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21.07.26
食産業学群北辻教授らがペーパースラッジを主原料とする混和材を用いた流動化処理工法を開発、特許出願
食産業学群 北辻 政文 教授は、リサイクル材を大量に使用可能な建設材料としての利活用するための研究を行っています。これまでの研究では、ごみ溶融スラグ、鉄鋼スラグ、非鉄スラグ、石炭灰、コンクリートがら、鋳物砂、ペーパースラッジなどを用いた建設資材を開発しています。このたび、西松建設株式会社との共同研究のもと、製紙工場の産業廃棄物であるペーパースラッジを主原料とする混和材を用いた流動化処理工法を開発しました。
製紙産業の産業廃棄物の約7割を占めるペーパースラッジを建設の現場で活用
紙を製造する工程では、紙になり切れない微細な繊維と填料などの無機物を含む有機汚泥が発生しますが、これをペーパースラッジと呼びます。このペーパースラッジは、製紙産業の産業廃棄物の約7割を占めています。そのため、ペーパースラッジの有効利用は、廃棄物の発生抑制、環境の負荷低減に向けた観点から重要なテーマとなっており、その活用が望まれていました。また、流動化処理土とは、建設時に発生する残土などに水とセメントや固化材を混ぜ合わせたもので、建設残土や泥土を再利用して埋め戻すための工法です。
ペーパースラッジにはリグニン成分やセルロース微細繊維が含有されています。リグニンにより微細空気が取り込まれることで流動化処理土は軽量化し、流動性が向上します。またセルロース微細繊維により材料分離が小さく、安定した品質の流動化処理土を製造することが可能になります。さらに改良された土は靭性が大きく、粘り強い性状となり、利用用途が拡大されます。
なお、西松建設株式会社では、本工法について2021年7月8日に社内ホームページにて、プレスリリースしました。
※開発の詳細については、西松建設株式会社のホームページをご覧ください。
ペーパースラッジを混合した流動化処理工法の開発・実証 -流動化処理土の品質(材料分離抵抗性)の向上、適用範囲の拡大- (2021年7月8日-西松建設プレスリリース)
特許出願:「混和材、流動化処理土、及び流動化処理土の製造方法」(出願番号;特願2021-107280)
研究者プロフィール
・北辻 政文:食産業学群 教授(建設環境材料学研究室)
2050年の世界人口は100億人に達すると見込まれており、100年前の実に4~5倍の人口増加となります。このため人類が今日のような快適な暮らしを維持するためには、衣・食・住、水およびエネルギーの安定的な資源の調達が求められます。しかし、地球上のすべての資源はもはや限界状態にあり、持続可能な開発(SD)を推進する上で、「もったいない」精神の基、資源の延命化を図ると共に、リサイクル材の利活用技術の発展が不可欠です。本研究室では、リサイクル材を大量に使用可能な建設材料として利活用するための研究を行っています。