2021年度(令和3年度)9月
宮城大学学位記授与式式辞

本日は、令和3年度宮城大学9月学位記授与式を迎えました。この度、晴れて宮城大学大学院での研鑽を終え博士号または修士号の学位を受ける大学院生一人ひとりに敬意を表し、お祝いを申し上げます。

先週、一年遅れで開催された東京オリンピック・パラリンピックの全日程が終了しました。57年ぶりに再び東京で開催されたオリンピックは正に歴史的なイベントであったのですが、オリンピック・パラリンピックの開催を一年遅らせ、今なお全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の混乱は、より一層人々の記憶に残り、歴史の一コマとして深く記憶されていくものと考えられます。

本日、大学院の課程を修了される3名の皆様は、この間、医療関係の専門家として様々な体験をし、それを吸収してきたことでしょう。これまでも歴史的出来事は社会を変え、社会の変化を振り返る形で歴史に刻み込まれてきました。今回のパンデミックも必ずや社会を変えることになると考えます。

修了生の皆様が日々感じている生活の変化は、単にパンデミックの最中の一過性の出来事であると割り切っているのでしょうか。パンデミックが終わればすべてのことが元に戻る、これでは、多くの命と経済的利益を失った人類社会にとって余りにも大きな損失となります。いかなる場面においても、痛手が大きければ大きいほど、それを如何に発展の原動力に転嫁するかが求められます。パンデミックの最中に研鑽を積まれ学位を手にされた皆様にとっては、すでに目の前に新たに解くべき課題が見えてきているのではないでしょうか。これへの解法を見つけ、それを社会に問うことで社会を一歩でも先へ進めていくことは、大学院教育を受けた人々にとっての社会に対する義務ともいえるものです。アプローチは人それぞれであるとしても、何らかの形で成果を出していくことに期待するものです。

社会においても、都市から地方への人口の流動やデジタル化の進展による社会の変容に対する期待感を表明する向きも出てきています。

中でも医療現場では、デジタル化が確実に進展すると考えられています。看護師など看護職の専門家は、医療活動において人と専門家の接点に多く携わる性格を持ちます。だからといって、機械に向き合うことを避けていたのでは役割を果たすことはできません。すでに医療現場において人に関する情報は多くデジタル化されてきています。したがって、看護職者が得た機械では把握できない情報もデジタル化され、他の医療情報と複合して分析されることによって適切な医療判断が下せることになります。ぜひ、これからの医療のデジタル化の先頭に皆様方が立つことを願っています。

今日から皆様はそれぞれの学位を背に専門家としての活動をレベルアップしていくものと思います。最後に、皆様が宮城大学の生活で得たものを糧にかけがえのない人生を開拓し、華やかな人生とならんことを祈念して、式辞といたします。

令和3年9月15日

宮城大学学長 川上 伸昭

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