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20.02.03
東日本大震災から学ぶ学校保健・学校安全、養護教諭教育課程において被災した大川小学校・荒浜小学校でフィールドワークを実施
看護学群看護学類では、将来目指すべき看護職像に向けた教育課程のひとつとして「養護教諭教育課程」が選択できます。養護教諭教育課程は、看護学を基礎とした科学的思考と根拠に基づいた支援方法を学び、教職や養護に関する知識や技術を修得し、幼・小・中・高等学校や特別支援学校等で活躍できる養護教諭を目指す課程です。
この度、「東日本大震災から学ぶ学校保健・学校安全」をテーマとしたフィールドワークを実施しました。
フィールドワーク1:石巻市立大川小学校
大川小学校について
石巻市釜谷地区の北上川河口から約4kmの川沿いに位置する大川小学校は、3月11日の東日本大震災において、全校児童108人の7割に当たる70人が死亡・4人が行方不明、学校にいた教職員11人のうち10人が死亡となったことで知られています。
授業・フィールドワークの概要
1月16日、授業「学校保健論」の一環として、石巻市立大川小学校を訪問しました。当日は看護学群養護教諭教育課程の2年生が12名参加し、語り部である佐藤敏郎さんより震災前後の大川小学校の様子をうかがいました。翌週には、学内演習として各自がまとめたレポートをもとに「災害における養護教諭の役割」についてグループディスカッションを行いました。
フィールドワークでの学び
校舎の破損状況を目の当たりにし、津波による被害の大きさを実感として捉えることができました。さらに、地震発生の直前まで、学校では日常の生活が送られていたことを感じながら、命を守るためにどんなことが必要であるか、深く考えることができました。学校が安全・安心な場所として機能することの重要性や、緊急事態では、組織の一員として、養護教諭も適切な判断・行動が求められることを学びました。
学内で行なったグループディスカッションでは、「応急処置」・「防災教育」・「組織的活動」のキーワードから、災害における養護教諭の役割について話し合いました。養護教諭の専門性に加えて、「看護学を学んだ養護教諭」として、応急処置や防災教育などに、その知識や技能を活用できることを学ぶことができました。
学校保健論とは
学校保健論は、2年次後期(令和2年度より2年次前期)に開講される科目です。学校保健活動の理論と実際を学び、児童生徒の心身の健康に関する現代的な課題について考察を深めることを目的としています。
自然災害や事件・事故など、緊急事態における学校保健・学校安全について、養護教諭が担う役割や専門性について、今後も考えていきます。
フィールドワーク2:仙台市立荒浜小学校
荒浜小学校について
東日本大震災において、児童や教職員、地域住民ら320人が避難し、2階まで津波が押し寄せた荒浜小学校。被災した校舎のありのままの姿と被災直後の写真展示等により、来館者に津波の威力や脅威を実感していただき、防災・減災の意識を高める場とすることを目的に、震災遺構として公開されています。
授業・フィールドワークの概要
授業「教職実践演習」の一環として11月5日、仙台市立荒浜小学校を訪問しました。当日は看護学類養護教諭教育課程の4年生20名が参加し、ガイドである庄子智香子さんのお話を伺いながら、被災した校舎の見学、資料の閲覧、地震発生後の動画視聴を行いました。2週間後には、学内演習として各自がまとめたレポートをもとに「震災発生時の危機管理がどのように行われたか」をテーマにグループディスカッションを行いました。
フィールドワークでの学び
荒浜小学校の校舎に入ると、1階海側に位置し甚大な被害を受けた保健室がありました。救急処置セットなど緊急時に必要な物品や、配慮が必要な子どもの情報などを、すぐに保健室から持ち出せる準備が必要であることを実感できました。庄子智香子さんの話や動画視聴からは、地震発生直後から、管理職の指示のもと、学校と地域が一体となって避難した様子が理解できました。その背景には、津波を想定した避難マニュアルの作成や避難訓練の実施があり、学校防災の重要性を学ぶことができました。
学内で行なったグループディスカッションでは、災害発生における危機管理について、事前、発生時、事後の三段階から捉え、養護教諭としての役割を考察しました。被災者への救急処置、心のケア、感染症予防、救急物品の整理・補充、さらに養護教諭が普段から子どもたちや教職員との関係づくりを行い、救急体制を整えておくことが、危機管理の一環であるとについて学ぶことができました。
教職実践演習(養護教諭)とは
教職実践演習は、4年次後期に開講される科目です。看護学類でのこれまでの学びや、養護実習における経験から、養護教諭の実践力を培うことを目的としています。
近年、学校現場で問われている危機管理の視点から、学校組織の一員として養護教諭がどのような役割を担うかについても学ぶ機会を設けています。
授業の様子は、UNDRR(国連防災機関)ウェブサイトでも紹介されました。当時、福島原子力発電所のある地域に住んでいた永路 由希加(現本学看護学群4年生)の教職実践演習時インタビューが掲載されています。