新年のご挨拶

皆様、新年明けましておめでとうございます。

昨年はロシアによるウクライナへの軍事侵攻に始まり、これが一因として影響する形でエネルギー資源をはじめとした輸入物価の高騰や急激な円安が引き起こされ、他方新型コロナウイルス感染症蔓延はやまず拡大していくというように、経済、安全保障、健康といった社会の根幹に関わる多くの分野において困難が際立った年となりました。これらの課題は容易に解決するものではなく、年が明けた本年も社会はこれらの課題に直面し続けていくことになります。

年初から悲観的な調子の文章を読まれる皆様はいささか奇異に感じられるかもしれませんが、宮城大学が重視する実践教育の現場では、目の前にある課題を正確に認識することを起点とし、その解決策を作り出していくことを重視してきています。かつて、科学の営みは知的欲求を起点として成された発見を尊んできました。この営みの重要性が衰えることはありませんが、今、社会が大学に求めているものは、このような発見によって得られた知識の花園だけではなく、社会が抱える課題を解決に導くように束ねられた花束でもあると考えます。

宮城大学は開学以来、規模に比して広範な専門領域をカバーする体制を作り、課題解決を可能とする知識の花束を作る活動に注力してきました。しかし、きれいな花束は美しい花園があって初めてできるというもので、限られた資源の中でこれらを同時達成する困難にも挑戦してきました。

近年、政府や経済界はDXを重要な戦略としてきています。確かにデジタル技術の進展は急で、この技術が様々な社会課題解決の方策の重要なパーツになったという認識に間違いはありません。宮城大学においても、この数年間、デジタル技術を備えた教員の拡充に努めてきました。その成果もあって、今年度は文部科学省からDX分野に関わるリカレント教育を推進するための事業に採択され、全学群を挙げて取り組んでいます。すでに「みやぎテレナース育成プログラム」、「『Downstream から学ぶ DX』リスキリングプログラム」の二つの教育プログラムを開講しており、これらの成果は全世代の教育課程への展開を図っていくことのできるものになります。

本学は、引き続き困難な社会に向き合い、社会の課題解決に資する質の高い教育研究を進め、これからの社会に求められる人材の育成に努めてまいります。

皆様におかれましては、本年も昨年に増して本学へのご支援ご鞭撻を賜わりますようお願い申し上げます。

令和5年元旦
宮城大学理事長・学長
川上 伸昭

TOP