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20.06.02

看護学群の小松容子講師が第50回日本看護学会-精神看護-学術集会「優秀発表賞」を受賞

精神疾患を抱える人にとってのノーマライゼーションの実現を目指して、精神障害者への偏見や差別、当事者やその家族支援に関する研究などを行う、看護学群の小松容子講師が、「統合失調症に関連した偏見から生じる苦難の克服−当事者の語りの現象学的分析−」の研究発表において、このたび第50回日本看護学会-精神看護-学術集会「優秀発表賞」を受賞しました。

統合失調症に対する偏見「どのように乗り越えていくか」インタビュー調査

心の病の一つである「統合失調症」は、おおよそ100人に一人の割合で罹る身近な病気の一つです。今日では、薬物によるもののほかに心理社会的な治療法もあり、病気の症状を緩和したり、上手に対処したりすることで、多くの方は地域社会で日常生活を送っています。しかし、世の中にある「偏見」によって、心の病を抱える人たちの日常生活や社会生活に支障をきたしたり、心の病を抱える人たちの回復が妨げられたり、人生そのものが閉ざされてしまうこともあります。
小松講師の研究は、そうした世の中の偏見に対し、当事者の立場から「どのように乗り越えていくか」を考察するもので、統合失調症を抱える人が、世の中の偏見によってどのような苦難を体験し、偏見によって生じた苦難をどのように克服しようと試みているのかを明らかにしています。

研究においては、統合失調症を抱える方々へのインタビューをもとに、日々体験していることや、その方の視点でとらえている世界(世の中)像、語りの中からにじみ出てくるものなどを情報として扱います。そのようにして、当事者の方々の体験していることを多面的に捉える現象学という手法を参考に、統合失調症に関連した偏見から生じる苦難とその克服の体験を探索しました。

小松講師はこうした研究によって、心の病を持つ方々が世の中にある偏見を乗り越えていくための支援につなげたいと話します。「偏見によって生じる苦難は様々なケースがあり、病気や障害を持つ方や、そのご家族の方も、目には見えない偏見に苦しんでいることがあろうかと思います。立場によって偏見の受け方や苦難の内容は一人ひとり異なるのであり、今後は統合失調症を抱えるご本人だけでなく、そのご家族の方々の苦難をできるだけ減らしていくことや、苦難を克服したり逆境で生き延びていく力が増大するために必要な支援などについて、今後も研究していきたいと思っています」。

日本看護学会とは

日本看護学会では、看護職が実践に根差した研究を発表し、ディスカッションなどを交えて相互に学び合う場として、専門別の学術集会を日本全国で開催しています。本会会員のほか、非会員・学生も参加可能で、2019年度は約1万2,300人が参加しました。日本看護学会では、日本看護学会学術集会において発表された演題のうち、特に優れた発表演題を「優秀発表賞」として表彰しています。

研究者プロフィール

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