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21.11.10

デザインスタディセンター×WOW 「いのりのかたち展」全4作品の一般公開

宮城大学大和キャンパス「デザイン研究棟」において、ビジュアルデザインスタジオである WOW による、東北地方の “信仰や祈り” をテーマとした先進メディア表現による企画展示を開催、2021年10月30日・31日、11月6日・7日にわたる4日間の一般公開を終了しました。たくさんのご来場、ありがとうございました。

デザインスタディセンターでは、今後も学群を超えた知の接続/地域社会との継続的な共創/学外の先進的な知見の獲得を目指して、企業との共同プロジェクトや、デザイン教育・研究を展開していく予定です。


DSC Dialogでこれら作品に関する話題が展開されています(2023年度追記)

DSC Dialog #01 デザインスタディセンターの『現在』と『未来』

東北の新たなデザインの拠点として設けられた真新しいデザイン研究棟の建物が肉体だとすれば、デザインスタディセンターはその核に据えられた魂の依り代と言えるだろう。目に見える形は持たないが、だからこそ、それを中心に専門領域に縛られず、産学官の軽やかな連携が立ち上がり、地域と境界線のない交差が生まれる。そんな混然一体の営みが自然発生し得るこの場が持つ可能性について、3 人のコアメンバーに語ってもらった。

DSC Dialog #02 めぐみ MEGUMI

科学的にそのメカニズムが明らかになっているとはいえ、微生物の働きにより米と水から酒がつくられていく過程は神秘性を帯びている。肉眼では見えない存在に思いをはせ、その力を借りた酒づくりの現場を目にしたクリエイターらが生み出した映像は、発酵という現象を科学的に解明しようとする研究者にはどう映ったのか。そして神事とも密接する酒づくりにおける「いのり」の科学的な解釈とは。

DSC Dialog #03 文様 MONYOU

東日本大震災の後、事業構想学部(当時)中田研究室の有志学生が南三陸町戸倉地区長清水集落で行ったプロジェクト「ながしずてぬぐい」。その手拭いにもあしらわれていた文様に、中田教授の教え子でもある 2 人は「いのりのかたち」を見いだし、作品をつくり上げた。つくりながら感じた悩みや疑問を、学生時代に戻って先生に問いかけてみる。その答えはいたって明快、「つくり続けなさい」。

DSC Dialog #04 やまのかけら YAMANOKAKERA

山岳信仰に限らず、人は古来、自然の中でも山に対しては特に畏敬の念を抱き、その「かけら」である岩や石にも神性を見いだしてきた。スコープというアナログな仕掛けを用い、山の側にフォーカスを当てることで、周辺にある私たちの営みを描き出した「やまのかけら」。土地から拾い上げた歴史をどうやって伝えるかという点で、その手法は「歴史屋」にとっても新しい気付きがあったという。

DSC Dialog #05 うつし UTSUSHI

宮城大学の象徴的な空間である大階段の前に茅の輪が置かれ、それをくぐると突如として非日常の世界が広がる、神事をモチーフにした AR 作品。そのコンセプトやデザインへの評価と同時に、同じくテクノロジーを使った表現や体験を追求する研究者同士の対話だからこそ、効果的に実現するデバイスや手法について議論が加熱した。そしてテクノロジーと最も遠い場所にある「いのり」について。


身の回りにある「祈り」の「形」を見つめなおし、地域の精神性と文化を捉える

祈りは太古の昔から、様々な時代、様々な場所で行われてきました。芸能、工芸、祭り、絵画、風習、食事、音楽、建築。人々の「祈り」は、様々な形を得ることで多くの人に浸透し、時を超えて受け継がれてきました。その形には地域文化の特徴を色濃く反映したものも、時と場所を越えて共通性を持ったものもあります。現在も何かを祈るシーンは多く存在しますが、その背景にある文化を意識する機会は多くありません。WOW は、今も身の回りにある祈りの「形」を通して、連綿と受け継がれてきた精神性とその背景にある文化を今一度見つめ直してみようと考えました。

『うつし』『文様』『やまのかけら』『めぐみ』4つのテーマで
WOWの表現技術と解釈を加えて作り上げる空間インスタレーション

本展は、仙台と東京を拠点に映像制作や空間演出を手がけるビジュアルデザインスタジオ WOW による作品展です。
作品制作にあたり、 古くから祈りと関わりが深い『形代(かたしろ)』『文様』『山』『酒』というモチーフに着目し、工房見学を始めとしたフィールドワークを通して、それらの持つ伝統的な意味や哲学を学びました。本展ではそのテーマを基に、フィールドワークの様子や制作プロセスに加え、WOW による表現技術と解釈を加えて作り上げた実験的な 4 つのオリジナル作品を展示します。各作品は会期中に段階的に発表され、展示会場も変化します。

