2025年度(令和7年度)宮城大学入学式式辞

442名の学群新入生、42名の大学院入学生の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。教職員一同、皆さんをここにお迎えできることを心より嬉しく思います。また、これまで温かく支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、宮城大学を代表し、深く感謝申し上げます。そして、本日、ご多忙のなか、ご臨席を賜りました宮城県知事 村井嘉浩様、宮城県議会議長 髙橋伸二様、大和町長 浅野俊彦様、本学経営審議会委員 石井幹子様、そして宮城大学後援会長髙橋かおり様に、厚く御礼申し上げます。

さて、皆さんがこれから学ぶ宮城大学は、28年前の1997年に宮城県立の大学として開学しました。当初は看護学部と事業構想学部の2学部体制でしたが、2005年に食産業学部が設置され、さらに2009年の公立大学法人化、2017年の学群・学類制への移行を経て、現在の姿に至っています。開学以来、本学は「高度な実学に基づく実践力」と「豊かな人間性」、そして「地域から世界を見、世界から地域を見るグローカルな視点」を涵養することを教育の柱としてまいりました。2011年の東日本大震災以降は、被災地の復興支援とグローカルな視野を両立させながら、多様な人材の育成に力を注いでいます。

社会が大きく変化する現代、まさにこのような学びが求められていると言えるでしょう。皆さんにとって、本学での日々が、自身の未来を切り拓き、ひいてはこれからの社会を担う礎となることを心から願っています。

ここで、これからの大学生活をより有意義にするために、大切にしていただきたいことを三つお伝えします。

一つ目は、「自ら学ぶ」ということです。

高校までは、教えられた内容や与えられた課題に取り組むことが多かったかもしれません。しかし大学では、何をどのように学ぶか、その道筋を描くのは皆さん自身です。本学では、多彩な専門分野に加え、地域連携や英語学習、さらに海外交流プログラムなど、多岐にわたる学修機会を用意しています。自分は何を学びたいのか、どのように成長したいのかを常に自身に問い続け、主体的に選択してください。自らの知的好奇心こそが、真の学びを深める原動力となります。そしてこの「自ら学ぶ力」は、大学院ではもちろん、社会に出てからも皆さんを支える基盤となるはずです。

二つ目は、「挑戦する」ことです。

急速に変化し、情報があふれる今の時代、皆さんの周りには無限の興味や多様な選択肢があります。そこでは、自ら一歩を踏み出す行動力が何より大切です。一歩踏み出さなければ何も始まりません。

たとえば、本学では奨学金や助成金を活用した多様な留学制度を整えています。海外へ飛び出すことで異文化理解や広い視野を得られ、可能性は大きく広がるでしょう。また、社会課題をビジネスで解決するアントレプレナーとしての道を見据えることも、若い皆さんにとって魅力的な選択肢です。大切なのは、どんなに小さな一歩であってもまずは踏み出すことです。未知の領域に積極的に挑戦してみてください。

三つ目は、「つながりを築く」ことです。

大学での学びは、授業だけにとどまりません。サークルやボランティア活動、ゼミを通じた地域や企業との連携、時にはアルバイトなどを通して培われる人間関係やネットワークは、将来にわたる貴重な財産となります。専門や価値観が異なる人々と交わることで、新たな発想や気づきが得られ、学びはますます深まります。さらに、それらの交流は社会で必要とされる人間力を育む場にもなるでしょう。自分の知らない世界に目を向け、多様な人々と出会いを重ねることで得られるつながりは、今後の人生をきっと豊かにしてくれます。

今、私たちを取り巻く環境はかつてないスピードで変化し、価値観が大きく揺らぐ時代を迎えています。だからこそ、主体的に学び、新しい領域に挑戦し、人とのつながりを築くことで培う「総合知」と「人間力」は不可欠です。これらは、皆さんが将来どのような道を歩もうとも必ずや大きな支えとなるでしょう。

どうか、ここにいる全員が将来、「宮城大学で得た経験を糧に、自分らしい道を切り拓いた」と胸を張れるように、大学での四年間、あるいは大学院での生活の一日一日を大切に過ごしてください。私たち教職員一同、皆さんの挑戦を心から応援し、ともに歩んでまいります。

改めまして、新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。皆さんの大学生活が実り豊かなものとなるよう、心より願いつつ、私からの式辞といたします。

令和7年4月3日
宮城大学長
佐々木 啓一

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