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20.04.03

令和2年度入学の皆様へ

この度はご入学おめでとうございます。
教職員一同、心よりお祝い申し上げます。

令和2年度の入学生は、看護学群103名、事業構想学群212名、食産業学群131名、看護学研究科14名、事業構想学研究科12名、食産業学研究科11名の計483名です。

贈る言葉ー令和2年度入学を祝福してー 宮城大学長 川上 伸昭
宮城県知事 村井 嘉浩 様より御祝辞を賜りました
宮城県議会議長 石川 光次郎 様より御祝辞を賜りました


贈る言葉ー令和2年度入学を祝福してー 宮城大学長 川上 伸昭

学長 川上 伸昭

(平成31年度入学式の写真)

令和2年度を迎えました。今年度は446名の学群新入学生および37名の大学院新入学生を本学に迎えることができました。入学おめでとうございます。宮城大学は、皆さんを歓迎し、これからともに歩む日々に期待しています。本来であれば、入学式を挙行し、その場で皆さんの入学を祝福するものですが、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、これを行うことができない状況にあることは大変残念です。そこで、替わりに書面をもって祝意を表すことにいたしました。

東日本大震災から9年の歳月が刻まれ、宮城県内各地の復興は一歩一歩前進してきました。そのような中で昨年は台風19号による甚だしい水害が発生し、そして、本年は新型コロナウイルス感染症の蔓延という新たな災厄に見舞われています。

皆さんは、「レジリエンス」(resilience)という言葉を知っていますか。この言葉は社会でそれほど頻繁に使われる言葉ではないのかもしれませんが、本学の学群新入学生のほとんどが受験した2020年の大学入試センター試験国語の第一問に主題として取り上げられたことから、大いに認知度が高まっているものと思います。設問では、レジリエンスという概念が時代とともに多くの分野に拡大されてきたとされていましたが、東日本大震災の経験を経て、災害分野においても、レジリエンスは重要な概念として取り入れられてきています。災害分野におけるレジリエンスの概念は、日本学術会議の提言では「想定を超える極端現象に遭遇してもできるだけ平常の営みを損なわない、また被害が避けられない場合でもそれを極力抑え、被害を乗り越え復活する力」(2014年9月22日日本学術会議東日本大震災復興支援委員会「提言 災害に対するレジリエンスの向上に向けて」要旨より引用)と説明されています。

今、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延は想定を超えた災害といえるものであり、まさに社会はレジリエンスを問われる時にあります。皆さんは社会の一員として、社会がレジリエンスを発揮することのできるように心がけて、考え、行動することが求められています。また、本学自身も社会の一員です。今、大学を閉鎖すれば、大学を通した感染の拡大の可能性を無くすことができます。しかし、それでは大学の活動も大きく損なわれてしまいます。大学の活動をできるだけ保ちながら、感染症を大学に持ち込まない、これを教職員、学生が一丸となって取り組むこと、そのような文脈でのレジリエンスの発揮が必要とされています。このため、今、大学として遠隔授業の導入などの準備を進めています。皆さん一人ひとりの知恵と責任ある行動を求めます。

さて、大和キャンパスでは新棟の建設が進み、6月の完成が見込まれています。この施設ではデザインを中心とした活動を行っていきます。「デザイン」というカタカナ語は、必ずしも概念が統一されていない言葉です。商品デザインのように単体のモノが顧客に好まれ喜びを与えるようにするのがデザインであるという理解から、システムデザインのように組み合わせによってサービスを生み出みだし顧客の満足を得るもの、そして最近は、ソーシャルデザインのように社会が抱える問題を解決する道筋を描くことまでも、「デザイン」と呼ばれるようになってきています。こう見るとデザインという言葉はとらえどころがないもののように見えますが、これらのいずれもが、ヒトが中心にいる、ヒトに向かった活動といえます。グッドデザイン賞を運営する日本デザイン振興会は『「常にヒトを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化する。」この一連のプロセス』(日本デザイン振興会webサイト)がデザインであると定義しています。

