価値創造デザイン学類
Creating “new value & design”
for the society.
情報・環境デザインを通して,新しい価値をどう生み出していくか。
日々変化する社会環境を観察し,デザインが担う役割を学びながら,
多様な課題を解決へと導く論理的思考力と表現力を身につける。
デザインの学びは実践にあり
中国の古典『韓非子』に「三人言いて虎を成す」という言葉があります。街に虎が出たという信じがたい話も,三人が口を揃えると本当のこととして伝わってしまう,伝聞を鵜呑みにすることを戒める言葉です。玉石混淆の情報に溢れた現代社会にこそ強く響く言葉だと思います。物事の本質を見極める方法は今も昔も変わりません。それは自分自身の知恵を使って考え,体験を通して感じることに他なりません。現代では情報技術によって「知恵」は広く共有できるようになりました。一方で,肉体的な体験はまだまだ一人ひとりの実際の経験に根ざしています。デザインの学びには,この知恵を体験として感じること,つまり実践が非常に大切です。自分で考え,それをカタチにしていく力こそが物事の本質を見抜く能力となり,本当の自由を手にする礎になるのです。
価値創造デザイン学類 学類長
土岐謙次教授
DECADE+13
宮城大学のデザイン活動がまとめられた機関誌「DECADE+13」が発刊
DECADEは 宮城大学創立10 周年の2007年より発刊されているデザイン情報学科の機関誌です。「DECADE±0」から始めて,一年に一度発刊しています。今年度は14 冊目となる「DECADE+13」が発刊されました。学生作品や学内外での講義のほか,デザインに関わる本学科の幅広い活動を収録しています。
レクチャや,レビューの様子,学生達の制作物など,デザイン系の学びのアクティビティが一覧できます。また,DECADEは,デザイン系有志の学生により,取材・編集・デザインが行われています。大和キャンパス内で配付していますので,ぜひ手にとってご覧ください。
授業紹介
1. 価値創造デザイン演習 I
デジタルデザインの発想を具体化する
グラフィックデザインの基本を修得し,実際の制作からプログラミング表現を学びます。
2. 感性情報デザイン演習 III
ユーザーを意識した体験のデザイン
インタラクティブ作品制作と展示会企画を通じ てデザインを統合的・実践的に学びます。
3. 造形・プロダクトデザイン演習 I
パラメトリックデザイン手法で椅子制作
宮城県登米町産の杉材を用いて,CNC 加工機を 駆使し,木製椅子を制作します。
4. 生活環境デザイン演習
実践で学ぶ,生活環境デザイン
生活環境に新たな価値をもたらす都市空間等の 構想プロセス・理論を学びます。
Student Voice
建築設計へとつながるデザイン演習の学び
髙橋璃歩さん
秋田県立湯沢翔北高校出身
設計演習は少人数での授業のため,先生との距離が近く,積極的に相談することができました。また,デザイン演習の講義で様々なグラフィックソフトを使ってスキルを身につけた経験は,現在の生活環境デザインコースで設計した建築のプレゼン資料を作成する際にも役立っています。
研究室紹介
茅原研究室
人と社会を「知る」ために
デザインの基礎となる人と社会のトータルな理解に向けて,ヒトの知覚・認知・身体の特性やメカニズムから,ユーザビリティ,地域の伝統文化・芸能まで,心理学を中心とした多様なアプローチで取り組んでいます。
中田研究室
空間から地域,メディアを通して「デザインとは何か」を探究
住宅設計やインテリアデザイン,地域産業のための施設,アートのための空間デザイン,出版や編集のメディアデザインを研究します。さらに学生との共同作業で,東日本大震災以降の新しい時代の地域社会にふさわしい地域づくりや,生活環境のデザインを探究します。
鈴木研究室
心地良い関係性を生み出すデザイン
鈴木研究室では,心地良いインタラクションを生み出すデジタルメディアやフィジカルメディアの創造に挑戦しています。
平岡研究室
交流施設を住民と共にデザイン
自然環境や社会環境とコミュニティを,空間デザインによってより良い関係にしていくことを研究しています。
土岐研究室
伝統工芸とテクノロジーによるものづくり
漆の造形素材としての機能的性能を再評価して,伝統工芸技術を現代のものづくりやデザインに活かす研究をしています。
鹿野研究室
人と人の接点を,より良く
鹿野研究室ではアプリケーション,WEB,映像といった分野を中心に,社会の課題解決にどんなデザインが必要なのかを研究しています。
制作設備・施設一覧
製図や模型製作が行える製図室/高性能PCが整ったデザインラボ/レーザーカッターや3Dプリンタといったデジタルファブリケーション機器を備えた材料実験室/演習ではクリエイター向けソフト「Adobe Creative Cloud」やCADが利用可能
施設紹介
多様な表現方法を学び,実践する場
デザインラボは,プログラミングや3DCG・電子工作等の技術を習得・実践できる環境が整備されています。そのため,高性能PCやプロジェクタ,デジタル工作機器,壁面ホワイトボード等が設置されており,学生は装置のプロトタイピングやプロジェクションマッピングの予行等に活用しています。
デジタルファブリケーション機器を備えた総合制作工房
材料実験室は従来からの木工制作などの作業環境や本格的なシルクスクリーン印刷環境に加え,3Dプリンタやレーザーカッターといったコンピュータで制御するデジタルファブリケーション機器と呼ばれる加工機を備えた総合制作工房です。各種素材と機材を使って様々な制作が行えます。
4年間の学び
卒業生の活躍
時計という成熟した機能性に 造形の価値をプラスする
セイコーウォッチ株式会社 デザイン部
薄上紘太郎さん(2013年3月卒業)
現在は,腕時計のプロダクトデザインとブランドのディレクションを担当しています。時計の歴史は古く,時を知るという単純な機能においては製品として成熟しています。だからこそ普遍的な価値を持ったデザインを造形的な視点で追求したいと思ったのが現職を志望した理由です。宮城大学の事業構想学部に入学したのは,オープンキャンパスで先輩の作品を見て興味を持ったのがきっかけでしたが,入学後,自分の作品を見て入学を決めたという後輩がいて驚きました。大学時代に一緒にデザインを学んだ仲間と再び作品作りをしたり,自分がデザインした製品のプロモーションを偶然知り合いが担当するなど,同世代とのものづくりの機会が増えているので,夢を共有した人たちと少しずつそれを実現していけたらと思っています。
幅広く学べたことが,自分の強みになった。
株式会社日建設計 設計部門 設計部
長尾美菜未さん (2007年3月卒業)
私は現在,組織設計事務所に勤務しており,意匠設計者としてこれまでオフィスや大学・ホテル・工場・空港など比較的大規模な建物の設計に携わってきました。複雑な与条件を読み解きながら多くの関係者と一緒に形にしていくのは大変な作業ですが,建築に同じものは何一つなく常に新しい課題に取り組んでいるので,飽きることはありません。自分が描いた図面が実物になった時は,毎回鳥肌が立ちます。
宮城大学は,さまざまな興味を持った学生が成長できる大学だと思います。私自身も,デザインだけでなく経営や事業開発の領域まで幅広く学べたことは,大きな強みになりました。これからも挑戦し続けることを恐れず,使う人や周囲に良い影響を与える建築を数多く生み出していきたいです。