MYU Dialog #01-05
宮城大学大学院事業構想学研究科の情報デザイン領域では、学外からゲストを招いた特別講義を開講しています。これは専任教員と非常勤講師の専門性を重ね合わせることで生まれる知見を学ぶ機会をつくるとともに、今後の教育・研究や社会活動に接続することを目的としています。今回、この対談の様子をダイジェストにまとめてMYU Dialogとして公開いたします。
対談:ブラックボックス化する制御の仕組みを解き明かし未来へ残す
人間の脳が行うあいまいさを伴う判断、行動基準を数式化することで職人技をコンピューターに再現させる「ファジィ推論」。膨大な教師データに基づく機械学習によってもそれは可能となったが、何をもってその判断が行われているかはブラックボックスの中に押し込められ人間のあずかり知らぬところとなっている。その仕組みを人知で解き明かし、人間の意志決定に至る奥深い部分のプロセスを自動化して後世に残そうとする2人の研究者による対談。
対談:AIが高度に発展した時代に情報通信の研究者がすべきこと
それぞれ民間企業を経て文理融合型の大学で片やプログラミング、片や情報通信を専門とする本学須栗裕樹教授と東京理科大能上慎也教授。現実世界の諸問題をモデル化し、情報システムにより解決、あるいは制御できるかに挑んでいる。高速に大量のトライ&エラーを繰り返すAIが片っ端から最適解を示してみせる一方で、研究者しかできないことを模索する2人。互いの関心事がクロスする領域で生まれる新たな可能性を感じる対談となった。
対談:テクノロジーを面白さに変え、メッセージを届ける
「魔法感」をキーワードに人とコンピューターをつなぐインタラクションを研究する本学鈴木優准教授と、インタラクティブな映像を通して人にストーリーを届ける作品を手掛けるワウ株式会社(WOW)アートディレクターの工藤薫氏による対談。鹿野護教授の質問を交えながら2人が語ることから、アプローチや目的は異なるものの、テクノロジーを面白さに変え、体験者に何かを伝えることにおける重要なポイントが共通項として浮かび上がっていく。
対談:知覚に潜む問題が気付かせてくれる認識の不随意性
共に東京大大学院の心理学研究室で学び認知科学の世界へ進んだ本学茅原拓朗教授と高知工科大の繁桝博昭教授。それぞれ聴覚、視覚を主な対象とし、互いにその研究の中で知覚が根本的に抱える問題の困難さにたびたび気付かされてきた。自分が主体的に決定していると信じて疑わない行動が実は無意識的な処理の影響下にある。そのことに自覚的であるべきだとメッセージを送る2人の対談は、茅原教授の素朴な質問からスタートした。
対談:デザインを実現するための「メタ・ビジュアルデザイン」
映像・ビジュアルデザインとタイポグラフィー。分野は異なれど共通項の多い本学鹿野護教授と&Form代表の丸山新氏。デザインを俯瞰(ふかん)して見る、という振る舞いもその一つだ。「これからの時代はデザインを実現するためのデザインが必要ではないか? それこそがデザイナーの役割ではないか?」。そんな予感から鹿野教授が設けた対談のテーマは「メタ・ビジュアルデザイン」。2人の織り成すデザイン論は生き方の話にまで及んだ。