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新着情報

24.03.04

益山詠夢准教授が参画する「3Dプリンター住宅」が2023年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞を受賞/価値創造デザイン学類

事業構想学群益山詠夢准教授は、デジタルファブリケーション技術(以下、デジファブ)を用いて、都市・建築デザインそしてプロダクトデザインについて、新しい材料の使われ方、工法、デザインのかたち、循環型社会のあり方を研究しています。益山准教授がこれまで前職である慶應義塾大学SFC研究所セレンディクス株式会社と取り組んできたプロジェクト「3Dプリンター住宅」が2023年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞を受賞しましたのでお知らせいたします。

3次元(3D)プリンター製の平屋住宅を実現「serendix50」

60代以上の夫婦世帯から終の棲家として一般住宅仕様の3Dプリンター住宅を熱望する声が多く寄せられたことから企画が始まり、延べ面積50㎡の1LDK、2人暮らしの利用を想定したものとなりました。一般の住宅と同じようにキッチンやバス・トイレを備えており、鉄骨コンクリート造で建築基準法に準拠したものとなっています。益山准教授は、Serendix50の設計・3Dプリント技術を担当。3Dプリンターを使った住宅は48時間以内に施工が可能であるなど短時間で施工でき、施工にあたっては人の作業を大幅に削減し、ほとんどの部材について単一素材で複合機能を持たせたことが特徴となります。国内の協力工場で専用の3Dプリンターを使ってコンクリートなどの部材を出力、出力した部材を現場に運び、重機を使って組み立てる方式です。同様の建物は米欧で実用化が進んでいますが、国内では珍しい事例であることから、これまで多数のメディアでもご紹介いただきました。

写真・動画提供:セレンディクス株式会社

益山詠夢准教授のコメント

我々が見慣れている、小さなプロダクトや模型などをプリントする卓上3Dプリンターが、そのままスケールアップして家まで直接プリント出来てしまう技術に発展し、まるでSFの様な世界が現実になり始めています。今回設計を担当させて頂いたのは、日本初の50㎡の広さを持つ3Dプリント住宅、当初プロジェクト名は「フジツボモデル」。このフジツボモデルという名の由来は天窓を持つ、ユーザーの希望する小さな部屋が有機的にユニット状にくっ付いて家を作りあげるイメージから、生き物である「フジツボ」を初期の設計段階でイメージしたのが由来です。

まだこの新しい技術が社会に定着するためには、材料、構造、法規など様々な課題がありますが、今我々が当たり前と感じているどの様な技術でもその第一歩があります。アカデミック・技術者兼デザイナーというユニークなポジションで、この様な社会を変える可能性のある技術に携わり、プロジェクトのその第一歩に貢献できたことに大変嬉しく思うと同時に「社会を変える」とはとても泥くさく、地道な積み重ねと、様々なステークホルダーを巻き込んで市場を作り上げてくとてつもない覚悟が必要であるということを垣間見せられたプロジェクトでもありました。

アカデミックにいるだけでは「社会を変える」ことはできないし、目先の経済利益を追うだけではイノベーションは生まれません。先程述べた「ユニークなポジション」であることで社会での価値創造に貢献できることは何なのか?その領域を探索しつつ、今後も3Dプリンター技術を用いたデザインの研究を軸に、より良い社会作りに貢献していきたいです。

日経優秀製品・サービス賞について

日経優秀製品・サービス賞は、日本経済新聞社が主催し、1982 年から毎年 1 回、特に優れた新製品・新サービスを表彰するものです。ノミネートは公募によらず、日本経済新聞社が独自に候補となる製品・サービスを選定し、秋の本審査委員会で約 40 点の受賞製品・サービスを決定します。

研究者プロフィール

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