• ホーム >
  • 学群・大学院等 >
  • 新着情報 >
  • 事業構想学研究科の相馬悠さんらが作品「Echoes in Thread」で日本建築学会建築文化週間2025学生グランプリ「銀茶会の茶席」審査員賞(佐藤淳)を受賞

新着情報

26.02.02

事業構想学研究科の相馬悠さんらが作品「Echoes in Thread」で日本建築学会建築文化週間2025学生グランプリ「銀茶会の茶席」審査員賞(佐藤淳)を受賞

事業構想学研究科に所属する相馬悠(佐藤宏樹研究室)、相澤佑斗(友渕貴之研究室)、髙橋里緒(益山詠夢研究室)さんが作品「Echoes in Thread」によって日本建築学会 建築文化週間2025学生グランプリ「銀茶会の茶席」審査員賞(佐藤淳)を受賞しましたのでお知らせいたします。

既存の枠組みを超えた新たな茶席空間を提案
専門領域を横断し、融合してつくりあげた「Echoes in Thread」

「銀茶会の茶席」は例年、デザインコンセプトと強く結びついた意匠・構造・工法を採り入れた作品が選出される特徴があり、独自性の高い空間体験が求められるコンペティションです。私たちは今回、各領域の専門性を掛け合わせながら、既存の枠組みを超えた新たな茶席空間を提案すべく、価値創造デザイン学類在学時より親交のある3名でチームを結成しました。

チームは所属研究室や専門性が異なるメンバーから成り、幾何構造を応用した造形手法を研究する相馬悠(佐藤宏樹研究室)を中心に、街と暮らしの関係性を基に建築設計手法を研究する相澤佑斗(友渕貴之研究室)、3Dプリンタを活用したデジタルファブリケーション手法を研究する髙橋里緒(益山詠夢研究室)によって構成されています。各々の専門性を発揮しながら軽やかに領域を横断し、感性を触発し合うデザインプロセスを経ることで、論理と感性が融合した全く新しい空間体験の創出を目指しました。

こだまする銀座のヒト・モノ・コト

古くから日本の文化と経済の要所として賑わいを見せてきた東京・銀座。世界中からヒト・モノ・コトが集まり、繋がり、絡み合うことで、ユニークな街の姿をかたちづくってきました。現在もなお多様な要素が集まり、絡まり、豊かな銀座文化と歴史が紡がれています。この茶席は、そうした時を超えて続いていく分子のようなつながりを体現する空間を目指しました。

繋がり絡まり合うことで立ち現れる茶席空間

輪状のボールチェーンにねじりを加えると、部材同士のあいだに圧縮力と引張力が生じることにより、複雑な起伏を持つ螺旋状のアーチが立ち上がります。この原理をもとに2畳の茶席を設計するため、150mmの球体を3Dプリンタで樹脂(PLA)造形し、これらに金属製のボルトを通しナットで締めることで実現する連結球体構造を提案しました。

原理模型の制作

  1. 構造に使用するボール(直径150mm)を半球ずつに分けて3Dプリント
  2. 半球頂部に空けた直径16mmの穴に球内側から外に向けてボルト(直径10mm) を差し込んだ後、別の半球と合わせて1つのボールに組立
  3. ボール外部に突き出たボルトに別の半球を通し、ボルト端部をナットで締める
  4. 上記を繰り返して輪状の連結球体構造をつくる

ボルト径と球の穴径の間に生じる僅かな遊間が、ねじりを加えたときのボルトの角度と球同士の適当な距離を自然に設計し、複雑で豊かな螺旋形状を描きます。ねじれにより角度と距離が固定されるところで、アーチは形状を維持して自立します。こうして立ち現れる分子のようなアーチが重なり合う空間は、多様な人や文化が集うことで紡がれてきた銀座の姿を映し出し、この先もこだまする銀座の賑わいを予感させます。

これらの研究成果は、2025年8月7日に建築会館ホールにて行われた日本建築学会建築文化週間2025学生グランプリ「銀茶会の茶席」にて展示・提案を行いました。審査会では、設計コンセプトが一目でわかる意匠性に加え、連結球体の圧縮という難易度の高い構造に挑戦する姿勢、およびその実現への期待感が高く評価されました。例年、木材や紙などの伝統的な素材が主流となる中で、審査史上初となる3Dプリント技術を設計の中核に据えた試みも注目を集め、コンペティションの歴史に新しい潮流をもたらしたと評価していただき、今回の賞に選出されました。

受賞学生-相馬悠さんのコメント

「ねじる」というシンプルな行為が、私たちの作為を超えて、自然の摂理にかなった複雑な美しさを作り出してくれました。あらかじめ長さや大きさが設計されたアーチが、ねじれの力によって自律的に形を成し、それを再び人の手によって茶席空間へと編み直す。人間と自然の共同設計というプロセスを経ることで、「作る」ものではなく「成る」ものとしての空間の奥深さを実感しました。構造や成り立ち方から考えることで生まれる美や体験を、引き続き探求し続けたいと思います。

受賞学生-相澤佑斗さんのコメント

大学3年次に初めて参加した建築の設計コンペが銀茶会でした。大学院に進学し、このコンペで学内の仲間と「Echoes in Thread」を制作し、審査員賞(佐藤淳)をいただけたことを大変嬉しく思います。構造から提案することは非常に難しかったですが、ともに制作した2人と様々な議論ができたからこそこのような建築の提案ができたと感じています。このコンペでの学びを生かして、今後も建築の設計や研究に取り組んでいきます。

受賞学生-髙橋里緒さんのコメント

普段は小さなスケールのモノを設計しており、建築コンペに参加したのは今回が初めてでした。茶室という小建築を、コンセプトと実現可能性を両立させながら形にしていくことは簡単ではありませんでしたが、実際に手を動かして検証を重ねたことで具体化していくことができたと思います。今後も積極的にプロトタイピングしながら価値あるものを作れるよう取り組んでいきたいです。

受賞概要

受賞名 日本建築学会主催 建築文化週間学生グランプリ2025「銀茶会の茶席」審査員賞(佐藤淳)
作品名 Echoes in Thread
受賞者 相馬悠(事業構想学研究科)、相澤佑斗(事業構想学研究科)、髙橋里緒(事業構想学研究科)

日本建築学会 建築文化週間 2025 学生グランプリ「銀茶会の茶席」審査員賞(佐藤淳)について

一般社団法人日本建築学会は、会員相互の協力によって、建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかることを目的とする学術団体です。現在、会員は3万5千名余にのぼり、会員の所属は研究教育機関、総合建設業、設計事務所をはじめ、官公庁、公社公団、建築材料・機器メーカー、コンサルタント、学生など多岐にわたっています。「日本建築学会建築文化週間2025学生グランプリ「銀茶会の茶席」審査員賞(佐藤淳)」は、年に一度、全国の建築学生を対象とするコンペティション「学生グランプリ」を開催しており、毎年10月に銀座通りの周辺で行われる野点大茶会「銀茶会」で実際に展示・使用する創作茶席の提案の中で、優れた作品に与えられる賞です。

TOP