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22.08.22
7/23日渡教授による高校生向け体験講座「和食に欠かせない美味しい植物を味わい、細胞が育つ様子をありのままに見る」を開催/ひらめき☆ときめきサイエンス
日渡研究室では、藻類やコケ植物、被子植物などの多様な植物を用いて、植物の発生制御や環境応答の分子メカニズムを明らかにする研究に取り組んでいます。高校生を対象とした、『和食に欠かせない美味しい植物を味わい、細胞が育つ様子をありのままに見る』を、7月23日に宮城大学太白キャンパスで開催しました。今回のプログラムには県内外から20名の高校生が参加、午前~午後と1日を通して、植物性食材の食味を調べたり、植物が育つ様子を顕微鏡で観察したりしながら、植物科学や植物品種改良の最前線を体験しました。
※本プログラムは、科学のおもしろさを感じてもらう日本学術振興会の科学研究費助成事業による「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」の一環としてJSPS科研費 JP22HT0018の助成を受け実施されたものです。 |
異なる品種のコメやトマト、海苔などの食味を調べながら、多様な植物が和食を彩ることを実感
午前の部では、最初に講義「細胞を見て、作物、野菜、海苔を味わう」として、日渡教授から植物細胞の成長のしくみや食味の比較を紹介。次に、日渡研究室の大学院生がファシリテーターとなり、学内農場で2種類のトマトを収穫。その後の実験では、収穫したトマトに加えて、和食に欠かせない食材であるコメ(4種類)や海苔(2種類)の食味の比較を行いました。
コメは陸上植物のイネ、海苔は海藻(紅藻)のスサビノリに由来します。参加者は講義-収穫-実験を通して、陸や海に生きる様々な植物から様々な食材が生み出されること、同じ食材でも種類によって食味が異なることを実感しました。昼食では、学内農場で生産された農作物の試食も行われました。
細胞の伸長や分裂の様子を顕微鏡で生きたまま観察、植物のダイナミックなふるまいに迫る
午後の部では、顕微鏡観察プログラムとして、スサビノリの糸状体、ヒメツリガネゴケの原糸体、トマトやテッポウユリの花粉管が伸びていく様子(伸長)を観察。細胞の先端部分が伸長する成長は先端成長と呼ばれますが、グループごとに観察サンプルを決め、各実験室に設置した高性能な顕微鏡を用いて、先端成長を連続観察(タイムラプス観察)しました。
次に、蛍光タンパク質で細胞分裂装置が可視化されたヒメツリガネゴケを用いて、原糸体の細胞分裂の様子をタイムラプス観察しました。観察中、参加者はファシリテーターと観察結果についてディスカッションを行い、細胞が伸長する時や分裂する時の細胞の動きを理解し、細胞成長のしくみを学びました。最後に、参加者全員で食味試験や観察のまとめを行い、植物独自の機能や品種の成り立ちについて理解を深めました。
修了式では、プログラム全課程を修了したことを記す「未来博士号」が参加者全員に授与されました。今回のプログラムは、大学での学びや学術研究の実際を体験できる絶好の機会となったのではないでしょうか。今後、参加者が植物科学や食に関心をもち、学問や学術研究への扉を叩いていくことを期待しています。
開催概要
講座名 | ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~ 「和食に欠かせない美味しい植物を味わい、細胞が育つ様子をありのままに見る」 |
講師 | 食産業学群 教授 日渡 祐二 |
開催日 | 2022年7月23日(土)9:30~17:00 |
プログラム概要 | ・異なる品種のコメやトマト、海苔などの食味を調べながら、品種の違いを理解します。 ・植物細胞の増殖について、細胞の伸び方や分裂の様子をライブで顕微鏡観察します。 ・生物機能や植物生産を研究している大学生・大学院生や研究者と交流します。 |
スケジュール | 09:30〜10:00 受付(集合場所:宮城大学太白キャンパス 講義棟1Fロビー) 10:00〜10:20 開講式(オリエンテーション、科研費の説明) 10:20〜10:50 講義「細胞を見て、作物、野菜、海苔を味わう」 10:50〜11:00 講義質疑応答(ディスカッション) (10分休憩) 11:10〜11:30 演習①(グループディスカッション)「食材の食味試験と植物観察の実習計画を立てる:学内農場で野菜を採集」 11:30〜12:00 実験①「食材を味わう:イネ、トマト、海苔の味の違いは?」 12:00〜13:00 昼食、休憩(学内で生産された農場農畜産物の試食あり、大学生や研究者との交流もします) 13:00〜14:50 実験②「野菜、コケ植物、海藻の細胞の成長を観察しよう:顕微鏡観察」 14:50〜15:10 クッキータイム 15:10〜16:20 実験③「細胞の分裂を観察しよう」 16:20〜16:40 実験のまとめ、質疑応答(ディスカッション) 16:40〜17:00 修了式(未来博士号の授与) 17:00 終了、解散 |
募集対象 | 高校1~3年生 |
募集人数 | 15名 |
開催場所 | 宮城大学食産業学群(太白キャンパス) 〒982-0215宮城県仙台市太白区旗立2丁目2番1号 ※集合場所は太白キャンパス講義棟1Fロビー |
参加費 | 無料 |
ひらめき☆ときめきサイエンスKAKENHI
大学や研究機関で「科研費」(KAKENHI)により行われている最先端の研究成果に、小学5・6年生、中学生、高校生の皆さんが、直に見る、聞く、触れることで、科学のおもしろさを感じてもらうプログラムです。参加する皆さんが将来に向けて、科学的好奇心を刺激して“ひらめき”、“ときめく”心の豊かさと知的創造性を育む内容となっています。研究者が「科研費」(KAKENHI)による独創的・先駆的な研究について、その中に含まれる科学の興味深さや面白さを講義、実験等を通じて分かりやすく語りかけ、また、研究者自身の歩み(研究を志した動機等)や人柄に間近に触れることにより、学問の素晴らしさや楽しさを感じることができます。全国の大学や研究機関が、科学の楽しさ、難しさ、不思議に触れられるよう、いろいろなプログラムを用意しています。興味と関心のある小学5・6年生、中学生、高校生のご参加をお待ちしております。
研究者プロフィール
・日渡 祐二(ひわたし ゆうじ):宮城大学食産業学群教授
植物分子遺伝学、植物細胞生理学、発生進化学を専門分野として、植物有用形質の制御メカニズムを明らかにする基礎研究を行っています。また、ゲノムエンジニアリングの手法を用いた分子育種の技術開発も取り組んでいます。
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宇宙で植物を育てる研究プロジェクトに日渡祐二教授が参画
食産業学群の日渡祐二教授が、研究分担者として宇宙で植物を育てる「スペース・モス」研究プロジェクトに参画しました。日渡教授らのプロジェクトチームが準備したヒメツリガネゴケの実験サンプルは、ロケットに搭載され、ケープカナベラル空軍基地にて 2019 年 7 月に打ち上げられました。その後、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟で生育させ、宇宙空間における成長の様子を解析しています。コケ植物は食料を生産するうえで不可欠な作物と様々な特徴が共通するため、植物の成長や形成に対する重力の影響が明らかになれば、食料生産の改良に貢献できると期待されています。
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