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21.08.10
米どころ宮城の水稲生産を実践で学ぶ“田植え実習”を実施しました/植物性食材生産実験実習I /食資源開発学類
食資源開発学類では、将来に向けた持続可能な食材生産と、新たな食資源の開発について考えるために、食材の生産を多角的に学びます。「植物性食材生産実験実習I」は3年次前期の選択科目で、水稲を代表とする主要な作物の生産法を実際に体験する実験実習です。並行して開講される講義「植物性食材生産学」で理論を学びながら、学生自らが作物の栽培を行うことで理解を深めます。5月13日、40名の学生が太白キャンパス内の水田で田植えを行いました。
「手植えによる泥だらけの実習」を通じて、稲作の歴史を感じ、食の尊さを学ぶ
現代の水稲栽培では, 田植機を使用することが常識ですが、この実験実習では学生が播種し、育てた苗を取り分け、手植えを行っています。「苗にはどのような種類があり、どのような特徴があるのか」、「収量をより多く取るためには, 苗をどのくらいの深さで植えるとベストか」など、講義で学んだことを、実際に手や体を動かして体感することで、学んだ知識を「身につける」ことが目的です。
例年、参加した学生から「水田の泥に身動きが取れなくなる大変さが、もっとも心と体に残った」という声が寄せられます。日本の稲作は2000年以上の歴史があり、それは食を得るために泥だらけの「大変さ」と向き合った歴史でもあります。先達の知恵を継承・発展させることで、現在の体系化された栽培方法は確立されています。一度、泥まみれになることで学問としての作物生産、その原点を理解する契機となり、稲作の奥深さを知ることができます。
宮城ブランドのイネ銘柄である「ひとめぼれ」「だて正夢」「みやこがねもち」
実際の生産を通じて学ぶ、品種の特徴
宮城県を代表する銘柄「ひとめぼれ」や有名ブランド米「だて正夢」、ずんだもちにもよく使われる糯米「みやこがねもち」それぞれどのような特徴があるのでしょうか?今回、これら米どころ宮城を代表する銘柄を含む7種類の品種を作付けしました。
高い品質の米作りは、均一にイネを栽培すること, これに尽きます。広い水田の中で、イネ1株1株の成長の足並みを揃えることを今回の田植えで心がけました。一方で、各イネ銘柄の個性を尊重する工夫も、その銘柄の持つ美味しさを引き出すためには必要です。ひとつ例をあげるとすれば、「ひとめぼれ」よりも優る美味しさといわれる「だて正夢」は、繁茂させすぎないようにスッキリと育て、濃緑の葉となるようにするイメージです。田植えを通して、品種それぞれの特徴を学ぶこともこの実習の特徴です。
今後は、作付けしたイネの生育調査および水田管理の学びを継続し、さらに後期カリキュラムでは秋の稲刈り、そして収量調査と食味試験を予定しています。年間を通じ、実践的な作物生産の体得を目指した学びを予定しています。
植物性食材生産実験実習I
食産業学群食資源開発学類の3年生を対象とした前期開講科目です。太白キャンパス内旗立農場において水稲や蔬菜の生産法を実践することを目的としており、春から夏にかけての作物生産方法および植物ウイルス病の診断、病害の発生メカニズムや防除方法について学びます。(全15回)なお、後期開講の「植物性食材生産実験実習II」では、秋以降の作物生産管理法について引き続き学びます。
指導教員プロフィール
左から、中村教授、鳥羽講師
・中村 聡(なかむら さとし):食産業学群 教授
家畜の飼料や甘味料のシロップ原料のほか、バイオマスエネルギー資源として期待されているマルチな作物「スイートソルガム」について、その能力を最大限に発揮できる栽培法の確立を目指して毎日研究しています。
・鳥羽 大陽(とりば たいよう):食産業学群 講師
より良いイネの品種改良を目指し、日々イネを理解することに研鑽しています。作物の持つ生命力, そのポテンシャルを解明し, 人類のために生かすことを目指します。