2026年度(令和8年度)宮城大学入学式式辞
みちのく宮城の地にも、ようやく春の訪れが感じられるようになりました。
本日、ここに学群新入生437名、そして大学院研究科への進学者、入学者27名の皆さんを本学に迎えることができたことは、私たちの大きな喜びです 。宮城大学を代表して、皆さんのご入学を心より歓迎いたします。
また、今日という日を心待ちにし、皆さんの歩みを支え、励まし続けてこられたご家族、関係者の皆様に、心より祝意を表します 。
そして、ご多忙のなか、ご臨席を賜りました村井嘉浩宮城県知事、佐々木幸士宮城県議会議長、浅野俊彦大和町長、浦山美輪宮城大学経営審議会委員、髙橋かおり宮城大学後援会長に対し、厚く御礼申し上げます 。
さて、皆さんは、入学式に臨むにあたって、どのように生きたい、どんな人生を歩みたいと思っているのでしょうか。これからの4年間、大学院生の方々はこれからの2年間を、どのように過ごそうと考えているのでしょうか。
今、私たちの生きている社会は、かつてないほどの激動の中にあります。大規模な気候変動やパンデミック、また世界各地での紛争の継続と新たな大規模な戦争の勃発、それらに起因するエネルギー問題、さらにデジタルトランスフォーメーションやAIの爆発的な進化など、先行きの予測できない時代です。
AIは、既に日常に溶け込み、知識の検索や情報の整理といった役割はAIが担う「AI時代」に突入しています。これらは社会情勢の不安定化と相俟って、私たちのこれまでの「価値観」を根本から揺さぶり、これまでの当たり前が通用しない大きな転換を迫っています。
このような激動の時代において、大学での学びの意味も劇的に変化しています。かつてのように「正解」を覚えるだけの学びは、もはや通用しません。
これからの時代に最も求められる力は、生涯にわたって能動的に知識をアップデートし続ける姿勢であり、自分自身の意志で「問い」を立てる力です 。そして「情報の意味」を人として解釈し、倫理観や正義に基づき判断することです。
AIは膨大なデータから答えを導き出しますが、その答えをどのように社会に役立てるか、どのような未来を創るべきかという「意志」や「倫理観」は、人間にしか持てないものです 。つまり、「どのように生きるか」を決定するのは、皆さん自身です。
それでは、このような時に皆さんが宮城大学を選んだ意味はいかなるものでしょうか。
安心してください。この大学には、これらからの時代を生き抜いていくうえで具備すべき力を育む、確固たる土壌があります。
本学は29年前の1997年、宮城県立の大学として創設されました。当初は看護と事業構想の2学部でしたが、食産業学部の設置、公立大学法人化を経て、現在の姿へと進化を遂げてきました 。建学以来、一貫して掲げているのは「高度な実学」という理念です 。
本学が大切にしている「高度な実学」の本質は、それぞれの学問領域での専門的知識、技術のみならず、領域の枠を超えた幅広い実践的な知識、すなわち「総合知」にあります 。皆さんが専門領域の知識を得、技術を磨くことはもちろん重要です。しかし、それだけでは変化の激しい時代を生き抜くことは困難です。客観性と合理性を持って課題を俯瞰し、多様な価値観を統合して解決策を導き出す力こそが、今の社会から切実に求められています。哲学や文学、自然科学などのリベラルアーツを積極的に学ぶことは、このような力を身に付けるうえで、大きな意義があります。
また、本学の一つの特徴でもある地域フィールドワークは、1年生全員が参加し、地域の方々とともに実際の課題に向き合い、問いを立て、その解決策を探し求める授業です。ここでは、その地域の歴史や地理、さらには経済学やコミュニティ論と言った様々な領域の知識を必要とします。また住民との対話や活動を通じて得られる「生きた知恵」もあります。これら実践でしか得られない「重層的な視点」と「課題解決のプロセス」は、AIには代替できない、皆さん自身の揺るぎない基盤となります。
ここで、これからの四年間、あるいは大学院での日々を、自らの未来を切り拓く力に変えるために、私からの三つの願いを伝えます。
第一に、「自ら学ぶ」ことです。
与えられた課題をこなす「受け身の学び」を卒業してください 。好奇心の赴くままに自ら学びの対象を選び取り、知識を作り上げていく。この「学ぶ力」こそが、生涯にわたって皆さんを支え続ける、最強の武器となります 。
第二に、「挑戦する」ことです。
待っているだけでは、何も起きません 。海外留学、インターンシップ、起業支援プログラムなどに自ら手を挙げ、飛び込んでください 。失敗を恐れず、挑戦した経験こそが、皆さんの将来を切り拓く力になります。
第三に、「つながりを築く」ことです。
AIが効率化を進める時代だからこそ、異なる背景を持つ仲間との「つながり」が重要になります。教職員、先輩、地域の人々との交流を通じて、人間としての幅を広げてください。そのネットワークは、将来にわたる貴重な財産となるでしょう。
むすびになりますが、今日から皆さんは、社会と共に生きる「宮城大学コミュニティ」の一員です 。
本学での研鑽が実り豊かなものとなること、そして皆さんが自らの意志で、それぞれの未来を鮮やかに描き出していくことを心から祈念し、私のお祝いの言葉といたします。
令和8年4月3日
宮城大学長
佐々木 啓一

