2025年度(令和7年度)3月
宮城大学学位記授与式式辞

本日、ここに晴れて、宮城大学から学士の学位を授与された看護学群103名、事業構想学群193名、食産業学群139名、合わせて435名の皆さん、そして修士の学位を授与された看護学研究科3名、事業構想学研究科13名、食産業学研究科8名、さらに博士の学位を授与された看護学研究科1名、事業構想学研究科1名の皆さん、誠におめでとうございます。

皆さんが学問と真摯に向き合い、研鑽を重ねてこられた成果が、今ここに、大きな実を結んだことに、心より敬意を表します 。皆さんの晴れやかな表情を拝見し、宮城大学の全教職員とともに、この日を迎えられた喜びを分かち合いたいと思います。

また、この日を心待ちにされ、皆さんをあらゆる形で支えてこられたご家族、関係者の皆さまに大学を代表して深く御礼を申し上げます。皆さまの温かい励ましとご協力があったからこそ、本日の晴れの門出を迎えることができました。

そして、御多用にも関わらず御臨席を賜りました伊藤哲也宮城県副知事、佐々木幸士宮城県議会議長、浦山美輪宮城大学経営審議会委員、髙橋かおり宮城大学後援会長に、本学を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。

皆さんの学生生活を振り返るとき、避けて通れないのは新型コロナウイルスによる影響です 。入学当初の制限された講義や実習の中止など、多くの戸惑いや困難があったことでしょう 。しかし、その困難な時期があったからこそ、私たちは、人と対面し、温りを感じながら語り合うことの素晴らしさを知ることができました。制限が解除され、キャンパスに活気が戻り、実習やフィールドワーク、サークル活動、そして友人との何気ない会話。これら当たり前の日常が、いかにかけがえのないものであるのか。皆さんは、それを誰よりも深く理解している世代です。それを肌で知っていることは、皆さんのこれからの人生において、人間としての大きな深みとなるはずです。

本学は開学以来、地域や社会の課題を探求し、解決できる人材の養成を理念としてきました 。皆さんは各学群・研究科において、現場のニーズに寄り添い、多角的な視点から解決策を導き出す「高度な実学」を実践的に学んできました 。

この「自ら課題を見つけ、仮説を立て、検証する」というトレーニングこそが宮城大学の最大の特徴であり、皆さんが獲得したこのコンピテンシーは、今後の人生における揺るぎない強みとなります 。

しかし、皆さんが踏み出す社会は今、非常に先の見通しが立ちにくい、不確実な時代にあります 。国内では、少子高齢化や地方の過疎化の進展、さらに産業の衰退と出口の見えない長期にわたる経済の停滞といった構造的な課題が山積しています。一方、世界へ目を転ずれば、終わりの見えない戦闘や紛争が続くなか、新たな大規模な戦争が勃発し、拡大しつつあります。そして、これらが引き起こすエネルギー不足など種々の地球規模の課題を誘発し、気候変動等とともに私たちの生活、そして生存を脅かしています。

さらに、AIをはじめとするテクノロジーの爆発的な進化は、社会情勢の不安定化と相俟って、私たちのこれまでの「価値観」を根本から揺さぶり、これまでの当たり前が通用しない、大きな転換を迫っています。

このような激動の時代にあって、皆さんはどのように生きていくのでしょうか。

自分自身のため、家族のため、そして社会や人類のために、自らの人生をどう描き、どのような生涯を送るのか。この問いは、人が生きるうえでの根源的な問いです。そして人生のいかなる場面においても、常に念頭に置くべきものでもあります。今日という門出の日に、ぜひ自分自身に投げかけてみてください。

ここで、皆さんが宮城大学で積み上げてきた「学び」が真価を発揮するのです。 本学で皆さんが手にした最大の武器は、単なる知識ではなく、「課題を探求し解決する力」そしてそのプロセスにおける「調べる力」です。

現在、ネットやSNSの世界では、真偽が入り混じった膨大な情報が氾濫しています 。感情的な言葉や断片的な情報が「正義」や「倫理」を揺さぶり、人々の分断を招く場面も少なくありません 。

流布される情報に惑わされることなく、「そのエビデンス(根拠)は何なのか」、「この課題の本質はどこにあるのか」を冷徹に見極める目を養うこと。それは、本学が大切にしている「実学」の精神そのものです。

さらに、技術や社会の形が如何に変わろうとも、古来より変わらぬ人としての「規範:Norm」があります。良心、あるいは正義と言っても宜しいかと思います。皆さんはNormを忘れることなく、判断し、行動してください。皆さんが身に付けた「課題解決力」は、単なるスキルではありません。いかなる社会情勢においても、自分が社会とどう関わり、どう貢献すべきかというNormと結びついてこそ、本当の力を発揮するのです 。

ここで、皆さんにお願いがあります。「自分が思い描く方向へ向かうこと、そこに向かう歩みを決して諦めない」でいただきたいのです。社会のなかで、理想と現実のギャップに打ちひしがれることもあるかもしれません。しかし宮城大学での学びを誇りに、自分自身のため、家族のため、そして社会や人類のために、自らの信念を信じ、人として守るべき社会の規範に則り、前へ進んでください。

皆さんが、宮城、日本、そして世界を舞台に、多種多様な領域で、幸せに満ちた世界を切り拓いていくことを祈念し、私の式辞といたします 。

本日は、誠におめでとうございます。

令和8年3月19日
宮城大学長
佐々木 啓一

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