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MYU Double Diamond Workshop 2021

Double Diamondとは,イギリスのデザインカウンシルが提唱するデザインプロセスのダイアグラムです。ふたつのダイアモンド(菱形)は,問題をより広くまたは深く探求し(発散的思考),その後,焦点を絞った行動をとる(収束的思考)というプロセスが,二度繰り返されることを表しています。ひとつめのダイアモンドは,(1) そもそも何が問題なのかを広く探索して見つけ出し(Discover),(2) 焦点を絞るべき真の問題を定義しなおします(Define)。続く,ふたつめのダイアモンドは,(3) 明確に定義された問題に対して,どんな解決の可能性があるのかを様々な観点から幅広く展開した上で(Develop),(4) 効果のある具体的な解決策を生み出していきます(Deliver)。

Discover/Define/Develop/Deliver
デザインを見つける技術を身につけるための連続ワークショップ

デザインは,単にモノの見栄えを整えることではなく,モノの意味を変え,価値を創造する行為そのものです。社会が不確定に見えれば尚のこと,デザインの意義は大きくなっていきます。いわゆるデザイナーだけがデザインをするわけではありませんが,それでもデザインをするには基本的な技術が必要です。宮城大学で行われた連続ワークショップでは,Double Diamond のデザインプロセスの四つの段階それぞれに必要なデザイン技術の習得を目指しました。

8回のワークショップを通して、さまざまな角度からデザインの基本技術を学ぶ

過去8回のワークショップでは,既存の商品パッケージを取り上げ,商品の価値を生み出すために何がどのように表現されているのかを分析し,デザイナーになりきってプレゼンする「なりきりパッケージ」,いつも何気なく使用している人工物を,細部まで詳しく観察・分解したりしながら,詳しくスケッチを描いてみる「観察スケッチ」などさまざまな角度からデザインの技術を学ぶワークショップを実施しました。

動画で紹介している「アイデアスケッチ」は,情報科学芸術大学院大学(IAMAS)で開発された視覚的なブレインストーミング手法です。言葉だけが飛び交うブレインストーミングではなく,フォーマットを持ったA4用紙にスケッチによってアイデアを可視化することで,より焦点のはっきりしたアイデアを広げていくことができます。

担当教員プロフィール

本江 正茂

事業構想学群 教授

「2020年10月から事業構想学群に着任した本江正茂です。クロスアポイントメント,すなわち東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻との兼務という形になります。東北大学では専攻の他,工学研究科でフィールドデザインセンターを主宰しています。宮城大学と東北大学はコンソーシアムを組み,文部科学省次世代アントレプレナー育成事業EDGE NEXTプログラムを連携実施しました。ここで展示する一連のワークショップは,その成果の一つです。各回90分単発の短いワークショップですが,異なる内容のものを8回のシリーズで実施することで,さまざまな角度からデザインに必要な基本技術の習得をめざしました。実際のデザインプロジェクトが試合なら,これらは素振りや筋トレにあたるもの。普段から繰り返しやってみて,デザインの技を身体化しておきましょう。各回のワークショップの「レシピ」も公開しているので,ぜひ自分達でも試してみてください。」

デザインスキルワークショップ

東北大学大学院工学研究科フィールドデザインセンター

東北大学大学院工学研究科フィールドデザインセンターは,東北大学大学院工学研究科の優れた研究成果及び研究資産を活用し,産業界,国及び地方公共団体と連携し,簡単に正解を出すことのできない問題=「意地悪な問題 (wicked problem)」を抱えた現代社会のリアルな「フィールド」において,様々な領域の技術を統合してモノやシステムに新たな意味を与えて社会に接続していく方法である「デザイン」を通じて,高度な専門性と柔軟な協働性を発揮して問題解決にチャレンジする人材を養成する,多規範適応型コラボレーションによるプロジェクト駆動型デザイン研究・教育プログラムを実践する「センター」です。

「MYU Double Diamond Workshop 2021」は,デザインスタディセンターが主催となり, 東北大学フィールドデザインセンター「デザインスキルワークショップ」シリーズの一環としてEDGENEXTプログラムと共同で実施されたものです。