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26.09.30

事業構想学群の千葉克己教授が農業農村工学会優秀技術賞を受賞

水田の汎用化・畑地化、津波被災農地の除塩法などの研究に取り組んでいる事業構想学群の千葉克己教授らが発表した報文「農業者による施工が可能で簡易な地下排水・灌漑システム」が、2026年度農業農村工学会優秀技術賞を受賞しました。

千葉教授は、耕作放棄の抑制、畑作物の増産、優良な畑地の創出などが地域農業の課題であるとし、今後の畑地はかつてのように山林を開墾して造成するのではなく、水田を畑地として利用していくことが重要であるとの考えから、これらの問題を解決する技術開発に取り組んでいます。農家自らが施工できる地下灌漑・排水システムを考案し、このシステムが高温少雨や豪雨に対応した水田の畑地化技術になりうることを明らかにしました。システムを浅く整備することで容易な施工を可能としたこと、高温少雨時の地下灌漑機能および豪雨時の排水機能の高さを証明するとともにその利用の切り替えを容易としたこと、高品質かつ高収量のオクラの生産を実現したこと、などが学会から評価されました。

本研究の核心と期待されること

水田は水を貯める農地なのでそのまま畑地としては利用できません。畑作物が湿害を受けてしまうからです。このため、雨を速やかに土中に浸透させる対策が必要になります。試験地である新潟県は排水不良水田が多いため、この問題は特に重要です。排水対策は地下に暗渠(あんきょ)という水路を整備して対応することが一般的ですが、この工事は高度な測量の技術と大型機械が必要なので、農家が自分で整備することは難しいのです。また、日本の畑地は用水路などの灌漑施設がないことが多く、高温少雨のときは作物の水分供給に多大な労力がかかります。水田は必ず用水路が配備されているので、水の手配は容易です。このことが水田を畑として利用する最大のメリットなのですが、どのような方法で用水路から圃場全体へ迅速かつ均一に水を供給するかがこれまでの課題でした。このシステムはこれらの問題を解決する技術です。システムの普及により、水田の利活用による地域農業の振興や耕作放棄の抑制につながることが期待できます。なお、お米を生産する場合は水田に戻すことも可能です。

千葉教授は「本研究は、新潟県の農業土木技術者である佐藤太郎氏、農地環境工学の専門家である吉田修一郎氏(東京大学教授)、土壌物理学の専門家である登尾浩助氏(明治大学名誉教授)、五泉市のオクラ農家である野瀬節男氏と共同で行われたものです。研究を通じて新潟県の農地事情、オクラの生態、暗渠研究の方向性、最新の土壌環境計測などについて学びを深めることができました。特に、新潟県職員として生産現場をよくしたいという佐藤氏の熱意にはいつも感銘を受けています。また、野瀬氏には試験施工とデータの提供において多大な協力をいただきました」と、メッセージを寄せました。

農業農村工学会-優秀技術賞とは

農業農村工学会は、「農業農村工学の進歩及び農業農村工学に関わる研究者・技術者の資質向上を図り、学術・技術の振興と社会の発展に寄与する」ことを目的とし、様々な活動を展開している、日本学術会議協力学術研究団体です。優秀技術賞は、農業農村工学に関する計画、設計、施工、管理等の単独の技術業績に授与されるものです。

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