前段で述べた災害は社会を変容させます。レジリエンスの定義にある「被害を乗り越え復活する力」は、決して社会を災害の前の元通りの姿に戻すことを指すものではありません。災害を通して人間は多くの新しい知識を得ます。復活はこういった知識を活用して行われていきます。知識を適用し、人間を中心に置いた社会となるように計画化して実現していくプロセスもデザインであると言えます。

宮城大学は、開学時から「ホスピタリティ精神とアメニティ感覚にあふれる社会の形成」を目指すこと、すなわち人間を中心とした温かい社会をデザインすることを追及してきました。今、社会が、直面する複雑な課題に対する解決の道筋を求める時代となり、本学は、看護、事業構想、食産業全体において改めてデザイン重視の姿勢を顕わしていきます。

皆さんはこれからの学生生活で学修の進展とともに、現実の課題を目前に、その解決策をデザインするという実践的な教育を受けることになります。社会の課題は様々で、教科書に解答は書かれていません。自分で考え回答を作ることが求められます。このため、学士課程4年間の最初に基盤教育となる「フレッシュマンコア」プログラムが3学群共通で用意されています。ここでは、「主体的に考える力」を身につけることが目的とされます。また、これからの社会は、グローバルな競争の下、急速に変化していくことが予想され、これに伴い、社会人に求められる能力はこれまで以上の速度で変化していくものと予想されます。生涯を通じた学びによって変化を乗り越えることのできる力を持った人材を育てること、これもフレッシュマンコアの眼目です。

新入学生の皆さんは、今学んでいることを、過去に生み出された知識として記憶するだけではなく、生涯にわたる学びを通して応用していけるものとして身につけてもらいたいと思います。

最後に、改めて新入学生の皆さんにお祝いを申し上げるとともに、学生一人ひとりにとって、宮城大学におけるこれからの日々が充実したものとなることを祈念して、歓迎の言葉とします。

令和2年4月3日
宮城大学長
川上 伸昭

 


祝辞 宮城県知事 村井 嘉浩 様

宮城県知事 村井 嘉浩

元号が改まり、令和となって初めての宮城大学入学生となられます皆様、着実に積み上げてきた努力が実を結び、見事に難関を乗り越え入学されましたこと、誠におめでとうございます。また、今日まで皆様を励まし、支えてこられた御家族のお喜びもひとしおのことと存じます。心からお祝い申し上げます。

これまでの厳しい受験生活を終え、希望にあふれる大学生活の最初の一歩となります入学式が中止となることは、誠に残念なことでございました。

しかし、晴れやかな思いで新たな学びの場へ踏み出そうとしている皆様と、御家族、そして皆様が今後の学問研究において、今まで以上に関わりを深めていくであろう地域社会を感染症のリスクから守るため、大学としても苦渋の決断であったことに、どうか皆様の御理解をお願いいたします。

昨今の世の中の動きを見ますと、新型コロナウイルス感染症のほか、台風や地震といった自然災害の増加など、今後の動向が見通しづらい要素が山積しております。

さらに、少子化による生産年齢人口の減少などによる深刻な人手不足が常態化しているほか、東京一極集中に伴う地域経済の縮小が大きな課題になっており、このような中で将来を見据えますと、新たな課題に向き合い、考えていく力を備えた若い世代が地元・地域に根付き、各地を活性化する主役となり、ひいては日本経済をけん引していくことが必要です。

そのため、私は、宮城大学には、自らの力で将来を切り開くことができ、社会の各分野において先導的役割を担える人材の育成をお願いしています。

宮城大学は、これまで各地の企業や自治体等と連携・協働した取組を数多く実施し、また、高い就職率を維持し続けるなど、県内外から高い評価を得てまいりました。学群・学類制を導入した平成29年度からは、全学群共通の必修科目「地域フィールドワーク」をはじめとする「コミュニティ・プランナープログラム」が導入されるなど、地域の課題や魅力に視野を広げる機会と、今後の学びを深めていく足がかりが用意されています。

皆様には、社会に活力を与えるための取組に積極的に関わりながら、実践的な学びと活動を行うことが求められており、内外の各界各層からも大きな期待が寄せられていることを、心にとどめてほしいと思います。

