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20.11.09
「Spring Arch」がSKY DESIGN AWARDS 2020インダストリアル部門で銀賞を受賞/建築家 後藤 充裕氏(デザイン情報学科卒業生)がデザイン
2019年度の大和キャンパスリニューアルに伴い、本学への来訪者や学内向けに広報冊子を展示するため、大和キャンパスのエントランスに設置された木製什器「Spring Arch」が、SKY DESIGN AWARDS 2020インダストリアル部門で銀賞を受賞しました。5月にSKY DESIGN AWARDS 2020において、Shortlistに選出された作品の中から選出されたものです。
同作品は、2019年度にJID AWARD2019インテリアプロダクト部門賞も受賞しています。
「Spring Arch」
「Spring Arch」は、デザイン情報学科を卒業・事業構想研究科を修了し、仙台で建築家として活動する後藤 充裕 氏(mitsuhiro gotoh architects)によってデザインされたプロダクトです。
このプロダクトはW3.7m×H1.3のサイズで、触れると全体が揺れるほどやわらかい木製の什器です。
学生や教員が行き交うエントランスの動線に沿った直線状の平面としながら、がらんどうに、ふわりとアーチをかけたような形とすることで、階段の上やエントランスの各所から冊子の存在を視認できるようにしました。アーチ部分は12mmの合板を角度を変えて放物線を描くように連結し、各板のジョイントがつくるツメに冊子を乗せられるようにしています。
什器全体は構造シミュレーションによる「揺れる」ための部材寸法やディティールとしながら、大人2人で移動できる軽さをもちます。また、表面にはグレーの漆を施し、天板に触れることで徐々に手になじむ什器へと変化していきます。
単に冊子を展示する、という機能を超え、遠くから眺めることから近づいて触れること、に至るまで、新しい気づきを与える小さな建築、としての什器を目指しました。
年月の経過と共に変化を楽しむことができる漆の仕上げ
漆というと朱と黒で器などに用いられるイメージがありますが、今回はグレーでツヤもしっとりと落ち着いた感じに仕上げました。一見グレーで無機質なイメージもありますが、近くで見ると木目を生かした仕上げになっており木の温もりも感じることができると思います。漆はその日の気温、湿度によって色合いが大きく変化するため、仕上がりイメージの色合いに近づけるため何度もテストを繰り返し、塗装よりも乾燥に特に気を使います。また、塗装後も年月の経過と共に漆の透明度が増し、色合いが明るく鮮やかになってくるため、仕上がった後も経年変化を楽しむことができます。
郷自然工房 佐藤 和也
所在地:公立大学法人宮城大学 大和キャンパス
用途:冊子展示台
設計:mitsuhiro gotoh architects
構造設計:RGB STRUCTURE
製作:dessert
漆塗装:郷自然工房
写真: Yuriko Tsuchida, 公立大学法人 宮城大学
SKY DESIGN AWARD とは
Sky Design Awardは、アートキュレーション会社であるMerci Media Corporationによって運営される建築・インテリアデザイン・ビジュアルデザイン・プロダクトデザイン分野で社会的に優れた影響をもたらすデザインプロジェクトに与えられる賞であり、世界中の建築家やインテリアデザイン会社が協働し、さらなる新しい価値を生み出すことを目的としています。
JID AWARDとは
公益社団法人日本インテリアデザイナー協会(JID)の主催する「JID賞」は、インテリアデザイナーや関連する企業・組織の優れた活動成果を表彰することにより、日本のインテリアデザインの質的向上とインテリアデザイナーの職能の向上とを促進するとともに、豊かな社会と文化の発展に寄与しようとするものです。応募作品のうち、プロダクト部門賞は3点選考されます。
同協会は1958年に活動を開始、日本のインテリアデザインに関わる人々の全国組織として、その交流と研鑽、啓蒙、地位向上を目指し、研究活動や作品発表、調査活動や出版活動など、積極的に事業活動を実施しています。