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19.04.24
食産業学研究科の加川響馬さんが、日本畜産学会優秀学生賞を受賞
食産業学研究科博士課程1年の加川響馬さん(須田研究室所属)が、学部4年次の卒業研究としてまとめた「植物性乳酸菌TUA4408L株による発酵大豆搾り粕を給与した豚の健康性および産肉性への効果」について日本畜産学会125回大会で発表し、日本畜産学会優秀学生賞を受賞しました。
加川さんはファームビジネス学科 動物遺伝育種学研究室に在籍した4年次に、薬剤耐性菌発生などを理由に家畜飼料において使用制限傾向にある抗菌剤の代替物開発に着手。豆乳生産時に発生するオカラを有効活用できるのではとの発想から、イムノバイオティック乳酸菌Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii TUA4408L株で発酵したオカラ(発酵オカラ)が、豚の健康性や産肉性にどのような効果をもたらすかを検証しました。
具体的な試験方法としては、LWD系統の雑種豚♂(オス)計20頭を、発酵オカラを17週齢まで抗菌剤無添加飼料と共に毎日給与する「発酵オカラ区」、同等重量比で豆乳発酵物を給与する「発酵豆乳区」、豆乳を給与する「豆乳区」、抗菌剤無添加飼料のみを与える「無添加区」の4区に分け、下痢発症頻度の観察や体重測定、糞便採取、採血を実施。糞便中毒素原性大腸菌K99への感染調査や、糞便細菌叢や血液生化学成分の解析、24週齢時の屠殺解剖による結腸での各種サイトカインmRNA発現量評価、枝肉成績および肉質評価等を行った結果、発酵オカラ区と発酵豆乳区の増体が有意に高いという結果を得ました(p<0.05)。一方、発酵オカラ区と発酵豆乳区では、下痢発症とK99感染が軽度であり、糞中の有用菌が豊富になる傾向があるなど、結腸部の炎症性サイトカインの遺伝子発現量は有意に低くなるという結果も得ました(p<0.05)。上記の2区では枝肉成績の上物率が相対的に高くなることなどから、植物性乳酸菌TUA4408L株発酵物が豚の健康性と産肉性を高めることを明らかにしました。
日本畜産学会は、1924年の設立以来、日本における畜産学および畜産業の進歩と発展に資することを目的に、研究発表会や学術講演会、国際会議を開催する団体であり、今回の日本畜産学会優秀学生賞は、その所属会員のなかから学部卒業後も広く畜産学ならびに畜産関連産業の発展に貢献することが期待できる成績優秀者を学部修了時に表彰するものです。