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24.01.04
2024年(令和6年) 年頭挨拶(2024年1月4日)
令和6年の仕事はじめにあたり、ご挨拶申し上げます。
令和6年、我が国にとって試練の幕開けとなりました。まずもって、この度の令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた多数の方々のご冥福を心よりお祈り申しあげます。また被災地の皆様にお見舞いを申しあげます。まだまだ余震も続いておりますが、一日も早い復旧を祈念し、本学もできるかぎり力を尽くしたいと思います。また、羽田空港での事故によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表します。大型旅客機の乗員、乗客に犠牲者が出なかったことは本当に幸いでした。
さて、本学にとっても本年は試練の年となります。と言いましても、本学のミッションをこれまで以上に強力に遂行するため、教育研究をはじめとする大学業務の大きな改革、そして体制整備に自ら果敢に挑戦する、ということを意味します。
現在の我が国は、国民一人当たりのGDP世界21位に代表されるように、経済力・産業力が大きく低下しています。また、DXに関しても世界63か国の中で27位、アジア圏では14か国の中で9位と大きく遅れをとっています。もはや先進国とは言えない状況にあります。また、世界大学ランキングでも明らかなように研究力の低下も著しいものがあります。この原因は、科学技術や社会システムの進歩などの世界的な変化に、我が国の社会が対応できなかったことと総括されます。産業や行政などの社会的構造や、人々の考え方、マインドの変革が世界の動きに追従できなかったことは明らかです。また、教育面での対応の遅れも大きな要因でしょう。
私は今、教育の大切さを改めて感じています。私は大学院を修了し海外生活を経て1990年代前半からアカデミアとしての本格的なキャリアをスタートさせました。私の社会での活動時期は、我が国の凋落の過程とほぼ一致しています。その意味では、このような日本の現状を作ってしまった一人であることは否定できません。今になって思うと、社会や政治の動向に対して批評はするものの、アカデミアの者でもあり、どこか他人事として捉えて相対してきました。また、自分自身として具体的に何ができるのか、どのような行動が必要だったのか、よくわかっていませんでした。このような他人事のような感覚、あるいは無関心、そして社会で必要とされる活きた知識の不足が、今の日本を作った大きな原因ではないか、と今思うわけです。
これらを鑑みた時、これからの日本に必要な人材の一つの像として、社会や地域、職場など自分の身の周りのこと、そしてそれらの課題を、自分のこと、いわゆる「自分ごと」として捉え、実用的な活きた学問を基盤として対応できる人材、という像が思い浮かびます。これは、本学のミッションに謡う育成する人材像:地域社会の課題を高度な専門性および確かな実践力により解決し、社会の発展に貢献できる人材、とまさに一致します。
宮城大学は、今の時代にも通用する、この建学以来のミッションを矜持に、法人、そして教職員の皆様とともに、今後の社会動向により適応するよう明確化し、それを遂行していくことを目指すべきです。
そのためにはアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプローマポリシー、そして入学試験のあり方、カリキュラム等を見直さなければなりません。大きな、大きな改革となります。しかしこれは、社会の変化や科学技術の進歩に対応し、社会が求める人材を育成するため、社会から期待される大学となるために必須の過程です。令和7年度に予定している大学認証評価の受審、令和9年度からの法人の第4期中期目標・中期計画策定は、絶好の機会となります。
もちろん、これらを実施する上では教職員の方々のご理解、なお一層のご協力が必須となります。そして、教職員の業務負担の軽減を図るための学内センター、委員会の効率的な編成や、業務、諸手続きなどの簡素化、DXを、その両輪として推進することが不可欠です。
今年は、これら改革の端緒の年となります。教職員の皆様には、ご苦労をおかけすることと思いますが、是非、一致団結して歩んでまいりましょう。そして学外の関係者の皆様におかれましても、何卒、ご理解、ご協力のほどお願いいたします。
本年が皆様にとって、幸多き年となることを祈念し、私からの挨拶といたします。
宮城大学長 佐々木 啓一
本学における令和6年能登半島地震への対応について(まとめページ)