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22.09.09

Team Sendai震災記録チームによる「災害時保健師活動の伝承」を開催しました

看護学群の「災害看護プログラム」では,今後,新たな大規模災害が予測される日本において,将来,医療・行政・学校等で活躍できる看護職を育成しています。災害看護プログラムでは学内外での学生の主体的な取り組みを推奨しています。その一環として,7月13日,震災体験の伝承に取り組む仙台市職員有志の自主勉強会Team Sendai震災記録チーム・横浜市保健師勉強会による「災害時保健師活動の伝承」を開催しました。

東日本大震災当時の避難所運営から災害急性期の看護職のあり方を学ぶ

今回,Team Sendaiと共同で,未来の看護職である本学学生を対象に,東日本大震災当時の仙台市保健師や事務職員の避難所運営の体験,伝承イベントを開催しました。当日は看護師・保健師を志望する学生57名が参加し,実際に対応した元職員2名の本人語りと体験の朗読を通して,震災当時の避難所の状況や課題について知ることができました。講師の元保健師の及川艶子氏からは,震災当時に避難所で起きていたことや「助かった命を大事に,傷ついた心と身体を元気に」を胸に保健師活動を続けていた経験について,率直な表現で語られました。また,元事務職員である後藤敬二氏からは,「保健師は責任感や奉仕精神に溢れる人が選択する職業だからこそ,一人ですべてを抱え込まないでほしいこと」が語られました。

参加した学生からは,「震災当時,自分は小学生で,何が起こっているのかよく分かっていませんでしたが,今回の講演を通して当時の状況を支援する側の面から知ることができ,自分の知識を増やすことができました。」,「震災当時はまだ10歳でした。今では看護のことや災害のことを学んでいるため話の内容を専門的な視点で考えることができます。起きた災害が無くなるわけでも,亡くなった方が戻ってくるわけでもありませんが,この教訓を生かしていつ起こるかわからない災害に備えていこうと思います。」といった感想が聞かれ,震災当時のことを振り返りながら,看護職者としての災害に備える必要性について再確認することができました。
また,「人々から頼られる専門職として誇りと責任をもって活動する必要があること,そして責任をもちながらも,自分を犠牲にするのではなく第一に自分の健康を守っていくことが,過酷な避難所の活動で重要となることがわかりました。」という感想も聞かれ,被災者だけではなく自身の健康にも留意しながら,支援を続ける重要性について気づくことができました。

大規模災害時には支援者も被災者となり得ますので,自らの心身の健康管理を行いながら支援活動を行うことが求められます。限られた人材や資源のなかで,臨機応変に様々な関係者と連携や協働を行いながら被災者支援を行っていくことが重要であることを学ぶ機会となりました。

Team Sendai震災記録チーム

仙台市職員の有志団体であるTeam Sendai(チーム仙台)は,これまで東日本大震災において,仙台市職員がさまざまな現場で経験した災害対応の記録を収集・分析,さらに抽出された教訓を次の世代へ継承するための手法の開発や実践を行っています。これまで,朗読,映像,災害シミュレーションゲーム,ワークショップなど,様々な伝承方法を試みるなど活動を継続しています。

【受賞歴】

  • 2017年 大船渡津波伝承館主催 防災・減災コンテスト 審査員特別賞
  • 2019年 日本マニフェスト大賞 最優秀コミュニケーション戦略賞,大船渡津波伝承館主催防災・減災コンテスト 優秀賞,仙台市長賞(仙台市役所内部)
  • 2021年 仙台みどりと風の会主催 市民活動応援賞
  • 2022年 消防庁主催 防災まちづくり大賞 消防長官賞

災害看護プログラムについて

看護学群では,看護の専門的な学びを深めるプログラムとして災害看護プログラムを設置し,学生の主体的な学びを通して,様々な場で活躍できる看護職の育成を目指しています。災害看護プログラムでは,災害直後をはじめ災害サイクル各期において支援ができる看護の基礎的知識と技術を備え,将来,医療・行政・学校等の各分野において災害看護の一端を担える人材の育成をねらいとしたプログラムです。1年次後期の「災害活動論」,3年次前期の「看護マネジメントⅠ」,4年次前期「救急・災害看護論」後期「災害看護支援論」で構成され,これらの単位を修得した学生には,修了証が授与されます。

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