うつし | 人の形をした依り代「形代(かたしろ)」と「茅の輪(ちのわ)くぐり」をモチーフにしたインスタレーション作品。厄を移した「形代流し」や厄払いの世界観をARで体験します。

文様 | 着物や暖簾、手ぬぐい。人々は植物や水、光などの自然から文様を生み出し、身にまとってきました。伝統的な染の技法をモチーフに、体験型のデジタル表現をかけ合わせることで文様のルーツを知り、従来とは違った見方を体感できる作品です。

やまのかけら | 古くから日本では山や森に神が宿るとされていました。フィールドワークで採取した山の石を特殊なスコープで覗くと、その先にさまざまな風景が広がります。山の一部からその神性を想起するインスタレーション作品です。

めぐみ | 酒は酔うことで神に繋がるものとして、古くから祭事で用いられてきました。本作では酒を取り囲むさまざまな生命や信仰を映像表現で描きます。気配を通して見えないものの存在を感じるインスタレーション作品です。


関連動画

WOW Talk Vol.8 「伝統文化とビジュアルデザインの可能性」

WOW スタッフによるオンライントークイベント「WOW Talk」シリーズ。第 8 回目は、「伝統文化とビジュアルデザインの可能性」をテーマに、「いのりのかたち」参加メンバーがプロジェクトの裏側をお話した動画を視聴可能です。

登壇者 Executive Director 工藤薫、Director 高平大輔、Technical Director 佐藤宏樹、Producer 稲垣拓也、聞き手:菊地正宏(仙台経済新聞編集長)

開催概要

学内展示

2021年4月23日(金)~10月29日(金) 

※新型コロナウイルス感染症対策のため、指定時期のみ一般公開いたします。
一般公開 2021 年 10 月 30 日・31 日 ( 土・日 )、11 月 6 日・7 日 ( 土・日 ) 10:00 ~ 17:00
第一弾『うつし』第二弾『文様』第三弾『やまのかけら』第四弾『めぐみ』
全4作品を一般公開
展示場所

宮城大学大和キャンパスデザイン研究棟1Fオープンスタディ

〒981-3298宮城県黒川郡大和町学苑1-1
交通アクセス

展示形式 本展では、『うつし』『文様』『やまのかけら』『めぐみ』4つのテーマで WOWの表現技術と解釈を加えた空間インスタレーションを現地で行い、それぞれの記録映像と制作プロセスを映像作品として宮城大学に展示します。それぞれの作品は段階的に発表し、展示会場も変化していきます。作品完成までの制作プロセスもプロジェクトの一部として捉え、それらを展示会場にアーカイブしていく新たな試みです。
主催 WOW×宮城大学デザインスタディセンター
WEB

いのりのかたち特設WEBサイト

お問い合わせ 宮城大学事務局企画・入試課、広報担当:中木
電話:022-377-8217、メール:kouhou(a)myu.ac.jp
※メールの際は、(a)を@に替えてご利用ください。

WOWについて

東京、仙台、ロンドン、サンフランシスコに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ。CMやコンセプト映像など、広告における多様な映像表現から、さまざまな空間におけるインスタレーション映像演出、メーカーと共同で開発するユーザーインターフェイスデザインまで、既存のメディアやカテゴリーにとらわれない、幅広いデザインワークを行っています。最近では積極的にオリジナルのアート作品やプロダクトを制作し、国内外でインスタレーションを多数実施。作り手個人の感性を最大限に引き出しながら、ビジュアルデザインの社会的機能を果たすべく、映像の新しい可能性を追求し続けています。

宮城大学デザインスタディセンター

デザインを通して、新しい価値をどう生み出していくか。日々変化する社会環境を観察し、多様な課題を解決へと導く論理的思考力と表現力、“デザイン思考” は、宮城大学で学ぶ全ての学生に必要とされる考え方です。ビジネスにおける事業のデザイン、社会のデザイン、生活に関わるデザインなど 3学群を挙げてこれらを担う人材を育成するため、その象徴として 2020 年にデザイン研究棟が完成、学群を超えた知の接続/地域社会との継続的な共創/学外の先進的な知見の獲得を目指して、企業との共同プロジェクトや、デザイン教育・研究を展開する「デザインスタディセンター」として、宮城大学は東北の新たなデザインの拠点をつくります。

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