災害看護プログラム since2010

災害時の実践に学び、人々の命・健康・暮らしを守る/災害看護プログラム

看護学群では学生の主体的な学びを通して、病院、地域、学校等で看護を実践できる人材の育成をめざしています。看護基礎教育おける災害看護教育の充実の必要性と、宮城県をはじめ全国各地の災害発生確率を踏まえた今後の災害発生の予測から、平成22年(2010年)より「災害看護プログラム」をカリキュラムに設置しました。災害直後をはじめ、災害から復興に向かう長期の支援ができる看護の基礎的知識と技術について、4年間を通じて複数の科目を履修することで学ぶことができます。

災害看護プログラムは、災害看護学にもとづく宮城大学独自のプログラムです。災害は、人々の命を脅かすだけでなく、長期にわたり健康や暮らしにも影響を及ぼします。人々の健康な暮らしを支える看護学において、災害を知ること、災害による人々への影響を深く知ること、ケアや支援方法を知ることはとても重要です。また、災害時に支援する保健・医療チームの一員として活動できるためには、協働性と実践力が必要となります。
このプログラムでは、災害と災害看護の専門的知識を持つだけでなく、シュミレーション・トレーニングや、学生同士の意見交換、被災地に赴いてのフィールドワークを通して、災害看護を実践するための力を身につけることができます。

プログラムの構成と特徴

災害看護プログラムの指定科目は、1年次後期「災害活動論」、3年次前期「看護マネジメントⅠ」、4年次前期「救急・災害看護論」、後期「災害看護支援論」です。これらに加えて、1年次から各自の学修プラン・活動プランを年度ごとに組み立て、関連する看護専門科目やボランティア活動と連動させて、学生が主体的に取り組める工夫をしています。4科目すべてを修得し、4年間の活動をポートフォリオにまとめた学生には、修了証が授与されます。※カリキュラムの詳細については「履修ガイド」を参照してください。

1年次 後期 災害活動論
3年次 前期 看護マネジメントⅠ
4年次 前期 救急・災害看護論
後期 災害看護支援論

「災害活動論」:1年次後期(選択科目)

多角的な視点で災害について学び、災害看護への関心を高め、基盤となる知識を得る

災害について、一人の住民として、また、宮城県内の看護系大学生として、日常での備えや災害が発生した時を想定し、適切な行動とは何か考える授業です。まず、講義形式で災害の定義・発生時の状況や影響などを踏まえて、日ごろからの備えや発生時に必要な対応を学びます。また、この授業では、講義だけでなく、演習やワークショップも行います。「初歩的な応急手当と搬送法」の演習では、災害で負った傷の止血や身近なものを用いて応急手当をする方法、傷病者の搬送方法について学修します。「災害シミュレーションワークショップ」では、グループワークを通して日ごろの行動を振り返り、今後の災害に向けて必要な備えや知識を考えます(全15回)。※シラバス

「看護マネジメントⅠ」:3年次・前期(必修科目)

病院での災害対策を学び、災害看護の概要を知る

病院組織と協働のしくみを学修する科目「看護マネジメントⅠ」の中で、災害の病院(医療機関)への影響と対策、災害看護の概要を学修する授業です。講義形式で、災害医療と救急医療の違いや、災害時に多数の傷病者が同時に発生した場合のトリアージ、災害時の医療体制、発災から超急性期・急性期・亜急性期・慢性期・平穏期といった災害サイクル各期の特徴について学びます (全15回)。※シラバス

「救急・災害看護論」:4年次 前期(選択科目)

災害時の保健・救急医療チームの一員として活動できる資質を身につける

災害で多発する傷病者への救急対応を身につけ、避難者の健康と暮らしへの影響を学修する授業です。講義形式であらかじめショック・外傷など、様々な救急疾患の原因・病態や、初期対応・治療の進め方について学びます。その上で、シュミレーション・トレーニングを実施し、心肺蘇生法・応急処置法を体得します。応急仮設住宅における看護について学修し、災害直後から復興期にわたる看護活動を考え、災害時に、保健・医療チームの一員として活動できる資質を身につけることができる授業です(全15回)。※シラバス

「災害看護支援論」:4年次・後期(選択科目)

災害による健康・生活の諸問題について学び、こころのケアを実践できる基礎力を養う

講義やシミュレーション演習、被災地域のフィールドワークにより、災害サイクル各期における看護実践を統合する授業です。災害発生2日以内に救命活動をする(DMAT)隊員や、被災地で精神科医療や精神保健活動を行う専門チーム(DPAT)のメンバーから、活動の実際について講義を受けます。災害により影響を受ける被災者・遺族・救援者のこころの健康、ケアや相談対応のあり方について理解を深め、さらには避難所運営の実践や応急仮設住宅での支援について学修します(全15回)。2021年度は、令和元年度東日本台風の被害を受けた宮城県丸森町のフィールドワークを実施し、丸森町役場の方々、保健師や看護師と共に、防災・減災に向けて真剣な意見交換ができました。 ※シラバス


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