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25.02.18

1/16 令和6年度 自治体向けセミナー-自治体政策の課題と展望-を開催しました/研究推進・地域未来共創センター

2025年1月16日、研究推進・地域未来共創センター主催の自治体向けセミナーを開催しました。本セミナーは、自治体職員の皆さんが実務に役立つ知識や手法を学ぶとともに、担当職員同士の意見交換や交流の機会とすることを目的として、平成29年度から開催しているものです。今年度のセミナーでは、長年、県内自治体の各種委員や政策アドバイザー等に携わり、今年度末で本学を退官予定の教員4名が登壇し、これまでの各教員の活動をもとに、各分野における県内自治体の政策課題や今後の展望などについて議論するとともに、自治体職員を交えた意見交換や交流の機会としました。

水産・交通・地域・農業・まちづくり
それぞれの分野の実践を振り返り、自治体政策の課題について話題を提供

西川正純教授(水産・食産業)は、「みやぎ食の安全安心推進協議会」や「仙台市中央卸売市場再整備検討委員会」をはじめ、宮城県、仙台市、気仙沼市、女川町などの有識者委員会での活動からの示唆とともに、名取市閖上地区における震災復興計画の策定支援および水産業の復興と持続可能な漁業の振興に向けた産学官連携による研究開発の取り組みについて発表を行いました。また、徳永幸之教授(交通・地域)は、県内21の自治体の公共交通会議に携わった経験をもとに、宮城県内の地域公共交通の課題と住民ニーズへの対応に関する検証結果を紹介しました。特に人口減少に伴う公共交通の収支率の低下や、利用促進策と収益率向上の関係、生活環境や交通環境に応じた住民ニーズや満足度の違いなど、現行の課題に焦点を当てた調査分析結果を示しました。

郷古雅春教授(農業・農村)は、グリーンインフラをテーマに、田んぼダムの防災・減災機能を取り上げた話題を提供しました。鳴瀬川での豪雨災害時のシミュレーション結果や、世界農業遺産に認定された大崎市の農業水利管理システムを解説、食糧生産機能だけではない農地の重要性と、日本の伝統的な農業水利管理手法を海外への展開する活動などについて紹介しました。風見正三教授(都市・まちづくり)は、地域未来共創の視座と題して、大崎市で長年取り組んできた中心市街地の復興まちづくりの事例を取り上げ、グランドデザインの考え方や整備のプロセスについて紹介をするとともに、これまでの多数の自治体での総合計画や都市計画の策定支援の取り組みや、共創プロジェクトの実践、また環境政策の潮流を受けた持続可能なまちづくりの理念について、持続可能なまちづくりビジョンについて紹介しました。

それぞれの分野の登壇者と参加者がディスカッション、自治体政策の展望について意見交換

後半は「宮城県の自治体政策の展望と目指すべき姿」をテーマに登壇者同士によるクロストークを行いました。「政策を検討する際に現場の声を聞くことの重要性」「行政では個々の政策が縦割りになりがちであるため、上位計画のほか関連分野の計画との連携を意識しながら計画を立案していく必要がある」等、今後の自治体政策の方向性について参加者とともに意見交換を行いました。

クロストークセッション中、参加者様子

クロストークセッション中、参加者手元

参加者からは「それぞれの専門分野における教員方の取組を知ることができ、政策における本質的な課題を率直にお話しいただき、とても勉強になった」「各分野の専門家からの意見が政策・施策を考えるうえで大変参考になった」「先生方の知見や経験を通じて、現場の話を聞くことの重要性を再認識した」「持続可能なまちづくりについて、10年先、100年先を見据え、多角的な視点で考えるべきだと強く感じた」などの感想が寄せられました。

宮城大学研究推進・地域未来共創センター

宮城大学の教育や研究に関わる知的財産を活用し、地域の企業、自治体、学術・研究機関、金融機関等との連携を進めながら、新たな研究開発や地域未来共創プロジェクトを推進し、真に豊かで持続可能な地域社会を実現していくために設立。本センターは、本学における看護学群、事業構想学群、食産業学群、基盤教育群の各領域及びそれらの横断的な教育・研究の成果を基に、東北・宮城の様々な地域の資源や人材を新たな発想と視座から連携し、地域未来共創を推進するプラットフォームを構築していきます。

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