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19.08.28

7/25日渡教授が参画する「スペース・モス」プロジェクトの打ち上げ(SpaceX ファルコン9ロケット)に成功しました

宇宙で植物を育てる「スペース・モス」の研究プロジェクトにおいて、”ヒメツリガネゴケ”を育てる実験サンプルを搭載したロケット「ファルコン9」がケープカナベラル空軍基地(アメリカ・フロリダ州)にて7月25日午後6時01分(現地時間)に打ち上げられました。

SpaceX ファルコン9ロケット 打ち上げの様子(CRS-18 Mission)
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「スペース・モス」研究プロジェクトチームには、本学食産業学群の日渡教授が研究分担者として参画しており、打ち上げに際し、宇宙実験に使用する植物サンプルの準備を行いました。今後は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟で植物を生育させて、宇宙空間における成長の様子を研究します。

「スペース・モス」研究プロジェクトとは

【図1】「スペースモス」プロジェクトのデカール ※日渡研究室の大学院生がデザインしました。

北海道大・九州大・富山大・京都工芸繊維大・宮城大の研究者らによる、地球での食料増産や宇宙空間での植物栽培を目指すプロジェクト(研究代表者・北海道大・藤田知道教授)です。【図1】

コケ植物は極地や高地など過酷な環境でも生息できるパイオニア植物です。また、個体サイズが小さく栽培の手間もあまりかからないため、限られたスペースや資源でも生育させることが可能です。そこで、全ての遺伝子が解析されている「ヒメツリガネゴケ」【図2】を使った実験を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に提案し、2015年に国際宇宙ステーション(ISS) 【図3】の「きぼう」日本実験棟【図4】でのテーマに選ばれました。

【図2】「ヒメツリガネゴケ」

【図3】国際宇宙ステーション(ISS)
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【図4】「きぼう」日本実験棟
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【図5】「きぼう」日本実験棟内の顕微鏡システム
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本研究では、「きぼう」日本実験棟においてヒメツリガネゴケを育て、遺伝子の発現、細胞成長、光合成、生態生理などを調べ、コケ植物が宇宙の微小重力環境下でどのように成長し、応答するかを世界で初めて明らかにします。コケ植物は食料生産に不可欠な作物とさまざまな特徴を共通しており、コケ植物での知見を作物の改良などに活用することができます。したがって、重力がどのように植物の成長や形づくりに影響するのかを明らかにすることで、地上の食料生産の拡大につながる重要な貢献ができると期待されます。さらには、月や火星への人類の宇宙進出に向けた知見を得ることも期待できます。

【図6】日渡研究室、重力応答グループ

日渡教授は、「きぼう」日本実験棟に設置された顕微鏡【図5】を用いて、植物細胞を生きたまま観察し、成長の様子を解析する実験を行います。この実験は、微小重力環境下で、細胞の分裂や伸長がどのように変化するか、を細胞レベルで明らかにする世界初の挑戦的な試みです。日渡教授の指揮のもと、日渡研究室の学生(重力応答グループ)【図6】が、宇宙実験用に植物サンプルの調製や観察の条件を検討しました。引き続き、細胞の観察を担当します。

研究者プロフィール

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