新着情報
25.07.24
事業構想学部卒業生の長尾美菜未さんが「城西大学坂戸キャンパス23号館(JOSAI HUB)」で2025年日本建築学会作品選集新人賞を受賞
事業構想学部デザイン情報学科を2007年3月に卒業し、株式会社日建設計で設計者として活躍している長尾美菜未さんが、設計を担当した「城西大学 坂戸キャンパス23号館(JOSAI HUB)」で2025年日本建築学会作品選集新人賞他各賞を受賞しましたのでお知らせします。※作品写真・資料は株式会社日建設計より提供。
どこにいても豊かな緑と広い空を感じられる交流と創造の知の拠点「JOSAI HUB」
1つの建物でキャンパスのマスタープランとイメージを強く刷新する高いデザイン力が評価
23号館(JOSAI HUB)は、広大なキャンパスの正門に面して整備したキャンパスコモンと講義室・研究室・実験室の複合棟です。講義室の建て替え要望から始まったこのプロジェクトは、キャンパスの東西で分かれていた文系と理系をつなぎ、約60年間継承されてきた豊かな緑と学生の賑わいでキャンパスの顔をつくるという、1棟の建物でキャンパスのマスタープランを改善する挑戦にまで発展しました。
「JOSAI HUB」はこのキャンパスに通う全ての学生のための活動と交流の拠点です。地上階に設けた大きな庇の下のひとつながりの空間で、学生は正門から「JOSAI HUB」を通り抜けて各棟へアクセスします。動線上に様々な居場所をぶらさげ、ラーニング、セルフスタディなどの学習スペースや、カフェ、ラウンジ、事務窓口などを約5,000㎡の空間に仕切りなく配置しました。用途を限定しないことで重ね使いによるスペースの有効活用と活動間の相互作用を促進します。屋内・屋外の垣根を超えて大小様々な居場所をゆるやかにつなげることで、活動の領域が重なり、キャンパス全体に拡がっていくことを期待しています。
あらゆる垣根を超えてつなげることで、マスタープランを再構成し、キャンパスの雰囲気を変え、周辺の街の賑わいにまで影響を与える。郊外ならではの豊かな教育環境の実現と、交流の連鎖を社会まで拡げるきっかけとなる建築を目指しました。
長尾美菜未
当作品は、2025年日本建築学会作品選集新人賞審査において、下記の評価を得ています。
「約 5,000㎡ の『JOSAI HUB』と名付けられた吹抜け2層の大空間は、天井高約7m、大ひさしの軒裏まで含めて天井デザインを統一し、ガラスマリオンによる全方位の全面ガラス、室内外をまたぐ床テクスチャーにより、緑豊かな外部空間との連続性が生み出され、さらに地形の高低差を生かした段状の床、ショーケースのような中庭、鉄骨柱と鉄筋コンクリート柱の共存がアクセントとなり、まるで森の中のような落ち着いた雰囲気となっている。また、直線を強調したソリッドデザインの外観に対し、丸いコーナーガラス、段鼻と蹴込みを丸くデザインした勾配の緩い階段、アールを多用したディテールからは、やさしさと柔らかさを感じる。大ひさしの上階は、研究室と教室、ラウンジを長い共用廊下でつなぎ、廊下の両サイドにスキップフロアの吹抜けを設け、教員と学生、学生同士のコミュニケーションを誘発する。学生にとって魅力的な憩いと勉学の場を提供し、キャンパスイメージを刷新するデザイン力は圧巻である。」
また、城西大学坂戸キャンパス23号館(JOSAI HUB)は、2025年日本建築学会作品選集新人賞の他にも下記の賞を受賞しました。
- 日本建築学会 「作品選集2025」採用
- 2025年日本建築学会 「作品選集新人賞」受賞
- 日本建築家協会 「優秀建築選2024(100選)」採用
- World Architecture Festival 2024 Completed Buildings: Higher Education and Research部門 ショートリスト、Special prizes: Best Use of Natural Light部門 ショートリスト
- 第五十一回東京建築賞 一般部門二類 最優秀賞
学生たちに向けて、長尾美菜未さんのコメント
建築の世界は今、大きな変革の渦中にあります。従来のようにクライアントからの設計依頼に応えるだけでなく、建築家自身が課題を見出し、資金を集め、企画・設計・運営までを担う新しいビジネスモデルが生まれています。社会を変える建築を最短距離で実現するムーブメントは、今後さらに広がっていくでしょう。
この流れの中で、建築家の職能も変わりつつあります。設計者としての役割に加え、プロデューサーや起業家としての視点が求められる時代です。事業構想学部の皆さんが学びの軸としている「構想力」や「実践力」は、まさにこれからの建築に欠かせない力だと感じています。
宮城大学には、多様な興味を持つ学生が集まっています。この多様性こそが、社会の本質を見抜く感性を育てる土壌です。ぜひ、幅広い仲間との対話や地域とのフィールドワークを通じて、社会が本当に求めているものを感じ取るセンスを磨いていってください。そして、空間だけでなく「仕組み」や「体験」をデザインする視点を持ち、小さな実験からでも構いません、社会に働きかける挑戦を、ぜひ始めてほしいと思います。
皆さんの柔軟な発想と行動力が、未来を切り拓いていくことを心から期待しています。私自身も、皆さんに刺激を受けながら、負けないようにもっと頑張っていきます。
日本建築学会作品選集新人賞について
日本建築学会作品選集新人賞は、日本建築学会が40歳未満の若手設計者を表彰するために2013年に創設した賞です。作品選集に掲載された作品の筆頭設計者の中から、優れた作品を表彰します。応募時に40 歳未満の作品選集掲載作品の筆頭設計者または同等の貢献度を有すると判断できる筆頭設計者以外の 40 歳未満の設計者を対象に表彰されます。
- 実績名:城西大学 坂戸キャンパス23号館(JOSAI HUB)
- 対象者:長尾 美菜未(㈱日建設計設計グループアソシエイト)
東京建築賞授賞式:クライアント、施工者との記念写真
長尾美菜未さんプロフィール
青森県生まれ/2007年宮城大学事業構想学部デザイン情報学科空間デザインコース卒業後、日建設計入社/2014年スイス連邦工科大学MAS修士課程修了/2015年スイス連邦工科大学客員研究員/2016年日建設計復職/現在日建設計設計グループアソシエイト/2005年第9回JIA東北建築学生賞最優秀賞、宮城大学学長賞/2007年全国学生卒業設計コンクール選抜/2014年The Design is...Awardグローバルアワードおよび教育施設部門賞(城西大学紀尾井町キャンパス3号棟)/2020年JIA優秀建築選(ホテルメッツ新木場)/2024年CTBUH最優秀賞(現代グローバルR&Dセンター)他