決する方策として,
宅配ネットワークの一部を路線バスが分担する「宅配バス」が考え出された.
宅配バスは1992年以降,岩手県の2地域と北海道において運行されているが,
その実現にはバス側,宅配側ともに種々の制約があることや
路線毎の実現可能性の検討に手間取ることから,実現に至った路線は少ない.
本研究では,宅配バスのメリットと成立条件を整理し,
宅配バス成立領域をモデル化した.
モデルによる検討の結果,横持ち区間での宅配バス成立可能性は少なく,
集配区間や独自ネットワークへの適用可能性が示された.
Keywords:宅配便,過疎バス,成立モデル
目次
- はじめに
- 宅配システムとその問題点
- 宅配バスシステム
- 宅配バスの概要
- 宅配バスの運行形態
- 宅配バスのメリット
- 宅配バス成立モデルの構築
- 宅配バスの成立要件
- バス側制約条件のモデル化
- 宅配側制約条件のモデル化
- モデルの検証
- 宮城県内への適用
- 宅配バス実現への課題
- 結論
参考文献
- 岩手県バス協会(1993):岩手県における地方バスの具体的活性化方策の調査報告書
- 新納克広(1993):過疎バス路線維持の新手法,宅配バス,運輸と経済,Vol.53,No.11,pp.57-65
- 斎藤実(1991):宅配便−現代輸送のイノベーター,成山堂書店
- 倉石俊(1989):これがクロネコヤマトだ!,ダイヤモンド社
- 舘澤貢次(1987):宅配便のウラの裏がわかる本,ぴいぷる社
- 斉藤・徳永・須田(1994):宅配バスの成立条件とそのモデル化,土木学会東北支部研究発表会,pp.412-413
toku@plan.civil.tohoku.ac.jp