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22.04.28

VRで授業!南部鉄器の製造工程を学ぶ「意味的価値創造演習」教材動画のメイキング映像が公開されています/事業構想学群

事業構想学群は,現代社会の課題を多角的かつ,グローバルな視点で捉え,その課題解決に向け,地域資源の活用や新たな価値創造を先導できる人材育成を目指しています。今回,デジタル技術を活用した教育プログラムの試行として,VR技術を用いて,海外から評価の高いプロダクトである「南部鉄器」の製造方法を体験する教育プログラムを実施しました(2021年度)。VR教材のメイキング映像を追加しましたのでご案内いたします,お楽しみください。

伝統工芸をアップデートする「タヤマスタジオ」が全面協力,南部鉄器の製造工程をVR化

南部鉄瓶は岩手県の盛岡市と奥州市でつくられる伝統工芸品であり,世界から注目される日本の伝統技術で,一般的には鋳造技法を駆使して作られます。鋳造とは,溶解炉で溶かした金属を,例えば土・砂で作られた鋳型に流し込み冷やすことで目的の形状に成型する技法で,古代からある加工方法です。ただし,狙った状態に金属素材を仕上げることや,精巧な細工を美しく実現するためには,鋳型製作の段階から仕上げの段階に至るまで様々な工夫・技術の習得が必要となります。タヤマスタジオ株式会社は,確かな南部鉄瓶の製造技術をベースとして,新しい人材育成や販売方法の開発に取り組んでいるスタジオです。特に,先代から受け継がれる鉄器の精巧な仕上がりは世界中から極めて高く評価されています。今回のプログラムは,タヤマスタジオの全面協力により開発を行いました。

南部鉄瓶の製造工程「鋳型づくり」「鋳造~仕上げ」「他社製品との比較」

南部鉄瓶の製造工程/鋳型づくり(マクロ)

鋳造~仕上げ(マクロ)

他社製品との比較(マクロ)

南部鉄瓶 工房の様子Ⅰ~Ⅲ,作業比較「熟練職人と若手の比較」

工房の様子Ⅰ(VR)

工房の様子Ⅱ(VR)

工房の様子Ⅲ(VR)

作業比較:熟練職人と若手の比較(マクロ)

非正課科目にも関わらず学類問わず45名の学生が参加し,VRの教育効果を検証

授業当日は,60分☓3パート(A~C)に分けた講義を実施しました。単位にならない非正課の科目ではありますが,45名の学生が参加しました。また,「VRの教育効果」について検証するため,もともと想定していたB:VRパートについて,VRの効果検証も含め,VRを先に見るグループと,商品実物を先に見るグループで実施。どちらが理解/興味が進むか,議論が進むかなどについて検証も行いました。

A
タヤマスタジオ株式会社社長
田山貴紘氏の講演

「伝統工芸をアップデート」

B
「意味的価値」を創出する
製造工程をVRで体験
C
5名のグループで
海外への販促企画をディスカッション

・南部鉄器の伝統や歴史

・タヤマスタジオのビジネス

・田山社長のキャリアについて

・海外展開しているプロダクト

・他社製品との違い(VR)

・工場について(VR)

・製造工程全体の説明

・若手と熟練工の違い(VR)

・商品の“価値”の明確化

・海外の消費者特性をデスクリサーチ

・販売促進企画のディスカッション

「VRの授業」と「実際の現物を見る授業」のどちらから多く学んだかをアンケートにより比較,「VRの授業」と回答した学生が有意に多い結果となり「多くの学びを得た」と感じることが示唆されました。また,講義を受けた後,アイデア創発の課題を実施しアイデア数を測定した結果, VR→現物の順に受講する組合せが,アイデア創発に影響を及ぼす可能性が示唆されました。

プロジェクトリーダーを務めた高山講師は「VR教育コンテンツは,撮影と編集に多大な手間がかかるため,多大な協力を惜しまない企業パートナーも必須条件となります。今回は1日工場を停止して撮影。且つ社長に講義に来ていただくことでやっと実現した演習プログラムです。とはいえ,参加学生からの興味/関心は確実に高く,運用の効率化は必須ではありますがVR教育コンテンツの拡充には可能性が秘められています」とコメントを寄せました。

また,今回全面協力いただいたタヤマスタジオ株式会社社長,田山貴紘氏は「伝統工芸の分野全般の課題でもある,担い手不足による事業継承もしくは事業拡大が困難である課題に私たちは果敢に取り組んでいるが,今回作成した教材は,採用面接時に有効(ミスマッチ解消)であり,社内でも技術継承にとても役立てることができそうだと感じました。同じ課題を抱える企業と,共同事業としての運用もありえるのではないでしょうか」と今後の展開に期待を寄せています。

タヤマスタジオ株式会社について

タヤマスタジオ株式会社は,南部鉄瓶の製造・販売を行うスタジオで,「南部鉄器」に魅せられた個性豊かなメンバーが,アイデアと人を繋ぎ,生活に寄り添った価値を伝統工芸に留まらない形で創造しています。また,母体となっている田山鐵瓶工房は「鉄瓶が伝える日本人の心」と「世代にわたって使える」鉄瓶を提供するために,職人歴半世紀に及ぶ伝統工芸士の確かな技術,本場盛岡発祥錆び止め技術「金気止め」など,永く使ってほしいからこそ,ひとつひとつ丁寧に手をかける工房です。また,代表である田山貴紘氏は,第3回三井ゴールデン匠賞モストポピュラー賞を受賞するなど,人材育成と伝統の継承に積極的に取り組んでいます。

指導教員プロフィール


「VRコンテンツを活用したモノづくりと価値づくり教育プログラム」とは

この事業は,文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の取組②「学びの質の向上」として,技能教育高度化のための共創的技能学習プラットフォームの構築を図ることで,技能教育のDX推進を行い,技能教育の高度化を図ることを目的としたものです。ここでの技能教育とは,技能実習(ものづくり系の実験・実習など)を経てエンジニアリング,プロダクトデザイン,および産業技術分野などで活躍する人材を育成する教育を指します。

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