環境生体工学研究室
伊吹 竜太(食産業学群生物生産学類/講師)
生産環境の改善に関する研究
生物とそれを取り囲む環境の物理的な相互作用を対象として、生産環境の改善に取り組んでいます。現在は園芸施設と水産養殖施設の改善について取り組んでいます。
植物は光を受けて二酸化炭素と水を使って光合成を行うことは広く知られています。商業的に大規模な生産を実施しようとすると、光が植物に当たる過程、空気中から葉に二酸化炭素が移動する過程、根が水を吸収する過程で、それぞれ障壁があり様々な工夫がなされています。動植物の成長は生物学的なテーマですが、生産環境の改善においては物理学や化学の知識も関係してきます。
近年は気象条件の変化が著しく、従来の管理指針が当てはまらなくなってきています。とくに夏の高温化が著しくこれに伴う課題が増えてきています。光は必要なのですが、温度は欲しくない、一方で湿度はある程度欲しいといったバランスがとりにくい状態が求められます。生育管理のステージや時期、施設構造など複雑に関係してきます。
現場の様子はモニタリングや可視化実験によって把握することを行っています。IoT技術の発展に伴って、環境の状態変化を機器で計測し、データをインターネット経由で確認することができるようになりました。改善においてはコンピューターシミュレーションを利用して、どのような方法が環境改善に効果的かを予測することができます。
生産現場の方と協働しながら、生産者の視点を把握しつつ科学的な見方を共有し、生産の向上を図ります。