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20.08.11
東日本大震災から学ぶ学校保健・学校安全、養護教諭教育課程において被災した大川小学校でフィールドワークを実施
看護学群看護学類では、将来目指すべき看護職像に向けた教育課程のひとつとして「養護教諭教育課程」が選択できます。養護教諭教育課程は、看護学を基礎とした科学的思考と根拠に基づいた幼児・児童・生徒・職員への支援方法を学びます。さらに、教職や養護に関する知識や技術を修得し、幼・小・中・高等学校や特別支援学校等で活躍する養護教諭を目指す課程です。
この度、「東日本大震災から学ぶ学校保健・学校安全」をテーマとしたフィールドワークを実施しました。
大川小学校について
石巻市釜谷地区の北上川河口から約4kmの川沿いに位置する大川小学校は、3月11日の東日本大震災において、全校児童108人の7割に当たる70人が死亡・4人が行方不明、学校にいた教職員11人のうち10人が死亡となったことで知られています。
フィールドワークの概要
7月22日(水)、授業「学校保健論」の一環として、東日本大震災の遺構となる石巻市立大川小学校を訪問しました。当日は、2年生19名が参加し、大川小学校の校舎周辺を見学しながら、講師である佐藤敏郎先生(小さな命の意味を考える会代表・石巻市語り部団体共同代表、他)のお話を伺いました。
「大川小学校は未来を拓く場所」、震災における心のケアの重要性・必要性・難しさ
到着して最初に目にしたのは、震災遺構整備のために往来する工事車両と、大きな被害を受けた大川小学校校舎・周辺の景色です。震災前の街並みや、子どもたちで賑わう「学校」を想像することは難しく、大きな驚きとショックを受けました。実際に、自分の足を運んで、見て、文字や写真・各種メディアなどからの情報では得ることのできないものを感じとることができました。
佐藤先生は、我が子を失った親として、元中学校教員として、そして大川地域住民として、複数の立場から、幅広く話をしてくださいました。様々な視点からのお話の中でも、養護教諭をめざす者としては、「子どもたちを救いたくない先生はいない」「先生も子どもたちを救いたかったに違いない」という言葉が印象的でした。「救いたかった命」「学校だから救えなかった命」ではなく、「救う命」「学校だから救えた命」にしなければならないという使命感を感じました。
「大川小学校は未来を拓く場所だ」という話から、ここを悲しい場所で終わらせるのではなく、実際に起こった出来事を正しく理解し、繰り返さないためには何が必要かを考え、周囲の人と話し合い、未来につなげることが大切であると感じました。
最後に、震災後の児童生徒の心のケアに関する質問について、佐藤先生から、「子どもが望む‘“聴いてもらいたい”’という思いを受け止める」、「長く閉じてしまった心のふたを開けるのは難しい。傷付いた心はすぐにケアした方が良いのではないか」というお言葉があり,震災時における心のケアの重要性・必要性・難しさを学びました。
学校保健論とは
学校保健論は、2年次前期に開講される科目です。学校保健活動の理論と実際を学び、子どもたちの現代的な健康課題への対応について考察することを目的としています。
養護教諭教育課程では、「学校保健論」で学ぶ内容について、その他の教職科目(「養護概説:2年次後期」、「健康相談活動:4年次前期」、「教職実践演習:4年次後期」)との関連性・系統性を考慮し構成しています。
養護教諭教育課程を選択していない場合でも、履修することが可能です。
<参考(昨年度記事)>
東日本大震災から学ぶ学校保健・学校安全、養護教諭教育課程において被災した大川小学校・荒浜小学校でフィールドワークを実施