2024年度(令和6年度)宮城大学入学式式辞

はじめに

みちのく宮城の地にも、ようやく春の訪れが感じられるようになりました。本日、ここに447名の学群新入生、37名の大学院生の皆さんを本学に迎えることができたことは私たちの大きな喜びです。宮城大学を代表して、皆さんの入学を心より歓迎いたします。

また、この間、皆さんが晴れてこの日を迎えることを心待ちにし、皆さんを様々な形で支え、また励まし続けてこられた御両親、御家族、そして関係者の皆様に、心より祝意を表します。

そして、本日、御多用にもかかわらず御臨席を賜りました村井嘉浩宮城県知事、高橋伸二宮城県議会議長、浅野俊彦大和町長、石井幹子公立大学法人宮城大学経営審議会委員、大野健一宮城大学後援会長をはじめ御来賓の皆様方に対し、本学を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。

今年の入学式は、2019年以来、実に5年ぶりに新入生のご家族にも御参加いただいて挙行しています。この晴れの場に、多くの皆様に御出席いただくことができ、私たちも大変嬉しく思っています。

宮城大学について

さて、宮城大学についてお話ししましょう。宮城大学は、27年前の1997年に宮城県立の大学として創設されました。当初は看護学部、事業構想学部の2学部でしたが、2005年には宮城県農業短期大学が改組され、食産業学部が設置されました。その後、2009年の公立大学法人化、2017年の学群・学類制移行を経て現在に至っています。

建学以来、「高度な実学に基づき、豊かな人間性、高度な専門性及び確かな実践力を身につけ、グローバルな視点で地域社会の発展に貢献できる人材を育成すること」を教育の理念としています。社会が大きく変革している今、まさにこのような教育が社会から求められています。本学では、実学、すなわち実社会で役立つ知識、考え方を尊重し、客観性と合理性を持って、俯瞰的に社会課題を探求し解決する能力、社会環境の変化に柔軟に対応できうる能力を醸成する多様な教育プログラムを皆さんに提供しています。本学でのこれらの学びは、社会と密に繋がった研究、社会連携活動をベースに展開されていることが特徴です。

とりわけ、学群入学の皆さんは、入学後すぐに参加する地域フィールドワークに期待してください。これは、1年次全ての学生が県内の地域コミュニティを訪問し、地域の人々とともに実際の地域課題に向き合い、地域本来の良さを活かした解決策を考えるものです。課題探求、課題解決の実践手法を体験し、習得するとともに、コミュニケーション能力、プレゼンテーションスキルを養うことにより、その後の本学での学びの基盤となります。

宮城大学での学びとは

この地域フィールドワークでは、皆さん自らが能動的に、かつ自分事として課題探求、課題解決に取り組むことで学びを深めていきます。大学での学びは、すべからく同じです。

与えられた知識の単なる習得ではありません。皆さん自らが学ぶ対象を決定し、探索し知識を作り上げていくのです。本学では授業やコース選択の自由度が高く、企業、事業体でのインターンシップも多数取り揃えています。好奇心を持っていろいろ挑戦してください。

また、グローバルな視点の涵養という点では、海外を経験してみることが効果的です。日本以外の国々で如何にDXが進んでいるか、東南アジアの国々が如何に急速に発展しているか、世界の若者が如何に積極的に学び、そして社会と向き合っているかなどを実感できます。そして、これらの体験は、皆さんの考え方、将来設計に大きな影響を及ぼします。本学は、多くの海外連携校を有しており、短期、長期、様々な留学プログラムを皆さんに提供しています。いろいろな支援制度も用意しています。

待っているだけでは何も起きません。積極的に自身のやりたいことに自ら手を挙げ、取り組んでほしいと思います。このような姿勢での学び、体験は、皆さんに学問領域の枠を超えた幅広い実践的な知識、すなわち「総合知」と、これらに基づき、変化に柔軟に対応しながら的確に課題を探求し解決する力、すなわち「実践力」を必ずやもたらします。また生涯にわたって、必要な知識技術を能動的に修得していく姿勢、学ぶ力をもたらします。

不確実性の時代へ対応

皆さんも心を痛めているように、世界は今、パンデミック、大規模な気候変動、国際的な軍事緊張、エネルギー危機、急速なインフレなど予測しえなかった危機に直面しています。また一方では、技術革新により、インターネットやAIなどによるデジタルトランスフォーメーション、さらにはカーボンニュートラル、SDGsを推進するグリーントランスフォーメーションが加速し、人々の生活や価値観が急速に変わっています。このような先行きの予測できない不確実な時代、いわゆるVUCAの時代において、企業や組織では迅速かつ臨機応変な意思決定と対応が必要になっています。

宮城大学でのこれからの学びは、まさにこれに応えるものです。

むすびに

宮城大学は建学から27年となり、既に多くの卒業生を輩出しています。彼らは宮城大学での学びの精神を矜持に社会で活躍しています。また本学では、ほとんどの教員が社会と繋がり、教育研究、創作活動を展開しています。

今日から皆さんは、社会と密に繋った宮城大学コミュニティの一員です。私どもは、次の時代を拓く有為な人材である皆さんを心から歓迎いたします。宮城大学での学業と研鑽が実り豊かなものとなること、そして皆さんがさらに大きく成長されることを心から期待して、私のお祝いの言葉といたします。

令和6年4月3日
宮城大学長
佐々木 啓一

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