2023年度(令和5年度)宮城大学入学式式辞

皆さん、ご入学、おめでとうございます。宮城大学へようこそ。

本日、ここに446名の学群新入生、30名の大学院新入生、計476名の皆さんをお迎えすることができ、私たち教職員、そして在校生一同、皆さんを心から歓迎し、皆さんとともに歩んでいくことに期待を膨らませています。また、この日を心待ちにして皆さんを支えてこられた御家族及び関係者の皆様にもお喜びを申し上げます。

そして、本日、御多用にもかかわらず御臨席を賜りました村井嘉浩宮城県知事、菊地恵一宮城県議会議長、浅野元大和町長、石井幹子宮城県看護協会会長、小林英樹宮城大学後援会長をはじめ御来賓の皆様方に対し、本学を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。

この3年間にわたり、世界は新型コロナウイルスの脅威にさらされてきました。我が国でも多くの社会経済活動が制約を受け、皆さんも高校生活や日常生活において、不安を抱えながら過ごされてきたことと思います。そのような中にあって、心を強く持って勉学に励まれ、受験を乗り越えられた皆さんの御努力に敬意を表します。

まだまだ慎重な感染対策が必要とはされていますが、少しずつ対応策が見えてきました。本学におきましても、入学された全学群の皆さんが一堂に会する形で入学式を実施するのは、実に4年ぶりです。対面で皆さんを迎えることができ、本当に嬉しく思っています。

皆さんもまた、コロナ禍を乗り越えた新たな環境のもとでの新たな学生生活へ向けて、希望に胸を膨らませていることでしょう。宮城大学は、皆さんの期待に応えるよう誠心誠意、努力します。

宮城大学は、1997年の開学以来、社会に役立つ知識、考え方、実践力を意味する「実学」を尊重し、実践的な教育を行うことを信条としている大学です。すなわち、地域の保健医療の充実、地域社会・経済の発展、そして食産業の振興という領域において、これからの社会で即戦力として通用し、社会環境の変化に柔軟に対応できうる能力を持った、挑戦意欲旺盛な人材の育成に取り組んでいます。これこそが地域に根差した県立の大学としての本学の使命と考えています。

昨年度から始めた新たなカリキュラムでは、将来にわたって学び続けることのできる基礎力を養う基盤教育を一層充実し、基盤教育から専門教育への連続性を高め、社会の変革に対応した、より高度で実践的な専門教育の展開を図ってきているところです。AIやデータサイエンスへの対応力をはじめ、新たな事業を作り出す起業家的な行動能力を養うアントレプレナーシップ教育といった新たなカリキュラムも充実させています。さらには、新たな視点で仕事をデザインし、開拓していく精神を培う、デザイン思考を重要視したカリキュラムも編成しています。とりわけ、1年次に実施する地域フィールドワークは、地域に根ざした人材の育成強化に向けたもので、全学群の全ての学生が地域コミュニティを訪問し、地域の人びととともに考えながら、地域本来の良さを活かした、これからのコミュニティづくりの実践手法を習得していくプログラムで、本学の大きな特徴となっています。

また、コロナ禍では難しかった国際交流事業も再び活発化します。皆さん、語学力を高め、本学の多様な海外留学制度を活用し、慣習の異なる多文化空間に触れることに、是非、挑戦していただきたいと考えます。海外留学の機会に恵まれなくても、キャンパス内での留学生とのふれあいなどを通じて多文化共生への理解を醸成し、将来、グローバル・ステージでも活躍できるよう、支援していきます。

これら充実したカリキュラムを通して、人類の共通課題であるSDGsの実践に向け、世界的な視野を持って、より良い地域社会の創生に貢献できる人材へと成長していただきたいと思います。皆さんが、本学の建学の精神である「ホスピタリティとアメニティの究明と実現」を具現化するのです。

この時、皆さんに、是非、心に留めておいていただきたいことがあります。

皆さんも日々、心を痛めているように、世界は今、コロナ・パンデミック、気候変動、ウクライナ侵攻、エネルギー危機、そして急速なインフレ、国際的な軍事緊張など、私たちが予測もしていなかった事態に直面しています。このような時代を、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)を意味する頭文字をとったブーカ、VUCAの時代と呼びます。皆さんは、まさにこの不確実で予測困難な時代に生きています。一方で、私たちの社会は、カーボンニュートラルや生物多様性などのSDGsへの対応や、オンライン講義の普及に代表されるような急速なデジタルトランスフォーメーション:DX化など、変革が加速しています。

このような時代において、皆さんが将来、活躍する場、社会が求める人材は、社会の変化に柔軟に対応し、その時々、その現場での課題を見つけ出し、解決していく力を持つ人材です。

宮城大学では、先に述べましたように、これらを身に着けるために必要となるさまざまな基礎的な科目、専門的な科目を用意しています。これらを通して広範な知識を身につけながら、生涯を通して学び続けることのできる基礎力と課題への対応力を蓄え、常に新しいことに挑戦する気概を持った人材となることを目指してほしいと思います。

そこで、これからの学生生活において皆さんに心掛けてほしいことが3つあります。

1つは、「学び」を変えることです。これまでは与えられたことを学ぶ、覚えるという学びでしたが、これからは考える力を身に着け、実社会で求められる課題を見い出す力、解決する力を養う学びとなります。そのためには皆さんが自分自身で考え、能動的に学ぶことが必要です。それが大学です。

2つ目は、「好奇心」を大切にすることです。新しいことへの挑戦、というとかなり大袈裟になってしまいますので、まずは興味を持てることにトライしてみよう、ということです。このことは「学び」にも通じますが、海外留学、インターンシップ、サークル活動、ボランティア、何でもいいです。学生時代は失敗しても構いません。恐れず、まずはやってみよう、と気持ちを大切にしてください。

3つ目は、「つながり」です。皆さんが一人でできることは限られます。社会で生きていく限り、人とつながり、社会とつながっています。宮城大学は学生同士、先生方、そしてコミュニティ、企業、自治体などとのつながりを重視した教育を実践しています。そして皆さんも学内外で積極的につながりを求めてください。それにより視野が大きくなり、学びの気付きも多くなります。

これからの学生生活を送るうえで、この3つ、「学び」「好奇心」「つながり」を意識しておいてください。きっと、昨今の就活で話題の学生時代に力を入れたこと、ガクチカへの対応をはじめ、将来の大きな糧となることでしょう。

結びに当たり、皆さんにおかれましては、コロナ・パンデミックが完全に断たれたとは言えない情勢での大学生活の始まりとはなりますが、新しい環境に臆することなく、多くの仲間と出合い、貴重な経験を積み重ねてください。皆さん一人一人にとって、宮城大学での学生生活が輝き、充実した日々となることを心から祈念し、私の式辞といたします。

本日は誠におめでとうございます。

令和5年4月4日
宮城大学長
佐々木 啓一

TOP