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26.09.02

太白キャンパスの水田で突然変異種シロバナミズアオイを発見

2026年8月31日、宮城大学太白キャンパス(仙台市太白区旗立二丁目)内の水田において、シロバナミズアオイが1個体自生していることを確認しました。

ミズアオイは青色の花色が大変美しい水生植物です。一方で、近年は個体数が減少しており、環境省および宮城県の準絶滅危惧種に指定されている稀少植物でもあります。

今回発見されたシロバナミズアオイは、通常は青色である花が白色となった非常に珍しい突然変異個体です。
太白キャンパスの水田で確認された約800株のミズアオイの中から発見されました。

今後は、この貴重な遺伝資源の保存と活用に向けて増殖の可能性を検討するとともに、その遺伝様式についても調査を進めていく予定です。

ミズアオイとは

ミズアオイは、かつて日本各地の水田や水路で広く見られた植物で、農村の風景の一部ともいえる存在でした。鮮やかな青色の花を咲かせることが特徴で、近年では観賞価値の高い水生植物としても注目されています。

しかし、圃場整備や除草剤の普及など農業環境の変化により、その姿を見かける機会は大きく減少しています。現在では環境省および宮城県のレッドリストにおいて「準絶滅危惧種」に指定されており、地域によっては保全の対象となる希少な植物です(1)、(2)。

かつては「雑草」として扱われていた植物が、今では守るべき存在へと位置付けられている点も、ミズアオイの大きな特徴の一つといえます。

宮城大学におけるミズアオイの研究

ミズアオイは、古代の法令集『延喜式』に主要な野菜の一つとして記載されている植物です。また、同属植物であるコナギには高い栄養価があることが報告されています。そのため、本学ではミズアオイを現代の野菜として活用する可能性を探ることを目的に、その歴史や栽培に関する研究を進めてきました(3)。

研究を進める中で、学外の協力研究者から、太白キャンパス内に環境省および宮城県の準絶滅危惧種に指定されているミズアオイが自生していることの学術的価値について指摘を受けました。これを契機として、2025年度からキャンパス内におけるミズアオイの生態調査に着手し、継続的な調査を実施しています。

本調査は2025年度から2026年度までの2年間にわたり実施しており、調査結果は今後、専門誌で発表する予定です。こうした調査を進める中で、このたび非常に珍しい突然変異個体であるシロバナミズアオイを発見しました。

ミズアオイの花はなぜ青い?

ミズアオイの青い花色はアントシアニンの発色によるものです。そのため、今回発見されたシロバナミズアオイでは、アントシアニンの合成に関わる機能に何らかの変異が生じている可能性があります。

発見された個体の周囲には青花のミズアオイのみが生育していたことから,白花に対して青花が遺伝的に優性であり、白花個体は劣性ホモである可能性が考えられます。この仮説が正しければ、シロバナミズアオイが周囲の青花個体と交雑した場合、次世代では青花個体が出現する可能性が高いと考えられます。

一方で、近年の研究により、ミズアオイは自家受粉と他家受粉の両方を行うことが報告されています(4)。そのため、シロバナミズアオイが自家受粉によって種子を形成した場合には、白花形質が次世代にも受け継がれる可能性があり、白花系統の維持・固定につながることが期待されます。

今後の研究の方向性

今後は、発見されたシロバナミズアオイの個体を適切に維持しながら、できるだけ多くの種子を採取することが重要となります。毎年、採種と育成を継続的に繰り返すことで、希少なシロバナミズアオイの増殖を目指します。

また、その過程で得られるデータから、シロバナミズアオイにおける自家受粉と他家受粉の割合や、白花形質の遺伝様式についての理解が深まることも期待されます。

今回、太白キャンパスの水田でミズアオイが定着した経緯については、現時点では明らかになっていません。一つの仮説として、水鳥による種子の運搬が考えられます。

また、発見されたシロバナミズアオイについても、その起源は不明です。キャンパス内で生育するミズアオイから突然変異によって生じた可能性がある一方で、他地域から種子が持ち込まれた可能性も考えられます。これらを明らかにするためには、周辺の湖沼や水田におけるシロバナミズアオイの分布状況を調査することが重要です。

一方で、ミズアオイは水田雑草として生育する植物であるため、水田内で保全を図ることは、実習や教育など本来の水田利用に支障を生じさせる可能性があります。そのため、水田周辺に専用の保全地を設け、保全と教育・研究利用を両立できる環境を整備することが望まれます。

独立した保全地を確保することで、キャンパス内におけるミズアオイおよびシロバナミズアオイの継続的な保全に加え、生態学や植物生理学に関する研究、さらには環境教育の教材としての活用も期待されます。

今回の発見は、太白キャンパスに自生するミズアオイの新たな価値を示す成果となりました。今後はシロバナミズアオイの保全と増殖に取り組むとともに、その遺伝的特性の解明を進め、教育・研究資源としての活用も図っていきます。

<参考資料>
(1) 宮城県環境生活部自然保護課野生生物保護班,2024,『宮城県の希少な野生動植物-宮城レッドリスト2024年版-』,宮城県

(2) 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室,2025,『第5次レッドリスト(植物・菌類)』環境省.植物種の検索は、 『いきものログ―レッドリスト,レッドデータブック』でできる 

(3) 目黒薫音,2025,ミズアオイの歴史と栽培に関する研究,2024年度宮城大学卒業論文,宮城大学食産業学群.

(4) 橋本宗 明 ・江 光煕 ・伊藤操子,2004,ミズアオイ属の花器形態 ・受粉機能についての比較検討,雑草研究,49,44-45.

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