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20.03.11

事業構想学群の鈴木研究室制作「Rolly Rolly」が、デジタルアート展で入賞

事業構想学群 鈴木研究室の3年生チームと鈴木准教授が制作した「Rolly Rolly」が、2019アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA一般カテゴリー/エンターテインメント(産業応用)部門で入賞しました。

手を動かして最適解を目指すなかで、プログラミング的思考を育てる

小学生向けのお絵描きゲーム「Rolly Rolly」は、映像が投影されたホワイトボードにペンで線を描き、リンゴをゴールへと導くゲームです。投影されるリンゴは、ユーザがホワイトボードに描画した線の上を転がりますが、画面上には木の枝などの障害物も配置されているため、リンゴの動きをよく考え、どのように線を加えていくとゴールまで誘導できるかを試行錯誤する必要があります。

このゲームは複数名から成るチームで遊ぶことが想定されており、まず机上で作戦会議を行ってからホワイトボードに線を描画(ゲームを実行)します。その結果を受けて、失敗や成功の要因を考察し、改善策をフィードバックできるようデザインされています。こうしたお絵描きゲームを通じて、問題解決のために行うべき処理と順序を論理的に考えて最適解を見つける「プログラミング的思考」を育て、チーム内でのコミュニケーションを促すところが大きな特徴です。使用する道具も特別なものではなく、日常的な体験を拡張することで、遊び感覚でプログラミング的思考を習得することができます。

小学校でのプログラミング教育必修化に向けた鈴木研究室の取組み

小学校におけるプログラミング教育とは、専門的なプログラミング言語でソフトウェアを開発するようなものではなく、プログラミング的思考の育成を主な目的とするものです。自分が意図する一連の活動を実現するには、行動と記号とをどのように組み合わせて、改善していくと実現できるのかを論理的に考える教育です。

鈴木研究室では、 2020年度から小学校におけるプログラミング教育の必修化が始まることを受け、「プログラミングの体験」をテーマにワークショップを実施してきました。お絵描きゲーム「Rolly Rolly」は、2019年に実施した「大和町少年少女発明クラブ」に所属する児童を対象とするワークショップ時に実装したゲームです。今回の入賞においては、人を楽しませたり夢中にさせたりするゲームのもつ要素や、ゲームの原則をゲーム以外の物事に応用する「ゲーミフィケーション」の考え方を取り入れた新しいプログラミング教育の手法である点が評価されました。

小学校や中学校、高校にもホワイトボードに投影できるプロジェクタを備えた教室を持つ学校が増えてきています。プロジェクタにおいては、単にPCの画面を投影するだけにとどまらない、より教育効果を向上させる多様な使い方が期待されます。今回開発された「Rolly Rolly」は、鈴木研究室に所属する3年生がチームとなって、これまでに演習や授業で身に付けた知識や技術、独創性を存分に発揮することによって、教室に設置されたプロジェクタの新たな価値を創造することを具現化しました。

今後も鈴木研究室では、社会や身の周りに存在するさまざまな課題を、インタラクションデザインの観点から解決する研究を学生や地域、企業などと共に実施し、社会に貢献できる新たな価値を生み出していきます。


「2019アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA」とは

「アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA」は、北部九州からデジタルコンテンツの創造を担う高度な技能と豊かな感性を持つクリエータの発掘・育成の場として2001年にスタートしました。このコンペティションは、高度なメディアテクノロジーを背景に論理的な思考と芸術的感性との融合を標榜するもので、アジアの文化と風土に深く根差した世界レベルのメディアアート作品の公募展です。今回は、学生カテゴリーではなく、プロのクリエータも応募する一般カテゴリーにて入賞しました。

・受賞者:鈴木 優(事業構想学群准教授)、飯田 楓花、太田 瑞紀、日野 千裕、堀江 知央


研究者プロフィール

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