また、東日本大震災の発生から、はや9年が経過し、県が10年間と定めた震災復興計画期間も、残すところ来年3月までとなりました。

被災地の公立大学である宮城大学には、これまでも被災地における課題を解決するための多様なアイディアを提案いただいたほか、多くの学生がボランティア活動を行うなど、様々な形で率先して被災地の方々と関わり合いを深め、復興支援に取り組んでもらいました。

県では、このような協力をいただきながら、被災された方々の暮らしの再建や地域産業の再生はもちろんのこと、次世代を見据えた「創造的復興」を成し遂げるため、様々な施策に取り組んでいるところですが、このたび新たに宮城大学の学生となった皆様には、復興を更に進めていくため、また、復興計画期間後も、将来に向けて持続可能な社会の実現のために、自ら何ができるかを考え、行動されることを期待しております。

是非、皆様は、この大学で専門的な知識や技能を修得し、また、県内各地をフィールドとして、各地域の特性、伝統や文化などを深く学び、ローカルな視点で考えられる力を養ってください。また、語学スキルの向上にも励むとともに、積極的に異文化交流などに飛び込み、グローバルな視点で考える力も身につけ、行動してください。皆様の熱い期待や希望は、この宮城大学が擁する優れた先生方がしっかりと受け止め、夢の実現に向けて導いてくれます。

この大学で学び、過ごす時間は、皆様にとってかけがえのない、実り豊かなものとなるでしょう。学問とともに、良き師、良き友にも巡り会い、これから始まる大学生活が、楽しく、充実したものになることを望んでおります。

また、大学院に入学された皆様には、研究者として、専門分野の更なる高みを目指し、これを究め、新しい知の創造によって社会に貢献されますことを期待しております。

皆様の力により、宮城大学が更なる飛躍を遂げ、また、皆様の未来が輝かしいものとなりますよう、心からお祈り申し上げます。

令和2年4月3日
宮城県知事
村井 嘉浩


祝辞 宮城県議会議長 石川 光次郎 様

新入学生の皆様、誠におめでとうございます。見事に難関を乗り越えられ、未来への希望を胸に、晴れの入学を迎えられましたことを心からお慶び申し上げます。また、皆様の勉学を今日まで献身的な愛情をもって励まし続けてこられました御家族・関係の皆様方におかれましても、さぞお喜びのことと存じます。重ねてお祝い申し上げます。

さて、今日の日本は、国境を越えて経済や文化の影響を直接受けるとともに、高齢化や人口減少、AIやIoTなどをはじめとする技術の普及と進歩により、社会が大きく変動している中にあります。
また、東日本大震災から九年が経過した本県では、震災復興計画の最終年度となり、復興の総仕上げに向け各施策に取り組んでいるところではありますが、復興の進捗に伴って生じた新たな課題に対し、よりきめ細やかに対応していかなければなりません。

このような中、次世代を担う人材には専門的知識だけでなく、多様な分野を俯瞰する力を持ち、それらの変化に対応し解決していく能力が求められております。このような能力を培うためには、漠然と学ぶだけではなく、自ら進んで学ぶ姿勢を身につけることが大切です。

これから皆様が学生生活を送る宮城大学は、緑豊かな自然と充実した施設の中で、学業はもとよりスポーツや文化活動にも積極的に取り組むことができる活気と情熱に満ちた大学であります。本学で学び、各分野で即戦力として御活躍されている卒業生も多く、時代の要請にかなった人材を輩出する大学として、地域の信頼は大変厚いものがあります。

御入学されました皆様におかれましては、質の高い教育環境のもと、多くのことを学ばれ、将来を担う貴重な人材として逞しく成長されますとともに、希望に満ちた今の新鮮な気持ちを忘れず、多くの出会いや経験を通じ、実り多い学生生活を過ごしていただきたいと思います。

大学院に入学された皆様には、より高度な専門的知識をさらに磨き、社会に貢献されますことを御期待申し上げます。

結びに、宮城大学の限りない御発展と、大学生活の第一歩を踏み出された入学生の皆様方の御健勝・御活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。

令和2年4月3日
宮城県議会議長
石川 光次郎

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