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22.12.23

11/18 自治体向けセミナー「総合計画策定のあり方を考える研究会」を開催しました/研究推進・地域未来共創センター

11月18日、研究推進・地域未来共創センター主催の自治体向けセミナー「総合計画策定のあり方を考える研究会」を開催しました。「総合計画」とは、地方自治体が策定するすべての計画の基本となる指針で、行政運営の最上位計画です。自治体のビジョンや、社会課題にいかに対応するかを示す必要があり、住民意見を政策に反映させるための策定プロセスなども含め、様々な工夫や配慮がなされています。近年ビッグデータの活用やE P B M(Evidence-Based Policy Making)による政策検討が求められる中で、エビデンスベースでの政策形成の考え方について意見交換や交流の機会とすることを目的に、県内自治体の総合計画担当職員を対象に企画・開催しました。

第1部:エビデンスに基づく政策形成へのアプローチ/3つの講演の中で事例を紹介

第1部では、事業構想学群の平岡教授と仙台市まちづくり政策局次長の柳津英敬氏、七十七リサーチ&コンサルティング株式会社 首席エコノミストの田口庸友氏による講演を行いました。柳津氏は「仙台市の総合計画-データと協働による政策立案–」と題して、データ分析と市民協働の手法を基本とし、職員が手作りで策定している仙台市の総合計画策定について事例を交えながら紹介しました。また、田口氏は「データを翻訳して読み解く地域経済の姿 -数字は嘘をつかない-」と題して、統計データの7つ道具の紹介や、データからどのように自治体の課題や強みを見出し政策立案につなげていくか、その見方や具体的な活用手法について、参加自治体の統計データを用いたクイズなども交え紹介しました。平岡教授は「計画策定に向けたアプローチ・手法の考え方」と題して、これまで主流であったエピソードベースによる仮説検証型の策定方法に対して、エビデンスベース(仮説発見型)のアプローチを併用した考え方の紹介や、宮城県35自治体の総合計画の動向や重点施策の傾向等について解説しました。

第2部:データから自治体の今を読み解き、未来を描く/参加者による意見交換

第2部では、参加者を交えた意見交換を行いました。意見交換では、参加者が事前に調べてきたデータから見た各自治体の特性や、それぞれの自治体での取組などを紹介いただきながら、現場の課題を共有しました。このなかで、田口氏から「データからみると、人口減少が進む中で世帯数は減っていないことがわかる。高齢者の一人暮らし世帯が増えているので、見守りなどの対策が必要。人口減少のトレンドのなかで、自治体の施策の方向性としては、1人あたりの所得をどう上げていくかが大切となる。一方で、データが全ての答えではない。客観的な指標を押さえながら、現場のニーズを政策に反映していくことが大切。」という提言がありました。また、柳津氏からは「仙台市は宮城県の中心都市であり都市機能も集積しているが、1次産業や2次産業を中心に周辺自治体と連携した政策を描いてきた。県内各自治体がそれぞれの強みを発揮しながら、県内全体が豊かになるように連携していけると良い。」というコメントがありました。

研究会での議論を踏まえて、風見センター長からは「総合計画や各施策を構築する際、各自治体ではこれまでエピソードベースで進めるケースが多かったが、計画策定のプロセスにデータを活用した仮設発見型のアプローチを組み込み、エビデンスとエピソードそれぞれの視点からより良い計画を作り上げていくことが重要である。」との総括がありました。さらに「大学という場では他の自治体の方々とフラットな関係で意見交換ができる。自治体同士の横の関係をつなぐ場として、宮城大学として引き続きこのような機会を設けていきたい。」と話しました。

参加者からは「データの活用策や見方についてとても勉強になった。逆にデータ至上主義とならないエピソードも大事であることが心に残った。」「ここでしか聞けないような価値あるお話を聞くことができ、発見、気づきが多く、収穫の多いセミナーだった。」「講師や参加者と率直な意見交換ができてよかった。新たなつながりも生まれた。」「市民の意見、データ利用の両輪で計画策定を進めていくうえで、データの活用方法や組み合わせについて様々な使い方ができることがわかり、どのように根拠とするかなど、非常に参考になった。」などの感想があり、大変好評のうちに終了しました。

研究推進・地域未来共創センターでは、地域の企業、自治体、学術・研究機関、金融機関等との連携に取り組み、様々な共創の場を展開していきます。

宮城大学研究推進・地域未来共創センター

宮城大学の教育や研究に関わる知的財産を活用し、地域の企業、自治体、学術・研究機関、金融機関等との連携を進めながら、新たな研究開発や地域未来共創プロジェクトを推進し、真に豊かで持続可能な地域社会を実現していくために設立。本センターは、本学における看護学群、事業構想学群、食産業学群、基盤教育群の各領域及びそれらの横断的な教育・研究の成果を基に、東北・宮城の様々な地域の資源や人材を新たな発想と視座から連携し、地域未来共創を推進するプラットフォームを構築していきます。

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